2011年06月01日コパー展関連イベント スライドトーク
「ハンス・コパー展-20世紀陶芸の革新」が始まってあっという間に
6月になってしまいました。
ブログの更新も滞ってしまいましたが、会期中に行われた関連イベントを2つ、
簡単にですがご報告いたします。
4月23日(土)には、スライドトーク「イギリスのスタジオ・セラミックス」が行われました。
講師は陶作家の本原玲子さん。 本原さんは、イギリスに留学して現代陶芸を学ばれ、
現在は静岡市に自宅兼アトリエを構えていらっしゃいます。
イギリスで学ばれた現代陶芸の源流になっているのが、ルーシー・リーやハンス・コパーであり、
今回は、制作者の立場から日本とイギリスの陶芸の違いをお話していただきました。
お話の中でも特に興味深かったのが、イギリスの陶芸はとても「科学的」だということ。
ルーシー・リーが釉薬の研究を熱心に行っていたことは有名ですが、
陶芸家の釉薬レシピ(配合)は本にまとめられて、世に出回っているそうです。
それとは対照的で、日本での釉薬の扱われ方は、窯元によって語り継がれる「秘伝」というイメージ。
本原さんが、「科学や数学の世界のように、どんどん研究成果を公開して、新しい理論を提唱していくようなもの」
とおっしゃっていて、なるほど!と思いました。
トーク中には、本原さんの釉薬のテストピースを見せて頂いたり、
土を使って小さな器をササッと作って見せて下さったりと、
飽きさせないトークであっという間の一時間でした!
さらにトーク終了後は、展示室に場所を移動して本原さんによるギャラリートークを行いました。
同じ作り手からの目線でコパーの作品を語っていただきました!
こちらは自由参加でしたが、多くのお客様にご参加頂きました。
ありがとうございました。
2本目のイベントは、ゴールデンウィークのはじまりの4月29日(金・祝)に行われた
スライドトーク「ハンス・コパー展ができるまで」。
講師は本展企画協力者の西マーヤさん。
西さんはトニー・バークス著『ハンス・コパー』を翻訳され、
(日本語で読めるものは、あと今回の展覧会図録の2冊だけです!)
2002年、2006年に日本で行われたルーシー・リー展も企画された方です。
展覧会では紹介しきれなかった作品や資料写真を紹介しながら、
今回の展覧会の見どころや、コパーの奥さまとのエピソードもお話していただきました。
そうなんです!
西さんはコパーの奥さまや、コパーと親しかったコレクターの方との親交もあるのです。
トークの中でも触れられていましたが、展覧会でもご覧頂けるこの作品
コパーの奥さまが、ご所蔵のなかでも「もっとも美しいと思う作品」だそうです。
今回の日本での展覧会のために特別に貸し出してくださったポットです。
写真では伝わりにくいですが、そのフォルムも、表面の仕上げも本当に繊細な作品です。
西さんのお人柄あってこそ、日本で観れる貴重な作品の一つです!
この作品以外にも、展覧会に出品されているほとんどの作品が、
イギリスのもの、個人所蔵家のものになります。是非会場でご覧ください!
(a.i.)