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2017年05月16日 Shizubi Project 6 彼方へ③ 宮永亮
美術館エントランスホール・多目的室で開催中の「Shizubi Project 6 彼方へ 國府理・林勇気・宮永亮」をシリーズでご紹介する3回目、宮永亮さんの展示をご紹介します。
宮永さんの作品《地の灯について》(2010年)は、不思議な作品です。横一列に並んだモニターに、走る車上から撮影されたと覚しき夜の街の風景が流れています。といっても、夜の路肩で行われる道路工事の風景で、特に変わった情景でも、何かがおこるわけでもありません。暗闇のなかに明るい工事灯の光が揺れながら、あらわれては流れ去るだけですですが、何故か見てしまう。見ていると、何かざわざわした気持ちになります。それは皆が寝静まったあとに人知れず行われている、深夜の工事現場の寂寥感であり、普段はあまり目にすることのないもう一つの世界の、ざらついた空気を思い出すからかも知れません。
映像は、車の屋根にカメラを固定して、作家が一人で郊外の街を走りながら撮影されました。カメラを固定するにあたって、揺れを防止するため、カメラがスイングするように工夫したそうですが、かえってそれが独特の揺れを生み出したとのこと。7つの小さなモニターには、加工せず、長さも様々な映像の断片が流れています。そして一番端の大きなモニターには、それらが流れ込むかのように、7つの映像がレイヤーとして重ねられています。共通する揺れが、共振するかのように”地の灯”の心地よい効果となっています。
多目的室奥のスクリーンには、作品《KIWA》(2013年)がプロジェクションされています。青森県の恐山で撮影されたということですが、こちらも淡々とした風景が、知らぬ間に反転し重ね合わされ、静かに変化していきます。
宮永さんは、一人で旅をしながら撮影した映像を、レイヤーにして重ね合せて作品を作ることが多い作家です。あてなく旅に出たときに感じる茫漠とした感じや、あてがない故に感じる世界のリアルな手触りが、複雑に多層化された、けれどシンプルな映像の世界に感じられることが魅力です。
(写真撮影)木奥恵三
会期末6月4日(日)からの2週間、展示室にも展示を拡張します。是非、こちらもご期待下さい。
(a.ik)
「Shizubi Project 6 彼方へ 國府理・林勇気・宮永亮」
①エントランスホール・多目的室 2017年3月28日(火)~6月18日(日)
②展示室 2017年6月4日(日)~18日(日)
[休館日]毎週月曜日(ただし5/1(月)は臨時開館)
[開館時間]10:00~19:00
[入場料]無料
※多目的室は、4/16(日)、5/6(土)、5/7(日)、5/20(土)ほか、イベント実施時にはご鑑賞頂けません。
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2017年05月04日 Shizubi Project 6 彼方へ ② 林勇気
美術館エントランスホール・多目的室で開催中の「Shizubi Project 6 彼方へ 國府理・林勇気・宮永亮」をシリーズでご紹介する2回目、今回は、林勇気さんの展示をご紹介します。
林勇気さんの映像作品《もう一つの世界》は、ネット上から膨大な画像を切り抜いて浮遊させ、私たちをとりまくデジタル世界を鮮やかに可視化しています。芦屋市立美術博物館での展覧会(「窓の外、恋の旅。―風景と表現」2014年)や京都芸術センターでの個展(「電源を切ると何もみえなくなること」2016年)でも展示されたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
いくつかのバージョンがありますが、今回は《もう一つの世界002》(2014年)を展示しています。窓際に置かれたいくつものパソコンやアイパッドなどの画面に、切り抜かれた無数の画像が、世界各地の写真をバックに流れていきます。
実はこの作品は、ネット上でも公開されており、世界中どこからでもアクセスできます。
今回の展示でも、ネットに接続された1台のパソコンで、グーグルマップ上のピンをクリックすると、その場所の写真をもとにした作品をユーチューブを介して見ることが出来ます。
高い天井から吊り下げられたモニター上の《IMAGE DATA》(2016年)では、スライドショーで流れる無数の写真が、次第に細片に分割され、回転し始めます。画像が分割され回転を始めるとき、厚みのないはずの画像に厚みがあるような、不思議な感覚を覚えました。
写真画像や映像などの「像」は、もともと厚みを持たず、今やデジタル情報でしかないわけですが、その画像がデジタル空間ではある厚みを持ちうるような・・・、画像やデータ、物質とは何かということを、優れて感覚的に考えさせられる作品です。
