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2022年04月10日 「新しさ」を巡る挑戦の軌跡
いまだかつてない独創的な芸術表現を開拓すること。それは古今東西、画家たちの創作意欲をかきたて、飽くなき探求へと向かわせてきた普遍的なテーマだと言えるかもしれません。19世紀後半から20世紀前半のフランスでは、そうした「新しさ」を追い求める美術流派が次々に現れ、拮抗と超越を繰り返しながら、芸術の定義を幾重にも塗り替えていきました。
その口火を切ったのが印象派です。彼らは意図的に筆あとを残す筆触分割という技法で身近な風景を描き、滑らかな絵肌と高尚な主題を重んじる従来の芸術観を一蹴しました。あまりに自由な筆遣いゆえに形態の崩壊を招いてしまった印象派の技法。そこで新印象派の画家たちは筆触分割に科学理論を適用した点描法を編み出し、色彩と形態の両立を試みます。一方、ポン=タヴァン派の画家たちは目に見えるものを見えるままに描く印象派の芸術に疑問を覚え、平面性を強調した装飾的な様式で内面世界を表しました。その実践はほどなくしてナビ派へと引き継がれていきます。
20世紀初頭には、色彩で自律的な絵画空間を構築した新印象派の衣鉢を継ぎ、鮮烈な色調で主観的な感情を表現するフォーヴィスムが誕生。対して形態の探求を行ったキュビスムによって、モチーフを幾何学図形に分解、再構成する斬新な空間表現が提唱されます。戦間期になるとエコール・ド・パリの画家たちがこれらの絵画様式を融合させ、各々に個性豊かな作風へと昇華していきました。
ジュネーブのプチ・パレ美術館の所蔵品で構成される本展では、38作家65作品によって、この時代に開花したフランス前衛美術の系譜をひも解きます。「新しさ」を巡る画家たちの挑戦の軌跡にご注目ください。
(c.f)
「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
休館日:毎週月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館
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