• 2012年08月17日 “京・冷泉家と徳川家のコラボレーション”

    冷泉家の乞巧奠(星祭り)は、毎年旧暦の七月七日に行われます。
    これは年に一夜の星の逢瀬(おうせ)を祝し、かつ技の巧みな星に自らの技を手向けて上達を祈る、というものだそうです。和歌の宗家である冷泉家では、七夕の日の夕方、二星にむかって雅楽を奏し、和歌を手向け、兼題を披講(ひこう/声に出して詠む)し、次に「流れの座」となり、白布を天の川に見立て、男女が相対し、歌を詠みかわして贈答するそうです。

     

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    本展で展示している乞巧奠の祭壇 星の座は、織姫と彦星に手向けられた、お供物といっていいでしょう。
    角盥(つのだらい)には梶(かじ)の葉を浮かべ、九本の灯台に明かりをともし、海の幸、山の幸を各九種、秋の七草、五色の絹・糸、そして雅楽の楽器(琴と琵琶)を飾る。

    この雅楽の楽器、本展では静岡浅間神社の御好意で、江戸幕府十五代将軍・徳川慶喜の父、徳川斉昭が自ら作り愛用したと伝えられる琵琶を二星に手向けています。
    この琵琶は、雅楽の家である東儀家が、安政三年に斉昭より賜り、大正十三年に東儀家より静岡浅間神社へ奉納されたもの。

     

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    平安時代以来、宮中の年中行事として伝えられた乞巧奠の形を、ほぼそのまま守り伝える冷泉家の星の座もなかなか目にする機会はありませんが、冷泉家の星の座と斉昭の琵琶が一緒に展示されることは、今後、おそらくないでしょう。
    冷泉家も、静岡ならではのこの趣向を大いに喜んで下さり今回実現しました!

     

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    因みに徳川将軍家には中華文人の書斎を飾る文具が「七夕飾文具」として伝来しています。幕末から明治期には既に、乞巧奠は主に女性の裁縫や書道の上達を祈るものとして浸透していましたが、高貴な男性の詩文書画の上達を祈り、七夕飾りに文房四宝が選ばれていたとすれば、これまた興味深いことですね。

     

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      本展では第十四代将軍家茂の所用品でガラス製の異国趣味の文具と、徳川宗家第十六代を継ぎ、初代静岡藩知事となった家達(いえさと)の文人好みの四君子(蘭竹梅菊)の意匠で統一された七夕飾文具を展示しています。

      公家社会で伝えられてきた七夕の行事も、江戸時代には五節句の一つとしてどちらかといえば女子の行事としての色が強かったようにも思いますが、静岡や徳川家とのかかわりの中で、本展では意外な展開を見ることができました。
    年に一夜の星の逢瀬(おうせ)どころか、もう二度とない、取り合わせでしょう。

      本展も残り2日となりました。この機会をぜひお見逃しなく!

                                                                                                                                 (e.y.)

     

  • 2012年08月15日 「夏の星空を観察しよう」7月29日実施

     

     今回の講座は、静岡市美術館の「七夕の美術」の美術館学芸員によるギャラリートークで、美術作品から七夕の歴史を学び、美術展の中での静岡科学館スタッフによる「宇宙散歩」で天文学から見た七夕を学び、そして最後に市内小・中・高の教員ボランティアによる「観望会」で実際の星空を観察するという盛りだくさんの内容でした。
     
     1週間ずっと曇天がつづくという、天文担当のスタッフを悩ませる中でスタートした講座でしたが、美術館の作品解説が始まると、参加者は伝統的な七夕の様子や、生き生きと描かれる七夕と人々のかかわりかたに、興味津々の様子でした。

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     日詰明男氏と市民のコラボレーション作品「羽衣天の川」が出迎える。

     

     

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    学芸員の解説に、大人も子どもも納得。

     

     