そのほか、アニメーション的な手法の《the outline of everything》(2010年)も、今回はレトロなブラウン管テレビの画面で上映されています。
(写真撮影)木奥恵三
会期末6月4日(日)からの2週間、展示室にも展示を拡張するときには、広い展示室の壁面一杯に作品を投影予定です。是非、こちらもご期待下さい。
(a.ik)
「Shizubi Project 6 彼方へ 國府理・林勇気・宮永亮」
①エントランスホール・多目的室 2017年3月28日(火)~6月18日(日)
②展示室 2017年6月4日(日)~18日(日)
[休館日]毎週月曜日(ただし5/1(月)は臨時開館)
[開館時間]10:00~19:00
[入場料]無料
※多目的室は、4/16(日)、5/6(土)、5/7(日)、5/20(土)ほか、イベント実施時にはご鑑賞頂けません。
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2017年04月30日 Shizubi Project 6 彼方へ ① 國府理
3月28日から、美術館エントランスホール・多目的室で「Shizubi project 6 彼方へ 國府理・林勇気・宮永亮」(6/18まで)が始まっています。遅ればせながら、展示風景をシリーズでご紹介します。
「私が乗り物を作りたかったのは、それを手に入れれば、どこかへ行けると思ったから」
國府理さんの《プロペラ自転車》1994年と、《Sailing Bike》2005年は、そう語った作家の初期の代表作です。天井が高く、白を基調としたエントランスの壁と窓辺に、美しく、静かに佇んでいます。
独自の設計思想と、職人的な技術を持った作家の手から生まれた作品は、フレームの隅々まで研ぎ澄まされた感覚と仕上げへの拘りが行き渡り、今にも走り出しそうです。
(写真)撮影:木奥恵三
1970年生まれの國府理さんは、2014年、青森県での個展開催中に不慮の事故で亡くなりました。享年44。昨日4月29日はそのご命日でした。多くの人が驚き、悲しんだその突然の死から3年、作品は変わらず私たちの想像力に力を与えてくれます。
会場では、若き日の國府さんが仲間と帆を張った自動車《Natural Powered Vehicle》2004年で旅するドキュメンタリー映像も流れています。こちらはYouTubeでもご覧いただけますので、是非どうぞ。https://www.youtube.com/watch?v=Y6KmV6TGpcE
展示は6月18日(日)まで。6月4日(日)からは、エントランスホール・多目的室に加えて、林勇気さん、宮永亮さんの映像作品で展示室にも拡張します。
また、展示室では、「アルバレス・ブラボ写真展 メキシコ、静かなる光と時」(5月28日(日)まで)を開催中。100年を生きた20世紀を代表する写真家の日本では初めての大規模な回顧展、モノクロームの美しいプリントが多数並んでいます。是非、合わせてご覧ください。
(a.ik)
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2016年06月29日 静岡市まちかどコレクション ワークショップ「”フォトモ”で再現 静岡の”まちかど”」開催のお知らせ
ワークショップのお知らせです。
美術家・写真家の糸崎公朗さんを講師に招き、
みんなで静岡のまちを歩いて撮った写真をもとに、
立体的に”まちかど”を再現する作品「フォトモ」をつくるワークショップです。
実施日:7月23日(土)・30日(土)
対象:中学生以上24名
詳細はこちら
「フォトモ」・・・聞きなれない言葉ですよね。
フォトグラフ(写真)+モデル(模型)の造語で、
写真を立体的に組み立て、3次元化する手法のことです。
糸崎さんは、路上を歩きながら街並みを観察するのが大好きで、
カメラを片手に、よく街歩きをされるそうです。
1枚の写真では、路上の面白さを撮りきれないと感じた糸崎さんは、
その面白さを丸ごと表現するために、
この「フォトモ」という表現にたどり着いたのだそう。
1枚の写真では到底表現しきれない、
現実以上にリアリティを感じさせる「フォトモ」。
そこからは、被写体となった場所の空気感や時間の流れ、
そして、制作者ひとりひとりの世界観をも感じることができ、
いつまでも見入ってしまいます。
「なんだか難しそう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ユーモアあふれる講師の糸崎さんの指導により、
どなたでも楽しみながら「フォトモ」で作品がつくれますのでご安心を!
