2021年10月05日グランマ・モーゼス展 作品紹介③《アップル・バター作り》
モーゼスが暮らした村での晩夏の恒例行事、アップル・バター作りは早朝から始まります。
リンゴとアップル・サイダーと呼ばれる果汁を煮詰めると、真夜中にはどろりとした飴色のペースト状になります。自然の恵みが凝縮された大切な保存食です。作業に勤しむ人々の姿は、その工程を楽しく図解してくれます。画面後方でリンゴを摘む人々、中央で真鍮の深鍋の中を撹拌する人、その手前でリンゴの皮むきが、左手ではアップル・サイダーらしき液体が容器に入れられ、左端には馬力で動かす装置でリンゴを粉砕する様子が描かれています。
ところで、右前景の赤いレンガ造りの家は、一家が子育て期を過ごしたヴァージニア州の邸宅だといいます。10人の子どもを産み、育ったのは5人と辛い出来事もありながら、モーゼスは人生の終盤に自身の才能を見事に開花させました。1944年より米国各地で展覧会が開催され、さらに名声を高めていくモーゼスは、1949年、89歳で当時の大統領トルーマンより表彰される栄誉にも預かりました。
(s.o)
「グランマ・モーゼス展 ―素敵な100年人生」
11月7日(日)まで好評開催中!
休館日:毎週月曜日