2021年12月26日風景画のはじまり―【5】印象主義の展開

1874年、パリ。新進気鋭の画家たちが政府主催の官展に不満を覚え、グループ展を開催します。モネ、ルノワール、ピサロ、シスレーらがこれに参加しました。後に印象派と呼ばれるこの一派は、メンバーの入れ替わりを繰り返しながら、1886年まで全8回にわたり展覧会を開催。戸外制作も盛んに行いました。

印象派の画家たちが目指したのは、刻一刻と変化する自然の様相を描きとめること。その難題に最も果敢に取り組んだのがモネでした。彼は1880年代半ばから、ひとつの場所を異なる時間帯や天候のもとで観察し、複数のカンヴァスに描くようになります。ブルターニュ地方のベリール島でも、この手法を取り入れました。そのうちの1点、ランス美術館所蔵の作例では、水面の揺らめきや、奇岩を照らす陽光の瞬きが、躍動的な筆触で捉えられています。真摯に自然と向き合う画家の制作姿勢を垣間見ることができる作品です。


モネ《ベリールの岩礁》1886年 Inv. 907.19.191 ランス美術館 © MBA Reims 2019


(c.f)

 

「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
●1月2日、3日は開館!新年はしずびで!●