実は静岡市美術館では今までに2回、フォトモワークショップを実施しています。
初回は静岡市美術館が開館したばかりの2011年。
なんと5日間・計25時間かけ、参加者一人一人が街歩きをし、
撮影した写真を素材に、静岡の街並みをフォトモで再現しました。
■ワークショップの様子■
2011/01/16 ワークショップシリーズVol.4 糸崎公朗「フォトモで作ろう!静岡の街」
https://shizubi.jp/blog/2011/01/vol4.php
2011/02/19 ツギラマ・フォトモ作品、展示します!
https://shizubi.jp/blog/2011/02/post-31.php
2011/03/06 ツギラマ・フォトモ作品、展示中です!
https://shizubi.jp/blog/2011/03/post-32.php
2回目は「国宝・久能山東照宮展」にあわせ、
久能山350年祭当時の絵葉書や古写真などを題材に、
なつかしい静岡の街並みをフォトモで再現しました。
■ワークショップの様子■
2014/11/8 【国宝・久能山東照宮展】フォトモワークショップのご報告&作品展のお知らせ
https://shizubi.jp/blog/2014/11/post-142.php
皆様のご参加、お待ちしております!
ワークショップの詳細・お申し込み方法はこちら
(m.y)
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2015年08月13日 開館5周年記念コラボビール、完成間近!!(後篇)
“完成間近”と題した本ブログでしたが…
申し訳ありません、実は既にビールが完成してしまいました!!
去る8月10日には、一般発売に先駆けて、各マスコミや関係者を対象とした「完成お披露目会」を開催しました。
AOI BREWINGの満藤社長、高醸造長をはじめ、当財団の望月専務理事、静岡音楽館の山村館長、静岡市美術館の田中館長、そして静岡商工会議所の熱川専務理事(実は、音楽館開館当時の副館長!)が、AOI BREWING併設ビアバー「BEER GARAGE」に集合。
皆様から御挨拶や祝辞をいただいた後・・・いざ、カンパーーーイ!!!
ビールについて語る高醸造長と生まれたてのビールたち
記者の皆様、暑いなかありがとうございました!
私も試飲させていただきましたが、両ビールともホントに!おいしいです!!