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     静岡科学館スタッフによる「宇宙散歩」では、夏にみられる星座の紹介や、七夕の主役、織女星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)や、その間に横たわる天の川の正体など、星々を宇宙からのぞいてみるプログラムに、参加者からは驚きの声が上がっていました。

     

     会場を近隣の小学校(静岡市立森下小学校)の校庭に移し、最後の観望会です。天頂の星がかろうじて見える状態で惑星を観察することはできませんでしたが、月やこと座のベガとその周辺の星、うしかい座のアルクトゥルスなどを観察することができました。実際に自分の目で星を見るということは、参加した子どもたちにとって新鮮であり、講師と星について語ることで、星や宇宙への興味を膨らめていました。

     今回の講座で感じたことは、星に思いをはせながら眺めることで、子どもたちは闇と星から創造力を膨らませ、大人は癒しを得られます。特別な道具がなくても、まずは星を見上げることから始めてみよう、ということでした。

     

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    観望会ではフラッシュがたけません。すべてこんな写真でした。

     

     さて、「七夕の美術」最終日の7月19日(日)には、「展示場で宇宙散歩」を行います。 

     宇宙散歩では、国立天文台が制作した宇宙の映像を迫力ある大画面に映し出し、太陽系から宇宙の果てまで静岡科学館スタッフがご案内していきます。天文学から見た七夕をはじめとして、途中クイズも交えながら基本情報から最新の宇宙情報まで映像を使ってご紹介します。

     
     前回行った際には、大人から子どもまで様々な質問も飛び出してアットホームな形で進めることができました。七夕の話をはじめ、宇宙のことを聞いてみたいという方も是非足を運んでみてください。

     

    静岡科学館 池田博史

     

     

     

     

     

  • 2012年08月08日 もう一つの七夕

     

    昨日は8月7日、月遅れの七夕、今年、平成24年はこの日が立秋でした。

    なるほど、今朝の静岡はいつもより涼しくて
    秋きぬと 目にはさやかにみえねども 風の音にぞ おどろかれぬる でした。

    七夕の美術展も残すところあと2週間、まさに大詰めです。

     

    8月6日の静岡新聞に、日詰明男さんの記事が掲載されました。

    このブログでも紹介しましたが、七夕展の関連展示として葵タワー1階エントランスにフィボナッチタワーを、そして3階の美術館エントランスに羽衣天の川を、市民の皆さんと一緒につくってくださった、アーティストです。

    今回、日詰さんに、葵タワー1階(地上界)エントランスに、展示室のある3階・美術館(天上界)まで届くような竹のタワーの制作を、そして美術館のある3階(天上界)に羽衣天の川の制作を依頼したのは、本展の見どころの一つでもある、「天稚彦の物語」のようなことを、現代作家と一緒にしてみたかったからです。

    この天稚彦の話は、ぜひみなさんに楽しんでいただきたい、知っていただきたい、もう一つの七夕ともいうべき、とってもユニークな七夕のお話です。

    本展では、とにかくいつ来ても、通してお話がわかるように、こんなふうに展示しました。

     

     

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    このお話、とっても面白いのです!

    皆さんは、織姫と彦星の七夕の話は、小さい頃からよくご存知だと思います。

    織姫と彦星のお話は中国からやってきたものですが、この天稚彦の話は、日本独自の物語!

    しかも、天稚彦は天から地上に降りてきて、姫に構わず勝手に天に帰ってしまうし。
    姫は天稚彦に会いたくて、自力で、まるでジャックと豆の木みたいにして天に昇るし。

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    安城市歴史博物館本

     

    天にいけば、箒をもった箒星や、昴に出会うし。
    しかも昴(すばる/プレアデス)はセブンシスターズ(seven sisters)で描かれていてかわいいし。

     

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    安城市歴史博物館本

     

    それから天の川は、西洋ではミルキーウェイだけれど、この話では、天稚彦のお父さん(鬼)が投げた”瓜”が割れて誕生したり、姫の涙でできたり、、

     

     

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    専修大学図書館本

     

