過去の展覧会
みどころ
- 全てが国内初出展!ボストン美術館所蔵の武者絵118点により、江戸で人気の英雄(ヒーロー)を描いた武者絵を紹介
- 武者絵人気はここにも!?武者絵と共通の図様がデザインされた鐔を並べて展示
- 海外のコレクションでは最高峰!ボストン美術館の名刀20口が里帰り
- 国宝、重要文化財の名刀は静岡会場のみ!国内所蔵の刀剣6口も特別出品
- 物語が一目でわかる!武者絵4コマ漫画が会場に登場
神代の武勇譚
日本神代の物語は古事記・日本書紀、各地の風土記などにより伝えられました。その中には天照大神や素戔嗚尊など神々だけでなく天皇や地方豪族の武勇譚もあります。この時代の物語が武者絵に描かれることは多くありませんでしたが、18世紀以降、武者絵本が登場すると人気となり、寺社に奉納された絵馬扁額にも描かれました。
栖軽、天皇の命で雷を捕まえる
天保5-6年(1834-35)頃
Bequest of Maxim Karolik
平安時代の武者
平安時代、清和源氏、桓武平氏の2つの武家が大きな力を持ちました。ともにさまざまな武勇伝説があり、特に清和源氏の三代目源頼光には、土蜘蛛退治、大江山酒吞童子退治、市原野の鬼童丸退治など数多くの武勇伝説があります。その家臣である渡辺綱、坂田金時(幼名:金太郎)、碓井貞光、卜部季武は四天王と呼ばれ、それぞれにも武勇譚が語られました。
兄弟弟子である国貞と国芳の人気絵師作品の見比べも必見!
ともにWilliam Sturgis Bigelow Collection
源平時代の英雄
平安末期、平清盛により平氏は栄華を極めましたが、治承4年(1180)に源頼朝が挙兵、源氏と平氏の間で多くの戦いが繰り広げられ、文治元年(1185)、壇ノ浦の戦いで平氏は滅亡します。この間の出来事は『平家物語』『源平盛衰記』などの軍記物語によって語られ、武者絵の画題として大きな割合を占めています。源平の各武将にはそれぞれの活躍場面がありますが、特に源義経は江戸時代に人気のあった英雄です。牛若丸の名の幼少の頃から、兄の頼朝に追われ悲運の最期を遂げるまで、さまざまなエピソードが絵画化されています。
文化10-11年(1813-14)頃
William Sturgis Bigelow Collection
鎌倉時代の物語
『曽我物語』は、父を殺された曽我十郎祐成と曽我五郎時致の兄弟が、18年間の苦難に耐え、源頼朝が催した富士での狩猟の夜、父の仇・工藤祐経を討つ物語。江戸時代には、読み物だけでなく絵画や歌舞伎などで人気の題材でした。この富士での狩猟は、「富士の巻狩」と呼ばれ、猪をしとめる仁田四郎忠常がお決まりの構図でした。
William Sturgis Bigelow Collection
「太平記」の武将たち
『太平記』は、鎌倉幕府の滅亡・南北朝の動乱などを物語る軍記文学で、絵巻物や絵入り版本のほか、江戸時代には「太平記読み」と呼ばれる講釈としても親しまれました。浮世絵では楠正成・正行親子、新田義貞等、南朝方の活躍が画題として多く描かれました。楠正成は湊川の合戦で討死しましたが、後に怨霊となって大森彦七を襲ったという怪異も伝えられており、初期浮世絵の時代から描かれています。
川中島合戦
川中島は現在の長野県の東北、犀川と千曲川の合流する付近です。ここで天文22年(1553)から永禄7年(1564)の12年間に、越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄との戦いが5回行われたといわれています。浮世絵では、武田信玄の軍師・山本勘助の討死や、甲斐・越後の各武将を描いたシリーズなども作られていますが、中でも謙信と信玄の一騎討は、初期浮世絵の時代から人気のテーマでした。
William Sturgis Bigelow Collection
小説のヒーローたち
江戸後期になると、伝奇的な長編小説(読本)が次々に出版され、さまざまな冒険譚が人々の人気を博しました。浮世絵では、中国の小説の英雄を描いた歌川国芳の「通俗水滸伝」シリーズが大評判となり、天保(1830~44)以降、それまでの『平家物語』『太平記』などの古典軍記物ばかりではなく、小説の登場人物も題材となりました。
天保11 年(1840)頃 William Sturgis Bigelow Collection
ボストン美術館の名刀
日本国外では最高の質と量を誇るボストン美術館の名刀コレクションから20口を厳選してご覧いただきます。平安時代中期に遡る伯耆安綱から、江戸時代の堀川国広、井上真改、水心子正秀まで、個性豊かな名工たちの豪華共演が実現します。
所蔵表記のないものは全てボストン美術館蔵 Photographs © Museum of Fine Arts, Boston