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2011年01月29日 ‘誠’の力
家康と慶喜展、昨日入館者数が三万人を超えました。
毎日沢山のお客様のご来館本当にありがとうございます。最後の二週間限定でただ今展示中の、徳川将軍家に伝来した茶道具の名品中の名品、
「肩衝茶入 銘初花」はやはりお客様たちの注目の的です!恥ずかしながら展覧会担当者は正直なところ茶道の心得がなく、、、
ではありますが、やっぱりこの作品は何かが違う。ふくよかで、堂々としていて、、、
喩えが適切かどうか甚だ不安ですが、ある種、彫刻のように’存在感’がある
まわりの空間を支配する力のある
造形的にもすぐれた姿をしているような気がしています。「義元左文字」同様、信長、秀吉、家康といった天下をとる者、狙う者が求めたと
いうことが、わかるような気がします。ところで、既にブログにもあがっていますが、お正月3日の書初め大会は、小中学生編を実施しました。
2日の日のお手本は展示されている「和楽且湛」でしたが、3日の小中学生編では、慶喜の書に挑戦しました。
小学生用に私達が用意したお手本は、展示はされていませんが、慶喜七歳の書「楽山」
中学生用は絹本の大幅「誠」です。書き初め大会を監修して下さる松本先生に、書き初めのお話をしてもらって
慶喜七歳の書「楽山」、「楽しい山」「山を楽しむ」??って何だ?という話をして、いよいよ展示室へすご~い、大きい~、慶喜上手い!
慶喜はどんな気持ちで、どんなふうに、この大きな絹に「誠」を書いたんだろう、、、、
堂々とした、勢いある筆遣い、印を捺す位置も、これ以外にない!というほど、計算しつくされた、緊張感あふれる、まさに渾身の書!この「誠」は、慶喜が将軍になってまもなく、徳信院に贈るために書いたもの
「誠」をもって実践する、という、慶喜の志が感じられます皆の表情はだんだん真剣に!
多目的室にもどって、書き初めに挑戦!中学生のお手本だった「誠」ですが、慶喜の本当の「誠」を目の当たりにして、小学生の中からも、
「大きな半紙に、僕も、私も誠に挑戦したいです!」という、こどもたちが続出!「初花」も慶喜筆「誠」も、優れた作品は、時代を超えて、世代を超えて、私達の心を捉える、’誠’の力がある。
そしてそれが生まれるべくして生まれた訳がある。作品の力、美術の力って、本当に凄い、と心から思います。
展覧会やワークショップを実施する喜びと幸いはまさにここにある、と、そんなことを考える今日この頃。家康と慶喜展も、あと2日かと思うと、ちょっとさみしい気分です
30日も夜7時まで開館しています
皆様、お見逃しなきよう!
(E.Y.) -
2011年01月11日 特別講演会&展示替え
みなさまこんにちは。
毎日毎日寒いですね!←雪の降らない静岡だって寒いのですよ(笑)
まだまだお正月気分(?)の私としては、朝起きて気温氷点下&日の出前だとがっかりします…。さて、ここ最近の出来事をお話します。
先日8日には現在行われている「家康と慶喜」展の関連事業である特別講演会を行いました。
ご講演頂いた方は徳川記念財団理事長 徳川恒孝氏。
「江戸の文明を生んだ静岡」と題しまして、静岡にちなんだお話をしていただきました!
戦国期の「武」による統治から江戸期の「文」による統治により、民衆の生活がどのように変わったのか。
世界・文化・経済・学問など多くの観点からお話頂き、とても勉強になりました!!講演会終了後には、今回特別にサイン会も実施していただきました。
理事長のお名前の後には、なんと「花押」が!!
かっこいい…私もサイン欲しかったです…
今回講演会の演題は、2、3日に書き初め大会の監修をしていただいた松本先生に書いていただきました。
3m以上ある紙による大作!
とても素敵な演題でした!!もうひとつご報告。
「家康と慶喜」展は1月12日より大幅な展示替えが行われています。
現在12月11日~1月10日までの展示とはまた違った作品も出ていますので要チェックです!
家康の戦におけるトレードマーク!金扇馬標【きんせんうまじるし】や慶喜が大政奉還を決意した場所、二条城黒書院に飾られていた障壁画(ふすま絵)など見どころが沢山あります!