    そういえば、冷泉家の乞巧奠 星の座で、織姫と彦星に捧げられたお供物、海の幸山の幸には、瓜がお供えしてありましたね

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    うりなすび ももなし からのさかづきに ささげらんかず むしあわびたい(瓜茄 桃梨 空の杯 ささげ 蘭花豆 蒸鰒 鯛)

     

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    「天稚彦の物語」に冷泉家の「乞巧奠 星の座」

    ぜひご来館になってご覧ください!
    統計をとってはいませんが、来館者アンケートやギャラリートークをしたときのお客様の反応から察するに、大変人気です!!

    遠方の方は図録でお楽しみください
    今回、サントリー美術館本、専修大学図書館本、安城市歴史博物館本、の図様を比較できるようにして図版を掲載しました。
    お陰さまで、売れ行きがよく、売り切れ御免!という状況です
    お早めに!

    (e.y.)

  • 2012年08月05日 東西七夕美人対決 深水VS恒富 そして雪岱

     

     ただ今、後期展示の七夕の美術展展示室では、東西の近代美人画家による七夕対決!

     東は、日本近代を代表する美人画家・伊東深水《銀河祭り》(左側)

     西は、近年注目される大阪の美人画家・北野恒富《願いの糸》(右側)

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    本展を準備する中で、また実際作品を展示していて、改めて、近代を代表する日本画家たちにとって七夕という画題が大切なものだったんだということを感じます。
     (その理由は、まだ私にはわからないけれど、、、)

     しかも、私たちが今では忘れている七夕の風習が描かれることが多いこと!

     二人が描いた七夕の風習とは、、、、

     旧暦の七月七日(本年は八月二十四日にあたります)、女性たちは盥(たらい)の水に”天の川”を映し、その上で針に糸を通すことで、裁縫の上達を祈ったといわれています。これは、冷泉家に今なお伝えられる乞巧奠(きっこうでん)と呼ばれる技芸の上達を祈る星祭りの風習にもよります。

     左側の伊東深水《銀河祭り》と右側の北野恒富《願いの糸》

     いずれも、この、私たちが忘れている七夕を描いた、とっても魅力的な作品です。

     

     まず、左側の作品、深水からみてみましょう。
     薄い青の着物を着た女性が、水がなみなみと張られた盥の前にしゃがんでいます。彼女は一心に針に糸を通そうとしています。その真剣な表情、真っ白い肌に赤い糸が印象的です。
     頭上には笹の葉に短冊、そして「梶の葉」が象徴的に吊り下げられています。
     そして短冊には「七草や 露の盛りを 星の花」と鬼貫の”秋の句”が認められているのです。
     この作品は一九三八年頃から構想を練り、第二回日展へ出品した彼の渾身の大作!

     一点の破たんもなく研ぎ澄まされた美しさを感じます。

     深水の師・鏑木清方に、ローマで開催された日本美術展へ出品した《七夕》絹本着色 六曲一双 昭和四年(一九二九)大倉集古館蔵がありますが、深水はいわばそのエッセンスをこの堂々たる大幅に描ききっているといえるでしょう。

     

     右の作品、恒富も負けてはいません

     女性の、物思う、なんともいえない表情は、深水の一途それとは違った味わいがあります。

     髪飾りにも☆がきらめいています。何より、当時評判となったといわれる「恒富の赤」が画面を引き締め、効果的ですね

     

     さらにさらに、

     本展では、もう一点、この風習を描いた、とても素敵な作品を展示しています。

     ちゃんと、盥の水に映った星を描いた作品、小村雪岱《星祭り》です。

     

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    小村雪岱《星祭り》金子國義氏蔵

     

     大きな盥の前にしゃがみこむ華奢な美人。彼女が覗き見ている盥桶の中には、まるで蛍の放つ光りのような青っぽい星が五つぶみえるのです。
     彼女の着物には秋の草花である桔梗と薄が描かれています。群青色の桔梗の花はお星様の形と同じ、五角形!薄の曲線は流水紋にもみえ、まるで天の川の衣をまとっているようにもみえますね。

