2017年12月27日「ターナーからモネへ」作品紹介⑤ ルノワール《会話》
ルノワールの晩年の作品である《会話》。「会話」というタイトルがついていますが、女性は男性と視線を交わすこともなく、考え事をするかのように、地面の草むらを見つめています。
画面は大きく柔らかなタッチで覆われていますが、当時、ルノワールは激しい関節炎に悩まされていて手先を細やかに使って描くことができず、手に筆を縛りつける方法を用いていたことと関係していると考えられます。
後に病状はさらに悪化し、最晩年は車いすでの生活を余儀なくされたルノワールですが、体力の続く限り制作を続けようとする画家のエネルギーをも感じさせる一枚です。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《会話》1912年
ウェールズ国立美術館 ©National Museum of Wales
(k.o)