ぜひご来館下さい!!(S.O)
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2011年01月02日 書き初め大会 ~ 1月2日 家族編 ~
新年明けましておめでとうございます!
年明けにふさわしく、よく晴れた穏やかな天気に恵まれましたね。
本年も静岡市美術館をどうぞ宜しくお願い致します。さて、当館は本日2日から開館させて頂いています!
年始最初のイベントとしまして、「家康・慶喜・家達に挑戦!書き初め大会」を開催致しましたのでご報告します。この書初め大会は、現在開催中の展覧会「家康と慶喜-徳川家と静岡」展で展示されている書を手本にし、「祖父母・親・子」のご家族3世代で‟寄り合い書き”にチャレンジして頂きました。
‟寄り合い書き”とは、みんなでひとつの作品を書きあげるというもの。簡単にいうと、今でも皆さん、色紙に寄せ書きをしたりすると思いますが、寄り合い書きもそのようなものです。
ですから、普通の書き初めとは異なり、みんなでひとつの作品を作成していきますから、家族の会話も弾みます。
お手本とするのは、徳川慶喜・家達・慶久・家正の4人が‟寄り合い書き”した書「和楽且湛(わらくかったん)」です。
これは、明治35年に、慶喜が「公爵」という爵位として最高の称号を授かったときに、徳川家がそろってお祝いをしました。その席上で、徳川家一族が「和楽且楽、壽考萬年」と、寄り合いが書きをしました。今、家康と慶喜展の展示室には、二幅の掛軸に仕立てられ、記念写真とともに展示されています。
ところで、「和楽且湛」とは、『詩経』という中国の詩にある言葉で、「和楽して且つ湛しむ(わらくしてかつたのしむ)」という意味。
「和楽」とは、やわらぎたのしむこと。
「湛」は、やすらか、てあつい、ゆたか、みちあふれる、きよらか、たのしむなどの意味があります。
新年を飾るのにふさわしい、素敵な言葉です。
今回、講師としてお招きしたのは、静岡市服織小学校長の松本健作先生。
まず最初に松本先生から書き初めの心得などをご説明頂きました。それから展示室に入場し、実際に展示されている書を見学。
特に慶喜は書にも才の有った方なので、実際の書は大変迫力があります。
みんなで文字のバランスのよさや、筆遣いなどを学びました。さて、このあとはいよいよ本番!
まず、講師の松本先生がこの書の書き方をポイント解説して下さいました。
その後、各々で担当する文字を決めます。みなさんとっても上手くてちょっとびっくりでしたが、それぞれの特徴が文字に現れて、非常に面白いです。
参加者の多くが、‟寄り合い書き”が初めての方ばかりでしたが、みなさん一様に
「みんなで書くのって楽しい!」と笑顔を見せていました。今回初めて書初めにチャレンジするという外国の方も参加して下さって、大盛り上がりです。
番外編で「風林火山」も書いていかれました(笑)
しかし、初めてとは思えない出来栄えです。素晴らしい!
名前の書き方を自主的に先生に教わっている子もいましたよ。
すごい!あっという間にマスターしちゃった。
「これ、私が書いたの!」と教えてくれました。
お母さんとの合作ですが、本当に上手に書けていますよね!
書くたびに上達していて、感心してしまいます。飛び入り参加の方も来て下さいましたよ~。
ありがとうございます!無事に全5組のご家族の作品が完成しました。
どの作品も、それぞれの個性が出ていて素晴らしいですよね。この作品は「家康と慶喜-徳川家と静岡」展の会期中ずっと、静岡市美術館の多目的室で展示させて頂きます。(~1月30日)
是非ご覧になって下さいね。なお、明日1月3日は、静岡市内の小学校・中学校の代表者50名ずつ、計100名の生徒さんによる大書き初め
大会を開催します!
小学生の部が11:00~
中学生の部が14:00~です。
自由に見学できますので、お時間の都合が合えば是非見に来てみて下さい。今年も良い年になりますように!
(k.s)
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2010年12月22日 金陀美具足をつくろう
みなさまこんにちは。
今日は冬至。一番日の短い日ですね!
