2025年11月19日「きもののヒミツ」展示紹介②岸駒《孔雀図》

重要美術品 岸駒《孔雀図》18世紀末期-19世紀初期 千總ホールディングス蔵【前期展示】


今にも尾羽を広げんと岩の上に立つ雄の孔雀と、その下で憩う雌の孔雀。海棠(かいどう)の枝には繁栄を表す綬帯鳥(じゅたいちょう)が止まり、周辺では小禽が飛び交っています。作者は岸派の創始者で江戸時代後期に活躍した絵師の岸駒(がんく)(1749/1756-1838)で、沈南蘋(しんなんぴん)や西洋画を学び独自の画風を確立、特に虎の絵を得意としました。本作も鮮やかな色彩や写実的な孔雀の表現に沈南蘋の影響がみられます。

なお明治14 (1881) 年、千總の12代西村總左衛門が本図を友禅染と刺繍で再現し、第2回内国勧業博覧会に出品しています。孔雀図は美術染織品の中でも格式の高い作品として好まれた図案でした。


(s.o)


「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ
―京都 千總コレクションを中心に」

会期:2025年10月25日(土)〜12月21日(日)
※会期中展示替えあり
前期:10月25日(土)〜11月24日(月・休)
後期:11月26日(水)〜12月21日(日)