しかも、ある意味対照的な両館のキャラクターがばっちり際立っている…!高醸造長曰く、「イメージでビールを作るのは難しい」とのことですが、とても良い出来栄えに、両館長もたいへんご満悦なご様子でした。
さて。
すっかり遅ればせながら…といった感じではありますが、前篇に引き続き今回は、各ビールの特徴や、博学多識な高醸造長によるネーミングの由来などについて、詳しくご紹介します。
それではまず、静岡音楽館AOI(以下、本文中では「音楽館」)からご紹介。
■静岡音楽館AOI開館20周年記念エール「ホルツノーテンシュレッセル(アルト)」
音楽館からイメージされた「アルト」は、ドイツ・デュッセルドルフ市発祥の古典的なビアスタイルで、直訳すると”古いビール”。といっても決してビール自体が古いわけではなく、これは、現在世界中で一番作られている下面発酵ビール(ラガー)に対して、それ以前のビールの主流であった上面発酵ビール(エール)の伝統的製法で作られていることに由来します。
濃褐色の見た目から、一見重そうなイメージを抱きがちですが、飲んでみると想像以上に飲み口すっきりで、思わず「!」。3種類のドイツ産ホップがばっちり効いているので、すっきりの直後、すぐさましっかりとした苦味が迫ってきます。このど真ん中ストレートな味わいは、いかにも”優等生タイプ”と言った印象。音楽館のコンサートの余韻に浸りながら飲むにもふさわしい、とても品格ある仕上がりです。
ビールの温度とともに変わる味わいの変化もおもしろい。焙煎したモルト(麦芽)のほんのりとした香ばしさに包まれ、コク深いのにスイスイ飲める…優等生とはいえ、これは少々危険なビールかもしれません(笑)高醸造長が命名した「ホルツノーテンシュレッセル」という名前は、 “木製の音符”というニュアンスのドイツ語。
「音楽の都ウィーンの楽友協会ホールに似た残響音設計になっている音楽館は、ふんだんに使われた木材の温かなぬくもりを感じる素敵なステージと、シンプルかつ落ち着いた豪華さを持つホールです。そこからイメージして閃いたのが”木製の音符”でした。」
音楽館のイメージに、なんともぴったりなネーミングです。
いつか、こんなビールを音楽館のバーカウンターでも味わってみたいものです…♪
さて、続いては、静岡市美術館のビールをご紹介!
■静岡市美術館開館5周年記念エール「月白風清(フレンチセゾン)」
「セゾン」は、ベルギー南部及びフランス北部でつくられるビアスタイルです。もともと夏の農作業の際、水がわりに飲まれていたもので、夏に飲むために決まった季節(農閑期)に仕込みをしていたことからセゾン(シーズン)ビールと呼ばれるようになりました。
実は明確なレシピが規定されているわけではなく、地方や醸造所によっても味の違いが大きく異なる、幅の広いスタイルのビールです。
「セゾン」といえば、ベルギーセゾン酵母を用いた”ベルジャンセゾン”が一般的ですが、今回は当館の”お洒落感”を出したいと、極めて希少なフレンチセゾン酵母を使用して、あえての「フレンチセゾン」に。小麦を使って、ややマイルドな飲み口に仕上げました。
こちらはやや白味がかったゴールデンイエロー。まず印象的なのは、コリアンダーや柑橘系ハーブが醸し出す華やかな香り。そして、一口飲んでみると…、やっぱり「!!」。
“すっきり””爽やか”な第一印象に続くのは、やや複雑で、芳醇な風味。絶妙な調和を保ち、徐々に喉奥に広がります。このビールには、当館の開館5周年にちなみ、5種類のハーブスパイス、そして贅沢にも5種類のホップが使用されています。
しかも、使用したホップは、パール、サファイヤ、オパールなど、いずれも煌めく宝石の名前。
5種類ものホップを使うのは、通常「あまりやらない」ことだそうですが、高醸造長の大奮発のおかげもあって、香りや味わいの奥行きや広がりが半端ない、とてもエレガントなビールに仕上がっています。この「フレンチセゾン」に命名された「月白風清」(げっぱくふうせい)という言葉は、中国・宋代一の詩人と謳われた蘇軾の長文の一節。高醸造長の好きな言葉のひとつでもあるそうです。
「白くこうこうと輝く月明かりに照らされた青白いモノトーンの世界が、白を基調にした静岡市美術館のイメージと重なります。そして夜の静寂にそよぐ秋風のごとく香るさわやかなセゾンの香り…。今年の立秋は8月8日、季節的にもぴったりです。」
音楽館がドイツだから、こっちはフランスか…?!と思いきや、こちらはいとも上品な四字熟語と来た(笑)
醸造長のハイセンスぶりに、平伏です!