     (ちなみに、この見方は、お客様に教えて頂きました。あの泉鏡花の装丁本などを手掛けた雪岱ですから、着物に描いた桔梗は、秋だけじゃなくて☆を、天の川を意識していたかもしれませね)

     

     

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     初秋の星祭り・七夕は、今も昔も私たちにとって魅力的な行事であることを、こうした作品群は何より雄弁に物語ってくれている、そんなことを考えます。

     この展覧会は残すところあと2週間!今、ここでしか見られません!

     ぜひぜひ静岡市美術館へご来館ください。

     

    (e.y.)

     

     

  • 2012年08月02日 初秋の星祭り”七夕”

     

      七月二十四日から七夕の美術展【後期】がスタートしました。

     明日、八月三日~五日まで、静岡では第65回清水みなと祭りが開催されます。

     お祭りを楽しむ前に、ぜひ、涼しい静岡市美術館にお立ち寄りください!

     ”ゆかた”でお祭りを楽しむ方、あなたの”ゆかた”に負けないくらい、素敵な和服を着た女の子たちの作品を静岡市美術館でみてください。期間限定で“ゆかた割引”開催中です!

     和服に注目して、七夕の美術展でただ今展示されている作品をご紹介しましょう。

     今回は、ポスターで大人気、橋本花乃《七夕》昭和5~6年頃)大阪市立近代美術館建設準備室蔵です 

     

       

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    “女性画家の描く初秋の星祭り”
     

     七人のおかっぱ頭の少女たち。

     どこか懐かしさ、純粋さただよう、ステキな作品です。

     少女たちは、五色の短冊を切り、お習字をして、「七夕」と記された短冊を「はいどうぞ」と手渡し、笹竹につけている様子が、二曲一双の屏風の中で右から左へ流れるように展開しています。赤、青、黄色、白、緑の鮮やかな短冊に呼応するかのような、少女たちの着物の描写は、実に見事!

     

     

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     着物の柄もまたかわいらしいのです。

     右の子は白地に団扇が散りばめられ、笹だけや菊の模様、赤い着物の子は、橘、薄緑色の子は紅葉。薄い赤の子は梅に菊、青い子は流水に紅葉、薄い青の子は真っ赤な菊。

     そう、菊や紅葉は言うまでもなく秋の風物ですね。

     

     七夕と言えば、現代の私たちの生活の中ではすっかり”夏の風物詩”ですが、旧暦では”秋”。つまり、”七夕は秋の初めの星祭り”なのです。昭和初年に描かれたこの作品の中の子どもたちが、こうした秋模様の着物を身にまとうのは自然なことなのです。

    ちなみに短冊に願い事を書くというのも、ごく最近のことのようです。その証拠に画中の短冊にはどれをみても「をりひめさま」「天の川」「二星」などと七夕を象徴する語句が記されています。願い事は一つもありません。

     


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    こんな素敵な屏風を描いたのは、実は橋本花乃(1897~1983)という女性の画家です。彼女は大坂の美人画の名手・北野恒富の門下の雪月花星(星加雪乃、別役月乃、花乃、四夷星乃)の一人に数えられた優秀な画家でした。大正九年には母子の情景を暖かな眼差しで描いた《愛》で第二回帝展入選をはたしている実力者!

     筆力の充実した本作は彼女もまた自信を持って帝展に出品した作品でした。しかし、なぜか落選してしまったそうです。以来、花乃は大規模な公募展への出品をやめ、昭和七年には家庭に入り、結婚後も城田花乃として活動を続けました。

     

     でも、この「七夕の美術展」では、間違いなく一等賞!ですね。

                                (e.y.)

     

     

     

     

     

  • 2012年07月29日 「しずびオープンアトリエ ”折形”とあそぼう!」8/1よりスタート!

