2025年01月19日北欧の神秘/ザ・マジック・ノース
北欧の画家と言えば、日本ではノルウェーのエドヴァルド・ムンク(1863-1944)が最もよく知られていることでしょう。
ムンクの代表作である≪叫び≫(1893年、ノルウェー国立美術館蔵)は、本展では出品されませんが、耳を覆う人物の背後にはノルウェー特有のフィヨルド(氷河の浸食によって入り組んだ湾)が描かれています。
「自然を貫くような叫びを感じた」とメモを残していたムンクですが、北欧の画家たちにとって気象や風土が育んだ特有の自然風景は自国らしさの象徴であるだけでなく、内面世界ともつながり、インスピレーションの源となりました。
本展は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド3国の国立美術館が所蔵する19世紀から20世紀初頭の絵画約70点を紹介します。
それまではフランスやドイツの美術に範をとっていた北欧各国ですが、ナショナリズムの高まりとともに、自然風景だけでなく、古くから伝わる神話、民間伝承などにも目を向けるようになり、国際的な動向と複雑に絡みあいながら北欧独自の絵画世界を築いていきます。
森のなかでの狩猟風景や野生動物を描いたスウェーデンのブルーノ・リリエフォッシュ(1860-1939)、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』を題材に描き国民的地位を築いたアクセリ・ガッレン=カッレラ(1865-1931)、森の怪物トロルが登場する民話を創作の源泉としたノルウェーのテオドール・キッテルセン(1857-1914)など、本展では47名の画家が登場します。
北欧と一括りにはできない多様な絵画表現をどうぞお楽しみください。
(a.i)
「北欧の神秘 ―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」
会期:2025年2月1日(土)〜3月26日(水)
◎お得な前売券は1月31日(金)まで静岡市美術館、プレイガイド等で販売