2015年05月23日「大原美術館展」のこり8日です!

静岡市美術館開館5周年記念の第一弾、

「大原美術館展 名画への旅」も残すところ、あと8日となりました。

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本展では、モディリアーニ、マティス、ユトリロ、岸田劉生、梅原龍三郎、

棟方志功、山口晃など、大原美術館を代表する75点を紹介しています。

サブタイトルの「名画への旅」は、

お客様が会場を巡ることで名画を楽しむ機会になれば、という思いのほか、

「旅」をキーワードにいくつかの意味を込めています。

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ひとつ目は、「児島虎次郎の名画収集の旅」。

大原美術館は1930年に創設されますが、

まだ「美術館」という存在も曖昧な時代において、

西洋美術が常設で鑑賞できる日本で初めての美術館でした。

そのコレクションの基礎を築いたのは、

児島虎次郎(1881-1929)という岡山県出身の洋画家。

虎次郎は倉敷の実業家で大原美術館の創設者である

大原孫三郎(1880-1943)の支援のもと、3度ヨーロッパへ留学し、

自らの画業研鑽の傍ら、モネやマティスといった画家たちと直接交流をしながら

西洋の絵画を日本に持ち帰ります。

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本展の第1章では、虎次郎の作品を紹介しながら、

この名画収集の旅、そして大原美術館創設までの道のりを紹介しています。

虎次郎の作品は全12点出品されていますが、

なかでも彼が得意とした大画面の人物画は必見です。

2つ目は「日本人画家たちの留学の旅」。

虎次郎のほか、明治末から大正、昭和にかけて多くの日本人画家が西洋へ留学しています。

第3章では、西洋に学びながらも独自の表現を切り拓いていった、

藤島武二、梅原龍三郎、安井曾太郎、須田国太郎、荻須高徳などをはじめとする、

近代日本美術の名作を紹介しています。

西洋出自の油絵具を用いながら、日本人ならではの洋画を追求した彼らの、

挑戦や苦悩を作品から感じられると思います。

そして三つ目は「作品の旅」。

虎次郎が持ち帰った作品のほか、現在の大原美術館には様々な作品が所蔵されています。

これらの作品たちが、制作者である画家の手を離れてからどのような道をたどって大原美術館へやってきたのか、

誰の手元にわたり、どのような展覧会に出品されてきたのか。

本展では、この絵画の履歴書である「来歴」にも注目しています。

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残念ながら展覧会では会場の都合、詳しいところまで紹介できていないのですが、

是非図録をご覧いただければと思います。

虎次郎がモネから直接作品を購入した際に発行された領収書の画像など、

貴重な資料画像も多数掲載しています。

(図録は通販も行っています。詳細はこちら→https://shizubi.jp/cafe/mailorder.php

1点1点の作品にひそむ、名画にまつわる物語にも目を向けてみると、

見慣れた作品の新しい一面を発見できるかもしれません。

大原美術館は創設されてから今年で85年を迎えますが、

美術館の先達として常に積極的な取り組みをされてきました。

当館は2010年に開館、ようやく今年5周年を迎えます。

大原美術館から見たら孫のような立場、まだまだ学ぶべきところが沢山あります。

静岡市美術館の開館5周年記念の第一弾として開催した本展によって、

「美術館」という場を改めて考えるきっかけに、

また美術作品と社会がどうつながっているのか、ということにも目をむける機会となることを願っています。

会期はのこりわずかです。どうぞお見逃しなく!

(a.i.)