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アルバレス・ブラボ写真展―メキシコ、静かなる光と時



主な出品作品

第2部 写真家の眼-1930-40年代
第1章 見えるもの/見えないもの

1930年代以降のアルバレス・ブラボは、見えるものを写しながら、見えないものをも指し示すという試みを、折に触れて行うようになります。一般に、写真を撮る側は、撮られる側の姿を一方的に見つめるもので、実は撮られる側が何を見ているのかは計り知れません。見ているはずのこちらには見えず、あちらだけに見えている世界がある―撮影者の目の前で彼方を見つめる《鳥を見る少女》や、古びた建物の暗く小さな円窓を覗き込む《舞踏家たちの娘》など、数々の名作が生まれました。


《鳥を見る少女》1931年


《夢想》1931年

《舞踊家たちの娘》1933年


《永遠なるものの肖像》1935年


第2章 生と死のあいだ

メキシコには、生と死は対立するものでなく、円環をなしているという先スペイン期の文化から継承した考え方があります。アルバレス・ブラボもこうした二元的な死生観がにじみ出るような作品を残しています。
《ストライキ中の労働者、殺される》は、一見、劇的な場面を映した報道写真のようですが、アルバレス・ブラボはこの作品と《民衆の渇き》を合わせて見せることを好んだようです。血を流して横たわる若者と、水を飲む少年が対になることで、永遠に循環を続ける世界が静かに開示されています。


《ストライキ中の労働者、殺される》1934年

《民衆の渇き》1933-34年


第3章 時代の肖像

1930年代から40年代のメキシコは、ファシズム体制を逃れた亡命芸術家や知識人を数多く受け入れ、当時最も国際的な文化交流の場になっていました。
ソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテイン、政治家レフ・トロツキー、フランスの作家アンドレ・ブルトンなど、多くの外国人がメキシコを訪れ、アルバレス・ブラボは彼らの肖像を活写しています。また、20 世紀初頭のメキシコ革命を背景に興隆した壁画運動の三巨匠、ホセ・クレメンテ・オロスコ、ディエゴ・リベラ、ダビド・アルファロ・シケイロスの姿も収めています。メキシコ・ルネサンスとも言われるこの運動は、マヤ、アステカといったスペイン征服以前のインディオ文明の復興と、新しいメキシコの建国精神をわかりやすく民衆に伝えることを目指しました。さらにアルバレス・ブラボはリベラの妻で、メキシコを代表する女性画家のフリーダ・カーロの姿も撮影しています。
アルバレス・ブラボは、政治的な活動に具体的に関わったことはなかったようですが、同時代に身近に起こった出来事に対して、鋭く反応する感覚を持ち合わせていました。


《フリーダ・カーロ》1937年頃

《ディエゴ・リベラ、レフ・トロツキー、アンドレ・ブルトンら》1938年

すべてマヌエル・アルバレス・ブラボ・アーカイヴ蔵
©Colette Urbajtel / Archivo Manuel Álvarez Bravo, S.C.


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