2021年10月02日グランマ・モーゼス展 作品紹介①《初めての自動車》
アンナ・メアリー・ロバートソンは、1860年、ニューヨーク州北部の農村に生まれました。
12歳で奉公に出て、同じ働き手のトーマス・サーモン・モーゼスと27歳で結婚しました。二人はヴァージニア州北端の渓谷近くで農場を手に入れ子どもを産み育て、18年後に帰郷。子ども達が巣立ち、67歳で夫に先立たれたモーゼスは70代にして本格的に独学で絵を描き始めるようになります。
黒いオープンカーに乗り、どこか誇らしげにこちらを見る人々。産業革命がもたらした機械文明の波はモーゼスが暮らす農村にも及び、1913年、一家は最初の車を購入します。ピンクの花木の点描は、絵を描き始める前に得意とした刺繍絵で用いた刺繍技法、フレンチノットステッチの小さな結び玉のようです。
なお本作は、モーゼスの絵を村のドラッグストアで偶然目にした個人コレクターが、1938年に購入した作品の一つです。彼女の初期作品は、描きたい対象物を画面に大きく配置した小品が多いですが、これはその典型と言えるでしょう。
(s.o)
「グランマ・モーゼス展 ―素敵な100年人生」
11月7日(日)まで好評開催中!
休館日:毎週月曜日