2022年08月30日『ピーターラビットのおはなし』の秘密

1902年に英国で刊行された『ピーターラビットのおはなし』は今年絵本出版120周年をむかえます。いたずらなウサギ、ピーターラビット™がお母さんの言いつけを守らずに一人でマグレガーさんの畑に忍び込む冒険譚は、リズム感のあるストーリーとその愛くるしい挿絵から世界中で愛されています。現在48の言語で読むことのできる、まさにベストセラーですが、この絵本が版を重ねる過程で改訂されていることは意外と知られていないかもしれません。

『ピーターラビットのおはなし』を刊行したロンドンの出版社フレデリック・ウォーン社は、出版100周年にあたる2002年に英語版を全面改訂しました。作者のビアトリクス・ポター™の構想を尊重し、第5版以降削除されていた4点の挿絵を再掲載しました。さらに、1902年の初版時には採用されなかった2点の挿絵も新たに加えました(日本でも今年3月に早川書房から新訳版が刊行されました)。

本展は、現存するビアトリクスによる原画(表紙、口絵含)31点と、再制作された3点の計34点で、作者が構想した『ピーターラビットのおはなし』の全貌をお見せする初めての展覧会です。物語の原点となった、ビアトリクスが病床の少年に送った貴重な絵手紙も日本初公開され、多くの思い出とともにこの小さな絵本に触れてきた方でも、新鮮な発見を得られると思います。

原画を間近にすることができる機会なので、是非ウサギたちのユーモラスな表情やしぐさだけでなく、背景に描かれた景色にも注目してみてください。ビアトリクスの優れた観察力や描写力が発揮されているのはもちろんのこと、人間も動物も自然と共に生きているという、ごく当たり前だけど、彼女が大切にしてきたことに触れることができるでしょう。

 

 


(a.i)

 

出版120周年 ピーターラビット™展
2022年9月15日(木)-11月6日(日)

前売券:9月14日(水)まで販売中!
静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード: 47050]、セブンチケット[セブンコード: 095-860]、チケットぴあ[Pコード: 686-124]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、流通通り店)、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、戸田書店江尻台店、大丸松坂屋静岡店友の会、百町森

グッズ付き特別前売券(一般のみ)
◎チケットファイル券 1,400円 静岡展限定!
【取扱】静岡市美術館、セブンチケット[セブンコード:096-392]
URL:http://7ticket.jp/s/096392