     

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    春・夏の年2回、期間限定でオープンする「しずびオープンアトリエ」。
    これまで、開催中の展覧会に関連した、オリジナル創作プログラムを実施してきました。

    昨年の夏は「没後150年 歌川国芳展」に合わせ、
    国芳の迫力満点の大判三枚続の作品をもとに、飛び出すカードづくりをしたり…
    https://shizubi.jp/blog/2011/07/post-51.php

    春には「竹久夢二と静岡ゆかりの美術」展に合わせ、
    夢二作品をもとにした手作り「消しごむハンコ」を使って、
    オリジナルレターセットやカレンダーをつくりました。
    https://shizubi.jp/blog/2012/02/post-72.php

    さて今回は、ただ今開催中の
    「七夕の美術-日本近世・近代の美術工芸にみる」展にあわせ、
    七夕などの日本の年中行事とも深い関わりをもつ
    “折形(おりがた)”をテーマにしました。

    ところでみなさん、”折形(おりがた)”ということばを知っていますか?

    “折形”とは、室町時代から続く「贈るものを紙で包む」方法で、日本の伝統文化です。
    戦前までは、人々の暮らしの中にあったものですが、
    最近では、あまり見かけなくなりました。

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    展示作品の中にも、”折形(おりがた)”が描かれているんですよ。
    昔の人々にとっては、身近なものだったようですね。

    “折形(おりがた)”の特徴は、
    “相手への気持ちを込めて、贈り物を包む”ことにあります。

    今回は、お子さんから大人まで楽しめる、そして生活の中で役立つ、
    6つのプログラムを用意しました。

    「七夕の美術-日本近世・近代の美術工芸にみる」展にちなんだプログラムもありますよ!

    今日はその内容を少しだけご紹介します。

     

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    1.草花包み

    大切なあの人に似合う草花を選んで包み込みます。
    子ども用、大人用と2種類の折形を用意しました。
      

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    2.種包み

    突然ですが、”もう一つの七夕”
    「天稚彦(あめわかひこ)の物語」を知っていますか?

    私たちが子どものころから知っている、織姫と彦星の物語とは違う、
    日本独自の七夕の物語なんです。

    そのお話の中に登場する”ひさご”の種にちなんで、種を包んで贈ります。

    「地面に埋めればあっという間につるが伸びて
      天まで人を運ぶ、この魔法の”ひさご”にのって空へ昇ろうと思った。」

                もう一つの七夕の物語-「天稚彦(天稚彦)の物語」」より抜粋

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    《七夕のさうし》専修大学図書館(部分)【後期】(会期中展示替えあり)    

     

     

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    3.絵巻包み

    「天稚彦(あめわかひこ)の物語」の絵巻を包んで、
    大切なあの人に”もう一つの七夕の物語”を教えてあげましょう。

          

     

    「天稚彦(あめわかひこ)の物語」には、こんなシーンもあります…!

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    《七夕のさうし》専修大学図書館(部分)【後期】(会期中展示替えあり)

        

    ぜひ展示室で、本物の絵巻をご覧ください!

        

     
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    4.お守り袋

    大切なあの人に似合うお香を選び、願い事を書いた紙とともに包み込みます。        

    幸せが逃げないように、また、良いことが二重に重なるように、
    最後に”二重守り袋結び”をします。
     

    結びはちょっと難しいので中学生以上です。
    でも、小学生の参加者のために、結んだ紐も用意していますのでご安心ください!

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    5.年玉包み(大人向け)

    折り鶴が可愛いぽち袋。
    お金だけではなく、お手紙やお菓子など入れてもいいですね。
     

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    6.祝い包み(大人向け)

    日常の中で目にすることの多い”折形”「結婚祝い包み」。
    折り方と一緒にその意味も学べます。

    お友だちの結婚祝いや、習い事のお月謝袋等、
    自分で折ることができたら、とっても素敵ですね!

