2023年09月16日ブルターニュへのいざない

フランス・ブルターニュ地方と聞いて、皆様はどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。ガレットと呼ばれるクレープや、色とりどりの絵付けが施されたカンペール焼き陶器、味わい深いゲランドの塩を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。


大西洋と英仏海峡の間につき出たブルターニュ半島には、岩肌が露出した大地やエメラルドグリーンの海、深遠な森といった手つかずの自然が残されています。もともと「ブルターニュ」とは、「ブルトン人の土地」を意味する「ブリタニア」から派生した地名で、5世紀から6世紀にかけてグレートブリテン島からケルト系民族のブルトン人がこの地に移り住んだことに由来します。そのためフランス国内にありながら、イギリスの4地域(スコットランド、ウェールズ、コーンウォール、マン島)やアイルランドとともに、ケルト文化圏に分類されます。これらの地域では、自然崇拝と霊魂不滅を重んじるドルイド教が信仰され、妖精や魔女が登場するケルト神話や民間伝承が数多く残されました。またブルターニュには、太陽信仰との関わりが指摘される、イギリスのストーンヘンジに似た先史時代の巨石遺跡が複数残されています。

どこか神秘的な雰囲気を帯び、異国情緒が漂うブルターニュは、19世紀以降、パリの画家達を大いに魅了しました。国が主催する絵画展にはブルターニュに取材した絵画作品が並び、印象派のクロード・モネがこの地を旅し、さらにポール・ゴーギャンをリーダーとしてポン=タヴァン派と呼ばれる画派が結成されたのです。本展ではフランス・カンペール美術館の収蔵品を中心に据え、画家達の眼差しとともに、神秘と伝統の地ブルターニュの魅力をひもときます。

(c.f)

 


カンペール美術館所蔵 ブルターニュの光と風 フランス 神秘と伝統の地へ
会期:2023年9月5日(火)〜10月22日(日)