17時のチャイムが鳴り響く現在、外はまっくらです…。本日美和生涯学習センターと連携講座を行いました。
どういった講座かといいますと…
ますはじめに現在行われている、「家康と慶喜」展の作品をみんなで見て、それからミニチュアの甲冑を作るというもの。
そのモデルとなる甲冑は、金陀美具足。久能山東照宮博物館所蔵の文化財です。
こちら、19歳の松平元康(徳川家康)が着用したといわれる甲冑なのですが、名前の通り”金きらきん”のかっこいい鎧であります。
その甲冑を身近な素材で作ってしまおうというワークショップ。実は6月の等身大、8月のミニチュアに続き3回目の実施となります。
しかも前回まではアルミホイルを使った”銀”陀美具足だったのですが、今回は、”金”です。
作り方はいたってシンプル。金の画用紙に印刷した、甲冑の型をハサミで切って、ホッチキスでぱっちんぱっちんと留めていくというもの。
ですが、侮るなかれ。
かなり細かい作業になります。(笑)
みんな真剣に取り組んでいらっしゃいました!(下が汚くてすみません…)
ちなみにモデルとなったこの金陀美具足、当館で1月10日まで展示されています。
四方からじっくりご覧いただけるので、お勧めの作品です。
お見逃しなく!!あ、そうそうもう一つ。
現在静岡市美術館のカフェでは、「徳川将軍珈琲」が飲めます。
去る7月19日、1日限定で発売したこの「徳川将軍珈琲」、満を持して再登場です。
会期終了の1月30日までの限定となりますので、こちらも要チェックですよ!(s.o)
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2010年12月19日 ギャラリートーク開催しました!
最近急に冷え込んできました。
風邪も流行ってきたみたいです。
時折マスクをしている方もチラホラ…。
夏はあんなに暑かったのに、冬の寒さは厳しいままです。
手洗いうがいをしっかりして、予防に努めて下さいね。
2010年も残すところあとわずかですから、元気なまま新しい年を迎えたいところです。
さて、今年、静岡市美術館は12月29日(水)まで開館しています。
年明けはなんと2日(日)から開館!!
年末年始、特にする事もなく暇を持て余す…なんてことありませんか?
そんな際にはぜひご来館下さい♪
さて、実は本日11:00より「家康と慶喜-徳川家と静岡」展のギャラリートークを開催しました。
当館の学芸員が一緒に展示室内を巡り、作品のみどころを解説していきます。
一見しただけではわからないポイントなど、備え付けの解説文や貸出し音声ガイドとは
また違った解説も聞けますので、展覧会をより深く知りたい方におススメです。
合戦図の屏風など、本当に細かく描かれているので
「どこに誰がいるのかよくわからない!」との質問をよく頂きます。
ギャラリートークでは、そんな細かい部分の楽しみ方なども丁寧に解説していきます。
今回、事前に告知をほとんど行っていなかったにも関わらず、多くのお客様が参加して下さいました。
ご参加下さったみなさま、どうもありがとうございました!
「えー!こんなのやるなんて知らなかった!」なんて思われた方。
このブログで「行ってみたいなぁ」なんて興味を持って下さった方。
まだあと2回、ギャラリートークを開催予定です!
宜しければご参加下さい。
【ギャラリートーク開催日程】
第2回目 平成23年1月 9日(日) 11:00より
第3回目 平成23年1月23日(日) 11:00より
料 金 : 無料 (要展覧会チケット)
申 込 : 不要 (当日インフォメーション前にお集まり下さい)
所要時間は30分~1時間程度です。
解説を聞いた後に、「またゆっくり見たい!」となれば再入場も可能ですし、
ひと通り見終わった後に、改めて解説を聞く事も可能です。
お時間繰り合わせの上、ぜひ足を運んでみて下さいね。
( k.s )
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2010年12月18日 家康と慶喜-徳川家と静岡展
あわただしい年の瀬です
そんな中、
静岡市美術館では開館記念展〈Ⅱ〉として
家康と慶喜-徳川家と静岡 展が開幕しました
ちょうど一週間になります。
この展覧会は、家康と慶喜という、江戸幕府の初代将軍と十五代将軍をとりあげた、静岡市美術館でなければ、企画しえない展覧会です!