…と、ご紹介ばかりが長くなりましたが、
「ホルツノーテンシュレッセル」と「月白風清」。
皆様への初お目見えは、いよいよ今週末8月14日(金)!
8月16日(日)までの3日間、静岡市中央商店街で開催される「第53回静岡夏祭り 夜店市」にて特別先行販売いたします。
小梳神社前の「静岡市文化振興財団」ブースに、ぜひお立ち寄りください。その後、8月17日(月)からは、アオイビール取扱店舗でも順次開栓予定ですが…!
残念なことにこれらのビール、今回は何せ”特別限定醸造”していただいたものですから、各450リットル、計900リットルのビールがなくなってしまえば、その場でもちろん「売り切れ御免」となります。
全国初、世にも珍しいコラボビールで、しかも今しか飲めない”特別限定醸造”!!
そうと聞いては、ほら。あなたはもう飲まずにはいられないはず…(笑)
さてさて、あなたは、音楽館の「アルト派」?それとも、市美の「フレンチセゾン派」?
ぜひ、飲み比べも楽しんでくださいね。
一期一会のこの機会、皆様ぜひお飲み逃しなく!!
セゾン越しにセゾンを味わう醸造長(笑)
「おいしいって言ってもらえてほっとした…」
ご尽力いただき、心から感謝です!
(m.m) -
2015年08月05日 開館5周年記念コラボビール、完成間近!!(前篇)
静岡市美術館は、今年開館5周年。
そのメモリアルイヤーに、なんとも珍しいコラボ企画が持ち上がりました。なんと、今年醸造開始1周年を迎える、静岡市唯一のクラフトビール醸造所「AOI BREWING」(以下「アオイさん」)さんが、同じJR静岡駅前にあって、同じ(公財)静岡市文化振興財団が管理運営を行う静岡音楽館AOIの開館20周年と、当館の開館5周年を祝して、それぞれの施設をイメージした「開館周年オリジナルビール」をつくってくれることになったのです!
旧醤油蔵を改造した醸造所。静岡浅間神社のすぐ近くにあります。
クラフトビールが全国的なブームとなっている昨今、「クラフトビール×店舗」、「クラフトビール×地場産品」、「クラフトビール×キャラクター」など、様々なコラボ企画をあちらこちらで目にします。
しかし!
「クラフトビール×公共施設」のコラボレーションは全国初!(おそらく。)
期せずして、歴史的瞬間を目撃することとなりました。元を辿れば、アオイさん側から静岡音楽館AOIに、「同じ”AOI”同士、何かコラボしませんか?」と、ご提案をいただいたことに端を発するこの企画。
その後、周年記念ビール醸造に話が大きく発展したことで、めでたく当館も企画の仲間入り。
熱狂的なビールファンを多数?有する当財団としても、大きな快挙となりました…!
具体的に話が動き始めたのは5月のこと。
それからこれまでの間、醸造長の高さんやマネージャーの福島さんとともに、どんなビアスタイルにするか、どんなホップを使うか、PR作戦をどうするか、ネーミングをどうするか等々、かなり綿密に打ち合わせを積み重ねてまいりました。(おかげで酒量が増えました(笑))詳しいビールの紹介などは後篇に回すとして、今回は、案外すんなり?決まった各館のビアスタイルのみ発表させていただきます。
まずは、静岡音楽館AOIから。
1995年5月に室内楽専用ホールとして誕生した静岡音楽館AOI。
JR静岡駅前の文化施設では、最も格式高く、古典的な風格が漂います。
そんな優雅さと荘厳さをあわせもつ音楽館からイメージされたのが、ドイツ・デュッセルドルフ市発祥・正統派「アルト」。静岡音楽館AOIといえば「やっぱりドイツ!」とは、醸造長の談。
“オールドイツ”にこだわったアルトづくりがスタートしました。
次に、静岡市美術館です。白くて、シンプルで、開放的な雰囲気の静岡市美術館。
そんな当館からイメージされたのは、すっきりスタイリッシュな「フレンチセゾン」。
もともとは田舎で飲まれていた「セゾン」ですが、今ではなんだか「とんがっててお洒落な雰囲気」。
当館のイメージに合うように、小麦を使ってやや白く、マイルドな飲み口のセゾンづくりが始まりました。
去る7月10日には、財団トップと各館長が、ビールの仕込みのお手伝い。
夕方、担当者のみで再訪したときには、おまけでホップやハーブスパイスの計量や投入まで体験させていただきました。工場内部。なんだか近未来的!?
