イベントアーカイブ

Shizubi Project 4
ヒトのカタチ、彫刻  津田亜紀子/藤原彩人/青木千絵

Shizubi Projectでは、多くの人が行きかうエントランスホールの開放的な空間を活かして、現代のさまざまな美術の姿をご紹介します。第4回は、私たち人間の姿形(フォルム)をモチーフに、様々な素材を用いて「彫刻」とは何かを問い続ける3名の作家、津田亜紀子(1969-)、藤原彩人(1975-)、青木千絵(1981-)を紹介します。
津田は、人体の原型を粘土で制作し、石膏で型取りを行い、最終的には透明な樹脂を使用して人の形を成り立たせます。そして軽やかな像を隠すかのように、その表面は花柄の布やレースで覆われています。表面にあふれる花柄や、残されたままの型取りの継ぎ目によって、人の形は曖昧で見えにくくなりますが、抜け殻のような像からは確かな人の気配を感じます。藤原の陶の彫刻は、一つの型から何体もの複製を作り出していますが、重力にそって垂れ下がった釉薬や、人物の表情はそれぞれ少しずつ異なっています。だらしなく手をぶら下げた空っぽな容器としての人体は、わずかに口を開いて呼吸をし、現実と空虚な世界を行き来しているかのようです。そして青木の作品は、大きな漆黒の塊から飛び出るリアルな下半身が目を惹きます。不安や恐怖といった負の感情が集積しているかのようですが、漆の持つ深い艶と相まった生命力のある造形からは、工芸的な美しさも感じられます。
長い彫刻の歴史のなかで、人体は普遍的なテーマとして繰り返し表現されてきました。「ヒトのカタチ」をつくること――「彫刻」をつくること――この古びてなお、根源的な問いかけに、樹脂、陶器、漆と、異なるアプローチで立ち向かう三者の表現をお楽しみください。

★入場無料

[会 期]

2014年12月16日(火)-2015年3月22日(日)

10:00-19:00

[休館日]

月曜日(ただし1月12日[月・祝]は開館)

(12月30日[火]-1月1日[木・祝]、1月13日[火]、2月6日[金]は休館)

[会 場]

静岡市美術館 エントランスホール

[主 催]

静岡市美術館 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団

[関連イベント]

[公式カタログ]
好評発売中!
25.0×18.0㎝/460g/112頁
開催年:2015年
2,475円(税込)
ISBN:978-4-907490-05-8
発行:マイブックサービス

[作家プロフィール]
津田亜紀子(つだ あきこ)
1969年長崎県生まれ。95年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、97年同大学院修了。
主な個展に2003年「公開制作 津田亜紀子 繰り返される模様」(府中市美術館/東京)、2006年ギャラリー山口(東京)、2007年「祝福」(スペース・S/東京)など。
グループ展に2000年「TAMA VIVANT 2000」(多摩美術大学八王子校舎他/東京)、2005年「新鋭展」(ポーラ ミュージアム アネックス/東京)「グローバル・プレイヤーズ 日本とドイツの現代アーティスト」(BankART/神奈川)、2011年「彫刻・林間学校 アースバウンド」(メルシャン軽井沢美術館他/長野)など多数。
千葉県在住。
藤原彩人(ふじわら あやと)
1975年栃木県生まれ。2001年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、03年同大学院修了。
主な個展に2011年「心ここにあらず」(3331gallery/東京)、2013年「空の景色と空な心」(gallery21yo-j/東京)など。
グループ展に2009年「未来を担う美術家達『DOMANI-明日』展2009」(国立新美術館/東京)、2013年「みる、ふれる、きくアート-感覚で楽しむ美術」(栃木県立美術館/栃木)、2014年「AGAIN-ST第4回展 彫刻は置物か?(第1回より参加)」(東北芸術工科大学7階ギャラリー/山形)など多数。2007年から1年間、文化庁新進芸術家海外研修制度によりロンドンに滞在。
東京都在住。
青木千絵(あおき ちえ)
1981年岐阜県生まれ。2005年金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸科卒業、10年同大学院博士後期課程修了。
主な個展に2006年ギャラリー手(東京)、INAXギャラリー2(東京)ほか。グループ展に2006年「TAMA VIVANT 2006」(多摩美術大学八王子校舎他/東京)、2008年「金沢アートプラットホーム 2008」(金沢21世紀美術館他/石川)、2012年「漆・うるわしの饗宴」(山脇ギャラリー他/東京)、2013年「湖北国際漆トリエンナーレ2013」(湖北美術館/中国)など多数。
石川県在住。