2021年11月10日フランス近代風景画の展開

19世紀のフランスで風景画は大きな進展をとげます。官立の芸術機関であったアカデミーでは、古くから絵画ジャンルに序列が設けられ、神話や聖書の物語に取材した歴史画と比べて、風景画や風俗画は劣るものと考えられていました。19世紀初頭になると、こうした状況を打開すべく、アカデミーで風景画の地位向上を目的とした制度改革が実施されます。特別な知識や教養を必要としないこの絵画主題は、フランス革命を機に台頭したブルジョワジーの間で高い人気を博すようになりました。

さらにこの頃から、風景画の制作方法にも変革がもたらされます。新古典主義の画家たちを中心に戸外での油彩スケッチ制作が流行し、ありのままの自然を写し取る近代的な制作方法の基礎が築かれたのです。1830年代以降、鉄道やチューブ入り絵具の登場によってこの制作方法はさらなる広がりを見せ、とくにパリ南東のバルビゾン村が戸外制作の拠点として栄えました。

こうした中で画家たちは個性豊かな風景表現を追求しました。コローは旅先で描きためたスケッチをもとに叙情的な風景画を生み出し、クールベは手つかずの自然を荒々しいタッチで描いています。一方、バルビゾン派は田舎の日常風景を絵画化することで、歴史画を重視する風潮に一石を投じました。そしてブーダンやバルビゾン派からの影響のもと、印象派の画家たちは移ろいゆく自然の様相を色とりどりの細やかなタッチで表現するようになります。

本展ではフランス北東部にあるランス美術館の所蔵品を中心に据え、約70点の出品作によって、新古典主義から印象派に至る風景画史の展開を辿ります。

 


 

(c.f)

 

 

「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
観覧料:一般1,300(1,100)円、大高生・70歳以上900(700)円、中学生以下無料
前売券:10月9日(土)-11月19日(金)まで販売
取扱場所:静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード: 43574]、セブンチケット[セブンコード: 090-959]、チケットぴあ[Pコード: 685-787]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、流通通り店)、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、大丸松坂屋静岡店友の会、中日新聞販売店