ホップ一発目の投入では、100度を超える麦汁が一気に噴出!
今回はサービスショット。いつもより多く溢れています(笑)どこぞのマキアートかと見紛うアルトに、超フレッシュなフレンチセゾン。
まだまだ酵母が混在しているので、かなり濁っています。でも、飲めました…。発酵が終わった後、1日2℃ずつ、ゆっくりゆっくり時間をかけて温度を落として、
ゆっくりゆっくり酵母を沈殿させて…ようやくここまで透明に!!
いわゆる”若ビール”。この状態でもう十分おいしく飲めました。
・・・と、今回はここまで。こんな風に、普段はなかなか知ることのできないビールの醸造過程を紹介できるのも、まさにオリジナル企画ならではのことではないでしょうか。
さて次回は、いよいよ完成間近のビールについて、写真とともに詳しくご紹介します。
乞うご期待!
最後に、まさに職人な醸造長の背中を。
我らのビールを、どうぞよろしくお願いします!!(m.m)
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2015年02月12日 2月15日、カタログ刊行記念・トークセッション「ヒトのカタチ、彫刻」開催!
昨年末からエントランスホールで開催中のShizubi Project 4「ヒトのカタチ、彫刻」(3/22日まで)、皆さんもうご覧いただきましたか?エントランスには、樹脂や陶、漆を素材に、それぞれの”ヒトのカタチ”を展開する3人の作品がならんでいます。さて、その関連事業として今週末の日曜日に、カタログ刊行記念・トークセッションを実施します。3人の出品作家に加え、公式カタログにテキストを執筆いただいた気鋭のお二人の識者を交え、ヒトのカタチと彫刻にまつわる様々なお話をお聞きする予定です。参加無料、申し込み不要ですので、是非、この機会にご参加ください。●Shizubi Project 4「ヒトのカタチ、彫刻 津田亜紀子/藤原彩人/青木千絵」カタログ刊行記念 トークセッション「ヒトのカタチ、彫刻」日時:2月15日(日)14:00~16:30(開場13:30)会場:静岡市美術館多目的室 参加無料 申込不要【進行:静岡市美術館学芸員 伊藤鮎】14:00以倉新(静岡市美術館学芸課長)「ヒトのカタチと『彫刻』」(15分)金井直(信州大学人文学部准教授)「チョウコク あるいは、弱い触角」(15分)阿久津裕彦(美術解剖学)「人体と人体彫刻」(15分)14:50~15:00(10分) 休憩津田亜紀子(10分) 自作紹介藤原彩人(10分) 自作紹介青木千絵(10分) 自作紹介ディスカッション・質疑応答(60分)16:30 終了美術館のエントランスホールを使って、毎年1回、現代の美術を紹介してきたシズビプロジェクトも4回目を迎えました。これまでは1人の作家のワンマンショーだったが、今回初めて3人の作家を紹介しています。ギリシャ、ローマの昔から、もともと西洋では「彫刻」とはまずは人の形のことであり、その意味で人体彫刻は「彫刻」の王道なのですが、タイトルで「ヒトのカタチ」と「彫刻」を「=」ではなく「、」でつないだところに、今回のプロジェクトのささやかな意味を込めています。というのも、20世紀初めの「抽象彫刻」の出現とアヴァンギャルド(前衛運動)の進展以降、「オブジェ」や「立体」など、およそ「彫刻」らしからぬものが登場して久しい今日この頃、そんな現代において、何の疑問もなく人体像を「彫刻」として作り続けることはできないだろう、という問題意識なのです。もちろん、今回の3人だけで現代の多様な「彫刻」の状況を概観できるものではありませんが、年齢も素材も違う今回の3人の作品は、現代において人の形を「彫刻」として作ることの意味を考えさせてくれます。津田亜紀子(1969‐)さんの、レース生地や、植物が生い茂る厚手の生地を樹脂で固めた軽やかな女性や子どもの姿。藤原彩人(1975‐)さんの、陶による矮性の小人か、宇宙人のような虚ろな表情の立像。そして青木千絵(1981‐)さんの、漆の漆黒の闇に包まれたリアルな下半身に、ぼってりとした不定形の塊がついた頭のない人の姿。三者三様のヒトのカタチに、現代に生きる「私」とは何かを考えさせられます。津田亜紀子 椅子に座る06 2006年 樹脂、布藤原彩人 首像/意識の壺 2014年 施釉陶青木千絵 BODY10-1 2010年 漆、麻布、スタイロフォーム撮影:神藤 剛(a.i) -