    .
    ..以上、6つのプログラムを用意しました。
    オープンアトリエは、毎回リピーターの方が多いワークショップです。
    1つと言わず、ぜひ6つともチャレンジしてみてください。

    そして、皆さんの生活の中に、”折形”を取り入れていただけると嬉しいです。
     

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    オープンアトリエでは、地元の大学生ボランティアさんが、
    参加者の皆さんの制作をサポートします。

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    先日、みんなで折形の練習会をしました。
    「難しい作業もあるけど、完成した時の喜びは一入ですね!」とT君。

     

    この夏、”折形”に挑戦してみませんか?
    ワークショップ室でお待ちしております!

    しずびオープンアトリエ ”折形”とあそぼう!詳細はこちら

    (m.y)

  • 2012年07月25日 天の川の写真が届きました☆

    「七夕の美術」展に合わせ、美術館のエントランスホールに出現した「羽衣天の川」。

    これを見学した静岡市立安東中学校芸術部の皆さんが、学校に天の川を作ってくれたそうです!

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    中学校の美術室前の廊下だとのこと。
    細長い廊下の形を生かした天の川、とてもきれいです。

    天の川の星となっているのは、造形作家・日詰明男さんの考案した幾何学模型、トルネード。
    黄金比を応用して作られた図形を、カッターで丁寧に切り抜いて立体を作ります。

     

    ↓これが切り抜く前の姿。

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    ↓切り抜いて折り目をつけるとこうなります。

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    作ってくださった皆さんの感想は…

     

    「切るところと切らないところの幅が小さくて、めげそうになったことは
    何度もあり、大変でした。でも完成したときは充実感でいっぱいでした。
    一度でいいから自分が作った天の川を織り姫になって渡ってみたいです。」

    「みんなの思いが集まってできた天の川みたいな天井は、
    とってもステキで、ずっと見ていたくなります。」

     

    とのこと。

    本当に素敵ですね!安東中芸術部の皆さん、ありがとうございました!!

    さて、「七夕の美術」も後期展示となり一部の作品が入れ替わりました。

    伊東深水の《銀河祭り》(東京藝術大学蔵)をはじめ見逃せない作品が新たに加わっています。
    展覧会は8月19日(日)まで。ぜひお見逃しなく!

    (k.y.)

     

  • 2012年07月19日 ミュージアム カフェ トーク 七夕をめぐって

    2012年

    6月30日(土)13:30 静岡科学館る・く・る イベントホール
    7月  1日(日)16:00 静岡市美術館 多目的室

    いま静岡市美術館で開催中の展覧会「七夕の美術」は、JR静岡駅前に位置する3つの文化施設による「静岡音楽館AOI×静岡科学館る・く・る×静岡市美術館 共同事業」のひとつ。それぞれで七夕をめぐるさまざまな事業が展開されているが、6月30日と7月1日にはミュージアム カフェ トークが行われた。
    6月30日は静岡科学館る・く・るで国立天文台副台長・渡部潤一による講演会。織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)は16光年(諸説ある)も離れているので、光の速度でも毎年逢うことはできないが、星の生涯を人間の生涯に換算すれば10秒に1回(諸説ある)は逢っていることになる―なんていうおもしろ味たっぷり、子どもにも判りやすい語り口で、星空の壮大なパノラマを手にとるようにありありと想い描かせ、旧暦の七夕には舟のかたちに欠ける月が、天の川をはさんで位置するベガとアルタイルをとり結ぶのだという、天体の運動に七夕の伝説が生まれた背景を読み解くみごとな解釈は、ロマンティックでありながら、しなやかな説得力があってとても愉しかった。

     

