2022年05月03日花ひらくフランス絵画【4】 新印象派からフォーヴィスムまで:色彩の開放

1890年代からシニャックとクロスは南仏に転居し、モザイク調の点描法を用いるようになります。マティス、カモワン、マンギャンはシニャック邸を訪れ、固有色を離れて自律的な色彩の調和を生成する手法を学びました。これを契機として彼らは色彩の表現性に関心を寄せ、純色の力強いタッチで激情的な表現を探求していきます。

1905年、マティス、カモワン、マンギャンらはサロン・ドートンヌと呼ばれるパリの展覧会に、鮮烈な色調の絵画を出品。同展の批評文を書いたヴォークセルがその荒々しい色遣いを「フォーヴ(野獣)」にたとえたことで、フォーヴィスムという名称が誕生しました。

さらにこの批評家は南仏に集ったシニャック、マンギャンら一行を渡り鳥の一群に喩えたことが知られています。フォーヴ発祥の地となった南仏を、マンギャンは生涯を通して愛しました。ヴィルフランシュ=シュル=メールも地中海を臨む港町で、風光明媚な景観が鮮烈な色彩で彩られています。

 

(c.f)

 

アンリ・マンギャン《ヴィルフランシュの道》1913年 ASSOCIATION DES AMIS DU PETIT PALAIS, GENEVE


「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
休館日:毎週月曜日