2021年12月23日風景画のはじまり―【2】バルビゾン派

フランス国内で戸外制作が流行するのは、1830年代頃からです。鉄道網の発達と携帯可能なチューブ式絵の具の開発が大きな要因となりました。

とくにパリ南東、フォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村は風景画制作の拠点として人気を博すようになります。村内でガンヌ夫妻が営んだ宿屋は宿泊費が安く、懐の寂しい若手画家たちを迎え入れました。テオドール・ルソー、ドービニー、トロワイヨンを筆頭に、この地で精力的に活動した画家たちは後にバルビゾン派と命名されました。彼らは自然の中にカンヴァスを立て、穏やかな田園風景を描きました。

なかでもドービニーはアトリエを設えた船「ボタン号」を造らせ、水上から川の光景を活写したというエピソードが伝わります。丹念な自然研究の成果は、空や水面の繊細な描写に表れています。ドービニーに感化された印象派のモネも、後にアトリエ船を用いるようになりました。

 


ドービニー《風景、雨模様の空》1865年 Inv. 907.19.79 ランス美術館 © MBA Reims 2019


(c.f)

 

「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
●1月2日、3日は開館!新年はしずびで!●