過去の展覧会

ブルターニュの光と風
みどころ1絵画を通して見るブルターニュ
みどころ1絵画を通して見るブルターニュ

19世紀から20世紀にかけて、鉄道網が大いに発達し、地域文化への関心が高まりを見せたことで、多くの画家たちがブルターニュを訪れました。絵の中に現れる圧巻の自然風景や、人々が身に着ける民族衣装、信仰と結びついた慎ましい暮らしぶりにご注目ください。

脅威とも恵みともなる海
テオドール・ギュダン《ベル=イル沿岸の暴風雨》
1851年 油彩・カンヴァス
岩々が露出する荒野ランド
アレクサンドル・セジェ《プルケルムール渓谷、アレー山地》
1883年頃 油彩・カンヴァス
人々の慎ましい暮らし
アルフレッド・ギユ《コンカルノーの鰯加工場で働く娘たち》
1896年頃 油彩・カンヴァス


みどころ2フランス近代美術史の流れをたどる
みどころ2フランス近代美術史の流れをたどる

ブルターニュで結成された画家グループとして最も有名なのが、ポン=タヴァン派です。19世紀後半、ポン=タヴァン派の画家たちは印象派の技法を離れて新たな絵画様式を生み出し、さらにそれがパリの画家たちに影響を与え、ナビ派の結成へとつながりました。本展ではブルターニュを舞台とする美術史の展開をご紹介します。

ポン=タヴァン派の誕生とその後
ポン=タヴァン派の中心人物ゴーギャン(左)と、ナビ派への橋渡しを行ったセリュジエ(右)。遠くの海を指さすゴーギャンの身振りは、彼がこの後にブルターニュの小村ポン=タヴァンを離れ、タヒチに向かうことを暗示しています。
ポール・セリュジエ《さようなら、ゴーギャン》
1906年 油彩・カンヴァス
印象派の巨匠モネ
クロード・モネ《アンティーヴ岬》
1888年 油彩・カンヴァス 愛媛県美術館
ナビ派の中心人物、ドニ
モーリス・ドニ《フォルグェットのパルドン祭》
1930年 油彩・カンヴァス
ポン=タヴァン派のクロワゾニスム
アンリ・モレ《ポン=タヴァンの風景》
1888–89年 油彩・カンヴァス


みどころ3知られざるブルターニュの画家たち
みどころ3知られざるブルターニュの画家たち

カンペール美術館には、日本ではあまり知られていないブルターニュゆかりの画家たちの作品が多数収蔵されています。本展では「バンド・ノワール(黒い一団)」と呼ばれる暗い色調を好んだ画家グループや、地元の画家たちにも光を当てます。

バンド・ノワールの中心人物、コッテ
シャルル・コッテ《嵐から逃げる漁師たち》
1903年頃 油彩・厚紙
抒情的風景画の名手
ピュイゴドー
フェルディナン・ロワイアン・デュ・ピュイゴドー《藁ぶき屋根の家のある風景》
1921年 油彩・カンヴァス

ピカソと交流のあったブレ
ピエール・ド・ブレ《ブルターニュの女性》
1940年 油彩・カンヴァス

記載のないものは全てカンペール美術館 Collection du musée des beaux-arts de Quimper, France

「ブルターニュ絵画」の殿堂、
カンペール美術館

カンペール美術館は、1872年にブルターニュ地方のフィニステール県カンペール市に開館しました。当初、そのコレクションの中核を成していたのは、1864年に同市に寄贈されたジャン=マリー・ド・シルギー伯爵の収集品で、フランス、イタリア、オランダ等の古典的名画で構成されていました。しかし1880年代に館長のアルフレッド・ボーが廃れつつあるブルターニュの伝統を守るべく、この地域に取材した絵画作品の収集へと舵を切ります。その後もこの方針は引き継がれ、アカデミスムからポン=タヴァン派、ナビ派、20世紀美術を網羅するフランス随一の「ブルターニュ絵画」コレクションが形成されました。

© musée des beaux-arts de Quimper