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    翌7月1日は静岡市美術館で。静岡音楽館AOI企画会議委員で国立劇場芸能部副部長の田村博巳をゲストに、この展覧会をつくった学芸員・吉田恵理がコーディネーター。この展覧会は、静岡音楽館AOIの委嘱作品、寺嶋陸也の作曲による箏歌《星合曲(ほしあいのうた)》から着想された。寂蓮、山上憶良の詩(うた)を田村博巳が構成したその詞章は、寂蓮の「七夕の 逢う夜の庭に おく琴の あたりにひくは ささがにの糸」に始まるが、それはいにしえの七夕の儀式、乞巧奠(きっこうでん)にまつわる。トークでは、たぶん30分以上かけて、この31文字(みそひともじ)を丹念にひも解き、乞巧奠の奥深い世界をつまびらかにした。いまも京都の冷泉家に粛々と伝わる乞巧奠、そこでしつらえられる祭壇《星の座》がこの展覧会で再現されている。まずふつうに眼に触れられるものではない。

     

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    さらにこのトークは、日本の伝統の範疇とはいえ、奈良・平安から現代も含み、京阪、江戸、琉球に及んで、音楽と美術に風俗・風習を交えて、七夕にまつわる文化を縦横無尽に渉猟し、そこに、季節のうつろいとともにある、つつましやかな「願い」や「想い」をかいまみせた。かつての日本には、そうした趣の豊穣な世界があって、どうして私たちはそんなすてきな感性を忘れかけようとしているのだろう―。あらためて北野恒富の《願いの糸》という作品を観ると、それがただたんに美人画として優れているだけでなく、描かれた彼女の心情を、生々しいまでに活き活きと実感できる。つい100年ぐらい前まで、七夕についての前提的な了解が日本の文化的な共通理解としてあったはずだ、という認識は、けっこう重たい意味を孕んでいると思う。重たい意味を孕んではいるけれど、こんな展覧会が、七夕のほんとうの季節、初秋の風にも似て涼しげに、さりげなく、私たちが失いかけているたいせつなものを想いおこさせてくれる。

     

    小林旬(静岡音楽館AOI学芸員)

     

     

     

  • 2012年07月08日 七夕のまつりに

    昨日は七夕
    太陽暦の七月七日にしてはめずらしく雨にあわずに、雲の間からお星様一つ、見えました!

     

    ただ今当館では七夕の美術展、好評開催中です☆
    この展覧会は、静岡音楽館AOIのコンサート、「日本の響きでつづる 七夕のまつりに」に触発されて、静岡駅前の音楽館、科学館、美術館が連携して七夕をテーマに事業展開する中で生まれたものです。

     

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    三館がスクラム組んでできた”七夕”を静岡の皆さんに満喫してもらっております。

     

    七夕の前日七月六日の夜は、美術館で、伶楽舎の三人の方による「雅楽:星空の調べ」というミュージアムコンサートが、七夕の夜は、静岡音楽館AOIでコンサート「日本の響きでつづる 七夕のまつりに」が開かれました。

     

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    七夕前夜のミュージアムコンサートでは、美術館の多目的室に幻想的な風景が広がりました。宮田まゆみさんのお話も、笙の音も、無限に広がる宇宙が展開していくようで、とても不思議な気持ちになりました。

     

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    七月七日の「七夕のまつりに」も、とっても素晴らしいコンサートでした。
    まず、朗詠「二星」
    「二星適(たまたま)逢えり、
    未だ別緒(べっしょ)依々(いい)の恨みを述べざるに
    五夜将に、明けなんとす
    頻りに、涼風颯々(さつさつ)の声に驚く」
    透き通った、清らかな声が、体中にしみわたりました。。。

     

    続いて、義太夫節「杉酒屋の段」
    人形浄瑠璃がなくても、こんなにリアリティーがあるんだなあと改めて思いました。
    お三輪が思いをよせる、求馬(もとめ)の心が変わらないよう七夕様に願をかけ、赤い糸の苧環を持たせ、自分は白い糸の苧環を持つ。このお三輪の恋心がひしひしと伝わってきます。

     

