過去の展覧会
展覧会のみどころ
Ⅰ. 心華やぐ!ボタニカルアートの世界
科学的視点で描かれたボタニカルアート(植物画)は、写真誕生以前、貴重な記録であり研究資料のひとつでしたが、植物学の歴史を培うなかで次第に芸術性を見出されるようになりました。本展ではイングランドの国花であるバラをはじめ、チューリップ、ボタン、ランなど多数の植物が登場します。観察に基づいた精緻な描写と美しさが融合するボタニカルアートの世界を存分にお楽しみください。
©The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew
Photo Brain Trust Inc.
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Ⅱ. 歴史に名を残す植物画家を紹介
分類学の父リンネと親交のあったゲオルク・エーレット(1708-1770)やキューガーデン最初の専属画家フランツ・バウアー(1758-1840)の貴重な水彩原画を紹介。さらに『フローラの神殿』『カーティス・ボタニカル・マガジン』といった出版物など、ボタニカルアートの歴史を語る上で欠かせない作品を紹介しながら、啓蒙思想を背景とした英国における自然科学の発展やキューガーデンの歴史を紐解きます。
植物画の様式を築いたエーレット
©The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew
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ロバート・ソーントン(1768?-1837)編集による、分類学の父リンネの学説を明示するような贅を尽くした植物図譜。植物の背景に風景が描かれた特徴的な図版は、植物画を専門とする画家ではなく、当時の流行画家たちによって描かれました。
Photo Michael Whiteway
『カーティス・ボタニカル・マガジン』(1787年創刊) は、現在もキューガーデンが刊行を続ける学術誌です。植物図版の制作は、英国最良の植物画家たちが手がけました。
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Ⅲ. シャーロット王妃が愛したウェッジウッド
キューガーデンの拡張に寄与した国王ジョージ3世の妃シャーロットが愛したウェッジウッドのクイーンズウェアのほか、ダービー、ウースター、など王室ゆかりの陶磁器も展示。さらに当時の建築・工芸のデザインの主流であるジョージアン様式の部屋を部分的に再現し、ボタニカルアートを愛した人びとの暮らしぶりも紹介します。
Photo Michael Whiteway
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Ⅳ. 世界中でボタニカルブーム到来!
ガーデニングファンだけでなく、近年植物は、ファッション、インテリア、フード、美容など、若い世代のライフスタイルにも浸透しつつあります。本展では様々な関連イベントを通して、植物と人間との関係にも目を向けます。館内には、造花によるフラワーウォールのフォトスポットも登場。静岡駅構内の生花店や、近隣レストランとの連動サービスも予定しています。日々の生活に目を向け、彩りを与える展覧会となるでしょう。
キュー王立植物園 Royal Botanic Gardens, Kew
キューガーデンの愛称で親しまれている同園は、ロンドンの南西部テムズ河畔にあり、132ヘクタールにおよぶ庭園を擁する世界を代表する植物園です。園内には3万種以上の植物および約14,000本の樹木が植えられています。1759年にジョージ3世の母親であるオーガスタ皇太子妃によって設立された同園は、その面積を拡張すると共に世界各地から様々な植物を収集してきました。ジョージ3世とその妃シャーロットが愛したキュー・パレスや世界最大の規模を誇る温室テンペレート・ハウスなど、特徴的な建物も見どころのひとつです。
現在のキュー王立植物園は世界的な観光地である一方、植物と菌類における科学の分野で世界をリードしている研究機関でもあります。2003年には、その植物コレクションの多様さが評価されたのみならず、庭園技術の歴史と発展における多大な貢献が認められ、ユネスコ世界遺産の指定を受けました。
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