2026年03月15日作品紹介③:かがくいひろし《『おもちのきもち』原画》
本作は、絵本作家の登竜門である講談社絵本新人賞を受賞したかがくいのデビュー作です。物語は、人間に食べられることを恐れたしかめっ面のかがみもちが、運命に抗い逃げ出す場面から始まります。
見開きの大画面に収まりきらないほど自由自在に体を伸ばしたおもちは、ビロンビロンビローンというユニークな擬態語とともに実に楽しげに疾走します。塗り重ねられたパステル特有の瑞々しい絵肌が、命の躍動をいっそう鮮やかに伝えます。
この作品を皮切りに、かがくいは驚異的な速度で刊行を重ね、わずか4年で16冊もの絵本を生み出しました。やかん、ふとん、ひょうたん、おむすびなど、地味で目立たない身近な物たちが主人公となり、独特の擬音語・擬態語とともに物語が展開しました。
源泉となったのは81冊にのぼるアイデアノートです。「絵本を読む子どもたちには、笑っていてほしい」と願い続けた作者の作品は、その人柄のように底抜けに楽しく、温かなユーモアに満ちています。
(s.o)

《『おもちのきもち』原画》2004-2005年 ©Hiroshi Kagakui/Bronze Publishing

多忙の中でも常に新しい絵本の構想を綴ったアイデアノート
「かがくいひろしの世界展」
2026年3月22日(日)まで。ご来場はお早めに!
