2022年05月04日花ひらくフランス絵画【5】 フォーヴィスムからキュビスムへ:空間表現の革命

1908年ごろから、ピカソとブラックは伝統的な遠近法とは一線を画する斬新な空間表現を取り入れました。それは対象を複数の視点で捉えた幾何学的な面に分解し、平面上で再構成するというものでした。彼らの作風はモチーフを褐色の切り子面に還元する分析的キュビスムを経て、新聞の切り抜きや文字を画中に取り込む総合的キュビスムへと展開していきます。

ピカソとブラックは大規模な展覧会への出品を行わず、カーンワイラー画廊を主な作品発表の場としていましたが、1911年、グレーズ、メッツァンジェ、レジェらは、キュビスム様式の作品をアンデパンダン展で発表。これを機にこの芸術運動は大衆に広く知られるようになりました。

メッツァンジェによる《首飾りを着けた若い女》では、女性とその背景が幾何学的な面に分割され、分析的キュビスムの特徴がよく表れています。しかし輪郭線や細部の描きこみによって具象性が留められており、この画家に固有の作画姿勢も見受けられます。

 

(c.f)

 

ジャン・メッツァンジェ《首飾りを着けた若い女》1911年 ASSOCIATION DES AMIS DU PETIT PALAIS, GENEVE


「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
休館日:毎週月曜日