2017年10月20日デンマーク・デザインの魅力② ペンダント・ランプ〈PH(ピー・ホー)〉シリーズ 

ただ今当館で開催中の「デンマーク・デザイン」展の魅力に迫るブログシリーズの2回目、

今回は、照明器具デザインのパイオニアと言える、ポウル・ヘニングスンの照明器具をご紹介します。

5_PHアーティチョーク.jpg

ポウル・ヘニングスン ペンダント・ランプ〈PH アーティチョーク〉 1957年 ルイスポールセン 個人蔵 photo: Michael Whiteway

〈PH(ピー・ホー)アーティチョーク〉は、直径84㎝、重量は最大25㎏にもなる大きな球体状の照明器具です。松ぼっくりの通称でも親しまれるこの作品は、公共建築などの照明として使用され、圧倒的な存在感を示しています。

総数72枚ものシェードはひとつひとつバラバラで隙間もありますが、眩しさを感じません。シェードすべてに光が当たるよう調整し、光の反射や拡散をコントロールして「グレア」というぎらつきを抑えています。

ヘニングスンのランプの特徴は、何といってもその計算された形状のシェードです。

中でも〈PH5〉は、対数らせんという独特のカーブを描くシェードをもつ、ヘニングスンのPHシリーズの代名詞と言える有名なデザインです。

3-044.jpg

ポウル・ヘニングスン ペンダント・ランプ〈PH 5〉 1958年 ルイスポールセン 個人蔵 photo : Michael Whiteway

一見すると白を基調としたシンプルなシェードですが、内部をのぞき込むと、青や赤に塗装されていることに気づきます。

スイッチを入れると、この塗装された反射板に光があたり、爽やかでありながらも、柔らかく温かな光が生み出されます。

ちなみに、作品名の「5」は、シェードの直径が50㎝であることに由来しています。

DSCN8872.JPG

展覧会のポスターイメージにも採用した〈PHコントラスト〉にも、様々なしかけが隠されています。

3-045.jpg

ポウル・ヘニングスン ペンダント・ランプ〈PH コントラスト〉 1958-1962年 ルイスポールセン 個人蔵 photo : Michael Whiteway

例えばシェードの外側はつや消しの白塗装ですが、内部はやはり青や赤に塗り分けられています。さらに、電球は、上下に位置を変えられる仕組みとなっています。上にあげると青みを帯びた光に、下にさげると赤みを帯びた光に変わります。

〈PHコントラスト〉の名称は、色のコントラストを変える機能がついている事によります。

DSCN8880 小.jpg

ヘニングスンは、光がもつ科学的な側面に関心を寄せ、機能と美しさが調和した、人々の暮らしに快適な照明を探求し続けました。

これら一連のシリーズは、ルイスポールセン社との協働により制作されたもので、現在でも購入可能な親しみあるデンマーク・デザインと言えるでしょう。

DSCN8871 小.jpg

北欧諸国で最も南に位置するデンマークは、スカンジナビア半島にあるフィンランドやノルウェーと比較すると温暖な気候とはいえ、冬は日照時間が短く、家で過ごす事の多い暮らしです。

照明器具は生活に欠かせないものであり、必然的に、温かみのある心地よい光を求めました。

部屋全体を明るく照らすランプではなく、家族が集まってくつろぐに足りる、十分な光。

デンマークの照明器具は、北欧特有の穏やかな自然光に調和した、暮らしを柔らかく彩るデザインなのです。

(s.m)