2022年12月23日【杉浦非水展】作品紹介③「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」

「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」1927年 愛媛県美術館蔵


電灯がともされた明るい地下ホームで大勢の人々が列車の到着を待っています。とりわけ目立つ前景にはモダンな洋装の家族連れが描かれています。近づいてくる地下鉄車両にはヘッドライトが輝き、黄色い車体と黒々とした車輪の対比も鮮やかです。地下鉄開通は東京の近代化と関東大震災からの復興のシンボルでした。非水は都市生活を謳歌する人々の華やかな群像を描きそれを祝福しました。

1922年から23年にかけての欧州旅行で、非水はポスターを収集するなど見聞を広めました。特にフランスの鉄道広告は多く収集できたといいます。本作品の遠近感を強調した大胆な構図や、単純で力強い色と形にも洋行の成果がうかがわれます。非水の、いや近代日本を代表するポスターの名品です。



展覧会では貴重な原画と並べて展示しています。

 

(k.y)

 

「杉浦非水 時代をひらくデザイン」
2023年1月29日(日)まで開催中