2012年03月16日知られざる名コレクション② 瀬名の中川雄太郎
「竹久夢二と静岡ゆかりの美術」展も、残すところあと10日ほどとなりました。
この展覧会は、前期・後期で一部の作品が入れ替わっています。
本展の有料観覧券を持参いただくと、団体料金でご鑑賞いただける”リピーター割引”も実施しています。
前期展示は観たが、後期は観ていない!という方、もう一度展示を観たい!という方、ぜひご活用ください。
さて、今回は前期展示で紹介した中川雄太郎(1910~75)のお話を…。
「竹久夢二と静岡ゆかりの美術」展では、前期に中川雄太郎、後期には清水・江尻出身の平野富山(1911~89)の特別コーナーを設け、それぞれ雄太郎約60件(含む資料)、富山36点を展示する好機に恵まれました。
前期展示で紹介した中川雄太郎は、竜爪山の南麓、竜南の里にある瀬名(旧西奈村瀬名)に生まれ、生涯この地で村の人と共に生きた版画家であり、郷土史家であり、教育者でした。
河童の研究でも知られ、頼まれれば村人たちのために絵を描く、気さくな版画家でした。
一時期、村の助役をも務め、また若いころから竜南の民俗・伝説に関心をよせ、晩年その成果をまとめた著書を刊行しました。
作品のテーマも最晩年には再び郷土の伝説、民俗に関するものとなる、まさに「ふるさとの版画家」というにふさわしい生涯でした。
そんな雄太郎作品を、静岡市美術館は15点所蔵しています。
雄太郎の郷土愛が静岡人に今も通じているのでしょう、静岡市西奈生涯学習センター(リンク西奈)では、これまでもしばしば雄太郎作品の展覧会が開催されており、本展準備中も、その頃、雄太郎作品に魅せられた方々、ご遺族、町の方々の地道な調査研究と作品保存、蒐集力に多くを助けられました。
雄太郎の作品は、後期展示でも一部紹介しています。ぜひご覧ください。
(e.y)