2021年10月06日グランマ・モーゼス展 作品紹介④《シュガリング・オフ》
2月、まだ雪が残るメープルの森の中では、木から採取した樹液を煮詰めてシロップや砂糖を作るシュガリング・オフが行われます。
図の左前景には、煮詰めた樹液を雪に垂らして作るキャンディの完成を待ちわびる村人の姿も描かれています。自給自足の暮らしを彩る貴重な甘味料は、美味しいおやつにもなるのです。
意外なことにモーゼスは、作品に登場する人や動物、器具などのモチーフを、収集した新聞・雑誌の挿絵や写真を参考に描いていました。本図の手前中央、男性が担ぐ天秤棒からぶら下がるバケツに少年が樹液を流し入れる様子にも参照元があります。自由気ままに描いたと見える彼女の作品は、実は日々の研究に支えられていました。
90代を迎えたモーゼスは、ドキュメンタリー映画やテレビ、ラジオといったメディアを通じて、今や全米が知る国民的画家となります。しかし、農村での素朴な暮らしは生涯変わることはなく、そのユーモアある飾らない人となりも相まって、ますます人々を魅了していきます。
(s.o)
「グランマ・モーゼス展 ―素敵な100年人生」
11月7日(日)まで好評開催中!
休館日:毎週月曜日