2021年08月27日没後70年 吉田博展 作品紹介⑤《陽明門》

吉田博は版画制作の際、下絵の段階から最終的な色合いを構想し、版を重ねるための色の分解を考えました。制作に先立つ、この色分解こそが、版画の成否を決める重要なプロセスだといいます。多くの作品は12面から20面ほどの版木を用いて、30数回程度摺り重ねています。

本作品は、吉田博の版画の中でも最も多い96度摺り。どのように色が組み合わされたのか、完成作から読み取ることは不可能です。複雑な建物の陰影は非常に深い色を呈し、神秘的な雰囲気すら漂います。

《陽明門》 昭和12(1937)年


(k.y)

 

没後70年 吉田博展
会期:2021年6月19日(土)~8月29日(日) ※月曜休館