これからのイベント
Shizubiシネマアワー vol. 34 「北欧の女性画家たち」
「Shizubiシネマアワー」は美術館ならではのセレクトで、さまざまな映画を上映するシリーズです。第34回は「北欧の神秘」展にあわせ、19世紀末から20世紀にかけ、ほぼ同時期に北欧で活動した女性画家についての2つの作品を上映します。
[日 時]
2025年3月8日(土)、3月9日(日)
いずれも14:00~(開場13:30)
[会 場]
静岡市美術館 多目的室
※簡易の映像設備での上映になります。
[参 加 料]
各回500円(チケット制)
※2月4日(火)10:30より静岡市美術館受付にて販売(各回1人2枚まで。定員になり次第販売終了)
※整理券の番号は入場の順番ではありません
[定 員]
各回60名
[企画協力]
㈱サールナートホール
■3月8日(土)14:00~(開場13:30)
『魂のまなざし』
(アンティ・ヨキネン監督/2020年/フィンランド・エストニア/122分)
見つめ続け、愛し続け、描き続けた
フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック 最後のそして終生の愛と友情
モダニズムを代表する芸術家の一人として、近年世界的に注目を浴びるフィンランドの女性画家ヘレン・シャルフベック(1862-1946)。本作は、彼女の画業と人生を決定づけた53歳から61歳までの8年間(1915年から1923年)にスポットをあてた作品である。幼い頃から才能を認められ、18歳で奨学金を得てパリに留学、27歳で万国博覧会で銅メダルを獲得するなど、早くから画家として制作と発表の機会に恵まれてきたシャルフベックであったが、1915年にはすでに忘れられた画家となり、田舎で高齢の母と暮らしながら作品を作り続けていた。そこへ画商のヨースタ・ステンマンが訪ねてきて、家にあった159枚の絵を発見、その才能に驚嘆した彼は、ヘルシンキでシャルフベックの大規模な個展開催を決意する。そして、ステンマンが紹介した19歳年下の森林保護官でアマチュア画家の青年エイナル・ロイターとの出会いが、彼女の人生にさらなる転機をもたらす。抑圧的な家庭や男性優位の社会にも臆さず、名誉よりも内からあふれ出る情熱に従う画家の姿を、北欧の美しい自然や街並みとともに描いた作品。
■3月9日(日)14:00~(開場13:30)
『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』
(ハリナ・ディルシュカ監督/2019年/ドイツ/94分)
1906年、スウェーデン。極めて独創的で前衛的な絵を創り出した一人の画家がいた
なぜ彼女は世に出ることがなかったのか―
抽象絵画の先駆者として近年急速に評価が高まっているスウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリント(1862-1944)のドキュメンタリー。20歳でスウェーデン王立美術院に入学した彼女は、卒業後は当時の女性としては珍しい職業画家として、伝統的な絵画を描き成功を収めていた。一方で思春期から霊的世界や神智学に関心を持っていた彼女は、妹の死によって神秘主義に傾倒し、さらに同じ思想を持った4 人の女性芸術家と結成した芸術家集団「5 人(De Fem)」での活動やルドルフ・シュタイナーとの出会いなどを経て、オートマティスムによる線や円を多用した実験的な表現を行った。しかし、カンディンスキーら同時代の画家たちも抽象的な手法で作品を発表する中、彼女は自身の1,000点を超える革新的な作品を生前公表することはなかった。そして、死後20 年間はそれを世に出さないように言い残し、この世を去る。そして現代、ついに公開されたヒルマの作品は各地で評判を呼び、2019年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された回顧展では同館史上最高となる約60万人の動員を記録した。彼女の作品はなぜ知られることがなかったのか。生涯をかけて自分で道をつくり、その道を歩んだ彼女が、目に見えるものを超えて見つめていた世界とは。キュレーター、美術史家、科学史家、遺族などの証言と、彼女が残した絵と言葉から解き明かす。