2014年07月05日法隆寺展作品紹介③ 「孝行と仏教」

―16歳の太子
聖徳太子の父君は、太子が15歳の時に即位し用明天皇となりました。
しかしほどなく病に伏してしまいます。太子は帯もとかず、日夜、父の看病をし、香炉を捧げて祈りましたが、翌年、用明天皇はお亡くなりになりました。
法隆寺は、この用明天皇の遺志を継ぎ、推古天皇と太子が建立したといいます。
父・用明天皇の病気平癒を祈る16歳の太子の姿は、「孝養像」と呼ばれ、太子信仰の高まりとともに、孝行と仏教崇拝の象徴として造形化されました。
“播磨の法隆寺””刀田の太子さん”と呼ばれる兵庫・鶴林寺には、香炉を持つ太子の左右に童子、剣と弓矢を持つ天部形を従えるという珍しい図像の孝養像があります。
大らかで堂々としたこの作品の魅力は、太子や童子の大きな目、ふくよかな頬や唇の表現のゆったりした筆使いによるものでしょう。まさに中世の太子像の優品です。

⑥重要文化財 聖徳太子孝養像及び二王子・二天像(鶴林寺).jpg

重要文化財 聖徳太子孝養像及び二王子・二天像 兵庫・鶴林寺蔵 画像提供:奈良国立博物(撮影 佐々木香輔)
(e.y)
会期:2014年6月14日(土)~7月27日(日)
観覧料:一般1200(1000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
*( )内は当日に限り20名以上の団体料金
*障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料