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2025年10月15日 デザインから迫る「きもののヒミツ」
かつて「小袖」と呼ばれていたきものは、桃山から江戸初期にかけて現在のような形式に整っていきました。きものはもともと公家などの上流階級の下着でしたが、近世になると表着(うわぎ)化し、身分や老若男女問わず日常的に着用されるようになりました。
刺繍や染め、織りにさまざまな模様や意匠が表されたデザインを見ていくと、時代により多様に変化し、人々は当時の流行を追いながらおしゃれを楽しんでいることがわかります。特に17世紀後期に「友禅染」が登場するとその表現の幅は広がりました。
本展はそんなきもののデザインに注目し、デザインが生み出された背景や制作者の創意に迫る展覧会です。
第一章では雛形本(きもののデザインカタログ)とともに江戸時代のきものを展示し当時の流行やきものの装飾美をご覧いただきます。第二章では明治以降、友禅界に新風をもたらした京都画壇の画家たちに焦点をあて、本画や友禅図案の下絵、染め出された友禅裂地を展示します。第三章では図案から染織作品に変換していく過程や模様の流行、その流行が染織だけでなく他の工芸品とも共有するものであったことを紹介、そして第四章では京都の友禅の人間国宝のきものを通じて、あらためてきものが持つ平面と立体の関係について考えます。
今年創業470周年を迎える京都の友禅の老舗・千總と京都国立近代美術館のコレクションによりこれまでにない視点で迫る「きもののヒミツ」。ぜひ静岡市美術館でお楽しみください。(s.o)
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ
―京都 千總コレクションを中心に」
会期:2025年10月25日(土)〜12月21日(日)
◎お得な前売券は10月24日(金)まで静岡市美術館、プレイガイド等で販売 -
2025年09月23日 【ワークショップレポート】しずびチビッこプログラム(柚木沙弥郎 永遠のいま)
9/13(土)にしずびチビッこプログラム(柚木沙弥郎 永遠のいま)を開催しました。
しずびチビッこプログラムは、小さな子ども達のためのアート体験プログラム。
お子さまがプログラムを体験中、保護者の方には展覧会(今回は「柚木沙弥郎 永遠のいま」)をご覧いただきます。今回は、柚木沙弥郎と静岡ゆかりの染色家・芹沢銈介の師弟関係に着目。
芹沢が主宰し、柚木が所属した「萠木会」などで製作された型染和紙の作品を参考に、和の色のアクリル絵具とオリジナルの型を使ったカードを制作しました。 -
2025年09月04日 【ワークショップレポート】しずびオープンアトリエ「オリジナル型紙で布地を染めよう」
8/21(木)~8/31(日)にしずびオープンアトリエ「オリジナル型紙で布地を染めよう」を開催しました。
春・夏の年2回、展覧会に関連したオリジナル創作プログラムを実施する「しずびオープンアトリエ」。
今回は「柚木沙弥郎 永遠のいま」展(会期:8/16-10/13)にあわせ、オリジナル型紙を使って布地を染め、自分だけの布小物をつくりました。 -
2025年08月10日 柚木沙弥郎と静岡
1945年8月、22歳の柚木沙弥郎は静岡県牧之原の大井海軍航空隊基地で終戦を迎えました。東京の家は焼失していたので、父の生家のある岡山県浅口郡玉島(現在の倉敷市)へ復員し、倉敷の大原美術館に就職しました。そこで柳宗悦らが提唱した民藝の思想を知るとともに、美術館の売店で芹沢銈介の型染カレンダーと出会いました。後に柚木はこの時の経験を「数字と模様がからみあって何とも美しく、私の心に灯火(ともしび)をともした。ほかに着るものもなくまだ軍服を着ていた時代、そのカレンダーはまぶしく輝いていた。(※)」と述べています。
(※)「芹沢芸術の賜物 手仕事の教え」『別冊太陽 日本のこころ185 染色の挑戦 芹沢銈介』1947年、柚木は大原美術館を退職して芹沢の弟子となり、その紹介により清水市江尻鍛治町(現在の静岡市清水区江尻東)の染色工場と由比の正雪紺屋に住み込みで働きました。仕事と生活が一体となった職人の充実した暮らしを体験し、ものづくりの出発点となったのがこれら静岡での修業でした。その後柚木は、日本民藝館展や国画会、芹沢門下の萠木会、全国の民藝店や画廊での個展などを通じて、自由でのびやかな形と豊かな色彩の染色作品を世に送り出しました。1980年代からは、染色のみならず版画や立体、絵本など分野の垣根を越えて表現を広げ、2000年代からはカフェやホテル内のアートワーク、 企業との協働による製品づくりなど、活動の幅はさらに広がりました。