2014年03月29日 今年も”鯉のぼり”、つくります!
3月も残すところあと2日、もうすぐ4月ですね!
さて、静岡市美術館の、新年度最初のワークショップは
祭事や年中行事をとおして季節を感じ、それをかたちにする
暦とあそぶワークショップvol.8
「こどもの日だ!家族みんなで”鯉のぼり”をつくろう」を開催します。実は、昨年もこどもの日にあわせて、”鯉のぼり”をつくりました。
12組33人の親子にご参加いただき、こんなに圧巻の鯉のぼりが完成!ご好評を頂いたため、今年も開催することになりました!
ぜひ、ご家族そろってお越しください。(小学生以上のご家族ならどなたでも)
【申込締切:4月11日(金)必着】お申込はこちら
↓
https://shizubi.jp/event/_vol8.phpご興味を持った方、過去のブログもご覧ください。
↓
https://shizubi.jp/blog/2013/06/428.phpそして、何と!
今回はワークショップの開催にあわせ、鯉のぼりの展示を当館エントランスホールで行います!
詳細は、また追ってホームページでご案内します。
こちらもあわせて、ぜひご覧ください!
皆様のご来館をお待ちしております。(s.m)
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2014年03月21日 めぐるりアート静岡展 いよいよ今週末まで!
日差しが暖かく、春めいて来ました。
市内6会場で、今を生きるアーティスト8人の作品を紹介する「めぐるりアート静岡」(~3/23)も、明後日までとなりました。松澤有子《そらいろに透く》
サイズ:舟:6m、雲:70cm、100cm、135cm
素 材:和紙、染料、ワセリン筧有子《compendium of seasonal words》
制作年:2013
サイズ:96cm×360cm(可変)
素 材:白麻紙、顔彩筧有子《水は方円の器に従う》
制作年:2013
サイズ:26.7cm×36.5cm ○点
素 材:紙、顔彩筧有子《穏やかな日々のために》
制作年:2014
サイズ:46.3cm×342cm
素 材:布、刺繍糸、粘土、木材、キルト芯、絵絹、顔彩明日、明後日は、トークやクロージングパーティも予定されています。
市内の見どころ情報満載の「めぐるりマップ」(各会場で配布/スタンプラリー付き)を片手に、是非、静岡にアートで”めぐるり”しにお出かけください。(明日、明後日のイベント)
〇3/22(土)14時~ 静岡県立美術館 県民ギャラリーB
奥中章人さん、大橋史人さん アーティストトーク(参加無料・申込不要)〇3/23(日)13時30分~15時 GALLERY PSYS
鈴木まさこさん ライブペインティング&トーク(参加無料・申込不要)〇23日(日)16時~ GALLERY UDONOS
持塚三樹さん アーティストトーク(参加無料・申込不要)●23日(日)18時~20時 スノドカフェ
クロージングパーティー
(申込不要 参加費:2000円(学生1000円))(A.I)
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2013年08月27日 「わた死としてのキノコ」 9/1記念対談&ライブ!
