2019年07月10日歌麿の大首絵-表情に迫る 喜多川歌麿「婦人相学十躰 面白キ相」
鏡を手に身支度をする女性。
お歯黒を差していることから、新婚女性の初々しい化粧の様子を描いたものでしょうか。
ほつれた髪もそのままに口を突き出し、熱心にお歯黒を確認する微笑ましい姿が描かれています。
表情やしぐさにより、女性の心情までもが見事に表現されています。
歌麿は細部まで女性の魅力に迫った美人大首絵(おおくびえ/胸像)で人気を博しました。
一方、髪の毛の繊細な彫りや背景の雲母摺(きらずり)、着物の空摺(からずり/エンボス加工)など、
彫師・摺師の高い技術も見逃せません。
この作品は、まさに浮世絵の黄金期を迎えた寛政期(1789-1801)の、歌麿を代表する美人画のひとつです。
喜多川歌麿「婦人相学十躰 面白キ相」 寛政4-5年(1792-1793)頃、大判錦絵、アレン・メモリアル美術館蔵
(s.o)