2022年04月30日花ひらくフランス絵画【2】 新印象派:美術と科学の融合
1886年に開催された最後の印象派展に、スーラ、シニャック、ピサロ父子は無数の点で覆われた絵画を出品。批評家のフェネオンはそこに印象派を超える新たな芸術の到来を見出し、彼らを新印象派と命名しました。その後、デュボワ=ピエ、クロス、リュスらも同様の技法を取り入れるようになります。
スーラが考案した点描法は、印象派が直感的に用いた筆触分割を科学的に体系化したものでした。彼は画布やパレット上での混色を徹底的に避けるべく小さな点を用い、補色同士を隣接させて鮮やかな色調の生成を試みました。さらに輪郭線の中に規則正しく点を配する手法をとることで、モチーフの形態が不明瞭になってしまうという印象派絵画の欠点を克服したのです。
点を共通の造形手段としながらも、新印象派の画家たちは各々の表現を探求しました。スーラが補色対比を重んじたのに対し、デュボワ=ピエは本作で同系色の点を並置し、繊細なグラデーションを生み出しています。
(c.f)
「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
休館日:毎週月曜日 ※5月2日(月)は開館