2012年01月18日「匠の技-蒔絵」を開催しました。

3週連続で静岡の匠の技を紹介する
「静岡の匠」展関連イベント「匠の技」の第2弾は、
静岡県蒔絵工業協同組合の皆さんによる実演とワークショップです。
(第1弾 漆の実演、ワークショップの様子はこちら。)

静岡県蒔絵工業協同組合の皆さんは、
1月4日に完成お披露目をした漆芸作品
《東海道五十三次ひとめ図》の制作に携わられた方々です。

ひとめ図の木地に施された真っ黒な漆の上に、
流麗な線で描かれた波や帆船、富士山や安倍川。
この黄金に輝く部分を、静岡県蒔絵工業協同組合の皆さんが
さまざまな蒔絵の技法を駆使して描きました。

ぜひ、近くでご覧になってください。

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中には、漁をしている人の姿も…!

実演では”置き目”といって、下絵の輪郭線を転写した上に、
筒の先に絹の紗がはってある”粉筒”(ふんづつ)という道具を使って
実際に粉蒔きをしていただきました。

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粉筒を使いこなせるようになるまでには、何年もかかるそう。

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ぼかし蒔きという技法で、花びらを1枚1枚丁寧に描いていく職人さん。
あまりにも繊細な作業なので、見ている私まで、つい息を止めてしまいました。

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当日は、貴重な道具や、粉蒔きで使用する本金粉や銀粉、プラチナ粉、
また、 “螺鈿”(らでん)とよばれる(貝の真珠層を模様の形に切って飾る)技法で用いる
夜光貝やアワビなどの貝もお持ちいただきました。どれも美しい!

写真の金粉は”平目粉(ひらめふん)”といって、
金粉をたたいて、平べったくした粉です。

このように、蒔絵で使用される粉には、
材料や粒子の細かさによってさまざまな種類があり、
職人さんたちはこれを使い分けて描いているんですね。奥が深い!!

ワークショップでは、なんと!
実際に”粉筒”を使って粉蒔きをさせていただきました!
本格的な蒔絵の技法を体験できる、とても貴重な内容となりました。

 

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まず、職人さんが2パターンの富士山の図柄を考え、
それを型紙にしてくださったものを使い、
ローラーを使って、模様の部分に薄くカシュー漆を塗っていきます。
ローラーを転がすので”ころがし”と呼ぶそうです。

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その上に、さまざまな色の粉を蒔いていきます。
富士山や富士山にかかる霞は、綿を使って描きます。

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皆さん、蒔絵を体験するのはもちろん初めてです。
5人の匠が熱心に指導してくださいます。

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富士山の上には、粒子の粗い粉を、粉筒を使って蒔きます。
富士山に雪が積もりました!

  

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桜の花や、枝などをカシュー漆で描いて、また粉蒔きをして・・・

  

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完成した作品がこちら!
どの作品も本当に美しく仕上がりました!

 

さて、「匠の技」最終回は
1月21日(土)14:00から彫金の実演を開催します。
予約は不要ですので、当日直接会場、当館エントランスホールにお越しください。

そして、多目的室にて開催中の「静岡の匠」展は、
今月22日(日)が最終日となります!

展示室にて開催中の「竹久夢二と静岡ゆかりの美術」展と併せて
ぜひご覧ください。

(m.y)