2022年12月22日【杉浦非水展】作品紹介②『非水一般応用図案集』より

『非水一般応用図案集』より 1921年 愛媛県美術館蔵


杉浦非水は広告や雑誌の表紙のための文字や絵など、今日のデザインにあたるものを図案と呼びました。そして、優れた図案を生み出すためには自然の造形に学ぶべきだとしばしば説きました。

図案集に収められたこの一葉は、ペリカンを画題としています。大きなくちばし、白と紺の対比が鮮やかな羽色といった特徴を示しながら、菱形に収まるように形が整えられています。そして、隣り合うペリカンの輪郭は一つに重ねられ、鳥の群れが連続模様となっています。反復のリズムや、平面的に塗り分けた大胆な単純化は今日の眼にも新鮮に映ります。自然から得た鳥の形という材料に、明快さという個性が盛られた本作品は、非水の図案への考えを雄弁に物語っています。


 

(k.y)

 

「杉浦非水 時代をひらくデザイン」
2023年1月29日(日)まで開催中