2020年、柚木はインテリア・ショップ・イデー(IDÉE)で個展を開きます。この時の案内状のデザインは、かつて由比でスケッチした印半纏の意匠をヒントに考案されました。70年以上を経てもなお、静岡での経験は柚木の創作に息づいていたのです。
(k.y)
静岡市美術館開館15周年記念展
「柚木沙弥郎 永遠のいま」
会期:2025年8月16日(土)〜10月13日(月・祝)
◎お得な前売券は8月15日(金)まで静岡市美術館、プレイガイド等で販売 -
2025年07月18日 【イベントレポート】いしいしんじさんスペシャルトークショー
7/12(土)、「パウル・クレー展」関連イベントとして、
作家のいしいしんじさんをお招きしてスペシャルトークショー「きこえる絵、みえてくる音楽」を開催しました。作家のいしいしんじさん
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2025年07月17日 【ワークショップレポート】しずびチビッこプログラム(パウル・クレー展)
7/13(日)にしずびチビッこプログラム(パウル・クレー展)を開催しました。
しずびチビッこプログラムは、小さな子ども達のためのアート体験プログラム。
お子さまがプログラムを体験中、保護者の方には展覧会(今回は「パウル・クレー展」)をご覧いただきます。今回は2歳から6歳の子どもたちが、透明水彩による方形画のグラデーション表現と、クレーが独自に編み出した技法である「油彩転写」に挑戦しました。
はじめに展覧会出品作品をモニターで鑑賞。
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2025年07月12日 死の影 飽くなき創作
パウル・クレー《無題(最後の静物画)》1940年 パウル・クレー・センター(リヴィア・クレー寄贈品)
ナチズムによる前衛芸術への抑圧が強まると、クレーはドイツでの活動に限界を感じ、1933年、故郷ベルンへと亡命します。さらに自己免疫疾患による身体的な苦痛が彼を襲いますが、制作のペースは落ちることなく、新たな世界を切り開いていきます。and more
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2025年07月11日 色彩のハーモニー
パウル・クレー《赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー》1923年 パウル・クレー・センター
クレーは1923年から画面をグリッド状に分節して様々な色を配置した「方形画」と呼ばれる作品を制作しています。その2年前より造形学校バウハウスでマイスター(親方/教師)として働いていたクレーは、線・面・空間といった絵画を構成する要素を理論と実践の両面から追求しました。and more -
2025年07月09日 異国の地 色彩の発見
パウル・クレー《チュニスの赤い家と黄色い家》1914年 パウル・クレー・センター
1914年4月、クレーは友人の画家モワイエとマッケとともにチュニジアを旅しました。本作は滞在中に描いた30点の水彩画のひとつで、建ち並ぶ家や木々、人の姿など、眩い光に照らされた異国の風景が、幾何学的な形へと還元されています。and more
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2025年07月04日 「パウル・クレー展」、来場1万人を達成!
7月4日(金)に「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」の来場者が1万人を達成しました。
1万人目のお客様は、市内からお越しのご夫婦。合唱がご趣味とのことで、「クレーの作品に音楽との共通性を感じた」とお話しいただきました。
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