2025年07月11日色彩のハーモニー

パウル・クレー《赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー》1923年 パウル・クレー・センター


クレーは1923年から画面をグリッド状に分節して様々な色を配置した「方形画」と呼ばれる作品を制作しています。その2年前より造形学校バウハウスでマイスター(親方/教師)として働いていたクレーは、線・面・空間といった絵画を構成する要素を理論と実践の両面から追求しました。

異なる大きさの四角形は、次々に生まれる音のようで、眼を愉しませます。画家本人が着色した額の灰色は、様々な色をまとめる指揮者のような役割を果たし、画面全体に調和が生まれています。

音楽にも通じていたクレーが関心を寄せたのは、絶えず生成変化する世界や、黒でも白でもない灰色のような中間領域でした。曖昧さを残した揺らぎのある絵画世界は、私たちの想像を無限に広げていきます。

 

(a.i)

 


「パウル・クレー展 創造をめぐる星座
2025年8月3日(日)まで開催中