天井の高い美術館のエントランスホールの空間全体に、菌糸がはびこり、まん中にはぽっかりと巨大なキノコが浮かんでいる―
現代のさまざまな美術を紹介するシズビプロジェクト、8月6日から始まりました。
3回目の今年は、「軽やかな彫刻」で知られる美術家・今村源(いまむら はじめ/1957~)さんです。
見上げると、2,3mはありそうな傘の裏側には、薄緑色の襞がびっしり、近くの柱に取り付けられた「滑り台」の階段を登ると、オレンジ色に輝く傘の上部が見下ろせます。
ちなみに、「滑り台」の滑る部分は、反対側の柱から伸びていて、あれれ、どうなってるの?!
ほかにも、カフェの椅子が菌糸に絡めとられて、逆さまに浮かんで回転していたり、まっ白な男の裸体像がきゅっとひしゃげて逆立ちし、昔懐かしい冷蔵庫の中にはシダが茂っていたり・・
キノコは普段、菌糸として森の地下にひっそりと広がっています。
落ち葉や生き物の死骸を分解し森の生態系を支えている菌類。
私たちの目には見えないところで、しかし確実に存在し世界を支えているキノコは、そんな菌類が胞子を飛ばし子孫を残すために、つかの間、地上に顕れた姿です。
私たち人間も、そんな命の流れを考えるとき、個としての私など流れのなかのほんの一瞬の姿に過ぎない。
日々悩んでいる「わたし」もやがて大いなる命の流れの中に戻っていく― キノコの姿に今村さんの思索は、広がります。
実はこのキノコ、巨大なラッパになっていて音も出るとか・・ 今週日曜日、9月1日には、記念対談&ライブも開催します。
第1部の対談は、今村さんご本人と、今村さんの作品をその最初期からずっと見てきた建畠晢先生(美術評論家/現京都市立芸大学長)に、今村さんが出発した80年代の美術状況も踏まえて、”軽やかな彫刻”についてお話を伺う予定です。
第2部では、ピアノとサックスによる現代音楽ユニット「.es(ドットエス)」のおふたりを関西からお招きして、実際に巨大な「キノコ」を演奏して頂きます。一体、キノコはどんな音が出るのでしょうか?
どちらも、参加無料、申込み不要ですので、是非、お出かけください。●記念対談&ライブ
日時:2013年9月1日(日)
第一部 記念対談 14:00~15:30(開場 13:30)
対談者 ∥ 今村源 [美術家]
建畠晢 [京都市立芸術大学 学長]
司 会 ∥ 以倉新 [静岡市美術館 学芸課長]
会 場 ∥ 静岡市美術館 多目的室第二部 記念ライブ 16:00~17:00
出 演 ∥ .es (ドットエス)
橋本孝之(サックス、ギター、ハーモニカ、改造尺八等)と
sara(ピアノ、パーカッション、ダンス他)の二人の即興演
奏家によるコンテンポラリー・ミュージック・ユニット。参 加 料 : 無料
対 象 : どなたでも50名
申 込 : 不要 当日直接会場へお越し下さい9月21日(土)には、今村さんと菌類学者の小川眞先生との対談も予定しています。
昨年出版された岩波新書『キノコの教え』の著者で、80歳にならんとする気骨ある、しかし飾らない小川先生のお話は面白く、こちらもお勧めです。お楽しみに。
★作品集刊行記念対談「キノコの教え」 9月21日(土) 14:00~16:00
(a.ik)
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