巡回展ではありませんから、静岡市美術館でしかみられません。
実際、企画書をもって全国津々浦々、作品拝借のお願いにまわると、「近世初頭と幕末明治を同じ空間にならべるなんて、一体どういう展覧会になるんですかあ~」と、はっきり言われないまでも、顔に書いてあるご担当者様ばかりでした。
さてさて、どんな展覧会になっているか!これから随時お知らせしますが、今日は概略をご紹介します。
この展覧会は、家康については、駿府大御所時代に、慶喜については、静岡時代の30年に力を入れた展覧会です
なんといっても「徳川家と静岡」展ですから。
まず、第一章家康では、「金陀美具足」「義元左文字」など歴史ファン必見の武具の名品や、大御所時代の所用品である「洋時計」「目器」、様々に表現された家康の肖像画など、国指定の重要文化財も多数展示されます。
第二章慶喜では、将軍になった時の決意を書いた大幅「誠」が久々に展示されます。書を嗜む皆様、ぜひぜひご覧ください。
また、静岡時代を中心に慶喜撮影写真を集めました。初公開作品も多数!
慶喜が自ら描いた油彩画9点も一堂に展示されています。これまた、初の試みですし、初公開作品2点を含んでいます。
他に、静岡ならではの試みとしては、第二章第三節に「家達と静岡誕生」というコーナーを設けたことです。
ここに、新聞テレビその他で報道され、ご存知の方も多いかと思いますが、この度の展覧会企画中に発見された「駿河藩印」が特別出品されています!
そして、今日、皆様にぜひお知らせしたいのは、教科書でもおなじみの
「徳川家康三方ヶ原戦役画像」
が特別に展示されているということです!
明日19日まで、期間限定の展示です
お見逃しなきよう
(E.Y.)
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2010年07月16日 德川慶喜家
こんにちは。
そろそろ梅雨明け、毎日暑い日が続きますね!
我が家ではついに「かき氷器」を物置から引っ張り出しました。
(しかも電動ですよ!電動!!削るスピードはやたら遅いですが…)
私、かき氷は「みぞれ」に練乳派なのですが、皆さんはどうですか?
さあ、そんな話はさておき…
静岡市美術館では7月13日(火)~19日(月・祝)、8月10日(火)~15日(日)に
德川慶朝撮影“德川慶喜家の住宅“
を開催しております。
德川慶朝さんは、第四代德川慶喜家ご当主で、なんと曾祖父は慶喜公です。
今回は、フリーカメラマンでもある氏が撮影したパノラマ写真のうち、厳選した8点を多目的室でご紹介します。
会場の様子はこんな感じ…
德川慶喜家が暮らした土地や家々の今の姿がご覧いただけます。
ぜひ、ご来館下さい。
また、併せて当館ミュージアムショップでは、期間限定で德川慶朝さん関連の商品も取り扱っております。
目玉はやはり将軍珈琲。
コーヒー好きでも知られた德川慶喜公が飲んだ味を慶朝さんが再現したものです。
どんな味なのかしら…
気になる!!
と思われたら、夕涼みも兼ねてぜひご来館下さいね!
(s.o)
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2010年05月12日 石田徳行先生講演会
5月9日 開館記念展〈Ⅱ〉「家康と慶喜―徳川家と静岡」展のプレイベントとして、 元静岡県立中央図書館館長で、現在、(財)静岡市文化振興財団理事長の石田徳行先生に 「静岡学問所と葵文庫~徳川藩教育の遺産」 というタイトルでご講演いただきました。 石田先生は、もともと静岡県立静岡商業高等学校など、県立高校の社会科の先生でした。在職中に、県立中央図書館にも出向され、県立中央図書館の館長も勤められた方です。
聴講者の席の方に降りられて、お話なさる様子は、さすが長年高等学校の教壇にたっておられた先生ですね。 充実したレジュメと、貴重な画像を交えながら、ご講演されること90分。
明治初年の静岡は、日本中の「知」が集結した地であったことを、具体的に教えいただきました。明治2年の静岡学問所が設立の状況、また、その時にもたらされた沢山の貴重な書籍については、かつて現場で葵文庫の整理に携わられた先生ならではの興味深いお話のかずかず、、、、 聴講者は102名を数え、大変熱心に先生のお話に聞き入っていました。 ご参加、ご協力いただきました方々、そして、石田先生ありがとうございました。 講演会第一回目、多目的室をつかってのイベントの第一回目だったこともあり、音声についてお聞き苦しい点が多々ありましたこと、お詫び申し上げます。
(s.o)
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