    そして、琉球舞踊「かせかけ」
    ゆったりとした、そして品格のある、まさに琉球王国の調べ、とでもいうのでしょうか。なんともいえない風格がありました。そして舞踏がまた素晴らしい。頭の先から足の先まで隙が無い!もちろん衣装も色鮮やかで、この世のものとは思えないほどの美しさでした。

     

    そしてそして、なんといっても
    箏歌「星合曲(ほしあいのうた)」
    七夕の 逢ふ夜の庭に おく琴の あたりにひくは ささがにの糸
    乞巧奠を象徴するような、この和歌をはじめ、ゆったりと、清らかに、澄んだ音に体中が包み込まれ、別世界へつれていかれるような、そんな気持ちになりました。

     

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    こんな素晴らしいコンサートとコラボレーションして作った七夕の美術展
    展示室では、コンサートの清らかさ、崇高さに負けないくらいの美しく、人々の思いが込められた作品がたくさん展示されています。
    ポスターで御馴染になった、橋本花乃の懐かしく純粋な心持の《七夕》、夢二の薄物の着物が見事な《七夕》、北野恒富の《願いの糸》。盥桶に天の川が映ったところまでも描いた、小村雪岱の《星祭り》。そして冷泉家の乞巧奠星の座。名匠隅谷正峯による《七星剣》は、まさに太古へ思いを馳せるに相応しい名刀。
    さらに、もう一つの七夕、天稚彦の物語絵巻きは三種類展示されています!
    七月七日は、この天稚彦の物語について、大月千冬さんという若い研究者によるとても明解なご講演もあり、本当に七夕尽くしでした!

     

    展覧会は本当の天の川が見える、旧暦の七月七日(本年は八月二十四日)までは無理でしたが、八月十九日まで続きます。七月二十二日で前期が終了し、大きく展示替えがあります。(因みに旧暦の七夕、八月二十四日はエントランスで旧暦七夕コンサートが開かれます!)
    皆様のご来館をお待ちしています☆

     

    (e.y)

  • 2012年07月04日 エントランスホールに天の川が登場!

    展覧会「七夕の美術-日本近世・近代の美術工芸にみる」開幕から約2週間。
    あと数日で7月7日、もうすぐ七夕の日がやってきますね。

     

    静岡市美術館のエントランスホールには、長さ約30mの天の川が流れています。
    天の川にはカラフルなお星様がたくさん!

     

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    この天の川を設計したのは、黄金比の研究者で造形作家の日詰明男さん。
    一風変わったお星様は、日詰さんが考案した幾何学模型「トルネード」です。
    わずかな風にも反応し、くるくると回るさまはまるで風車のよう。

     

    今回、天の川に飾っているお星様は、島田市立川根中学校の生徒の皆さん、
    静岡市藁科生涯学習センター「みのり大学藁科学級」受講者の皆さんが、日詰さんと一緒に作ってくれました。
    よーくみると”健康第一””孫のお嫁さん”などなど…願い事が書かれているお星様もあります!
    天の川は8月24日(金・旧暦の七夕)まで展示していますので、ご来館の際は天の川を見上げてみてください。

     

    日詰さんによる「アーティストトーク&ワークショップ黄金比の七夕飾りをつくろう!」
    7月14日(日)《プレアデス》を作る
    7月16日(月・祝)《星籠》を作る
    いずれも若干名ですが、参加申込みを受け付けています。
    静岡市美術館へ、お電話でお申込みください(TEL:054‐273-1515)。

     

     

    そして・・・

    静岡市美術館のお星様が、アイセル21(静岡市葵生涯学習センター)に飛んでいったようです!

     

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    エントランスに飾られている七夕飾りの中に、お星様がかくれています!

     

    この七夕飾りは、7月8日(日)まで展示されています。
    お出かけの際は、ぜひお星様を探してみてくださいね。

     

    静岡市生涯学習センターのホームページには、講座情報・イベント情報がたくさん!
    楽しい”学び”を見つけるチャンス!ぜひご覧ください。
    静岡市生涯学習センター http://sgc.shizuokacity.jp

     

    (c.o)