2022年04月27日花ひらくフランス絵画【1】 印象派:鮮やかな画面を求めて

1874年、モネ、ピサロ、ルノワールらは写真家ナダールのアトリエを会場としたグループ展に、筆触分割を用いた作品を出品します。純色の小さなタッチを並置するこの技法では、絵具の混ぜ合わせによって生じる色の濁りを回避することができました。出品作であったモネの《印象、日の出》から派生して、印象派という呼称が用いられるようになります。

全8回にわたりグループ展を開催した印象派の画家たち。彼らを経済的に支えたのがカイユボットでした。織物業を営む裕福な家庭に生まれたカイユボットは、友人たちの作品を積極的に購入。自らも画業に勤しみ、国立美術学校で学んだ後、定期的に印象派展に出品し、都市風景や肖像画を得意としました。

本展出品作の《子どものモーリス・ユゴーの肖像》では、絵画収集家ポール・ユゴーの息子、モーリスが描かれています。筆触分割が用いられていますが、随所に他の印象派画家が好まなかった黒色が使われている点に、カイユボット自身の趣向も垣間見えます。

 

(c.f)

 


ギュスターヴ・カイユボット《子どものモーリス・ユゴーの肖像》1885年  ASSOCIATION DES AMIS DUPETIT PALAIS, GENEVE


「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
休館日:毎週月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館