2021年10月07日グランマ・モーゼス展 作品紹介⑤《来年までさようなら》
色鮮やかな深いブルーの夜空にまたたく無数の星。月の光に照らされ白銀に輝く木は、羽根のような枝を大きく広げています。目指すは赤い煙突の家でしょうか、左手からトナカイの曳くそりに乗ったサンタクロースが夜空を翔けてきます。辺り一面、青一色の幻想的な光景です。
この図は絵本『クリスマスのまえのばん』の挿絵の依頼を受けて描いた連作の一つで、モーゼス最晩年の作品です。実体験を描くことを常としたモーゼスですが、本作では豊かな想像力と美しい色彩感覚が存分に発揮されています。なお絵本は、彼女が亡くってまもなくの1962年に出版されました。
1960年、モーゼス100歳の誕生日は全米で報道され、歴代大統領からもプレゼントが届くなど国を挙げて祝福されます。やがて衰えを見せながらも亡くなる数か月前まで絵筆を握り、1961年、101歳でその長い生涯を閉じました。家族に、そして国民に愛された画家モーゼスは、日々の暮らしの中にある喜びの風景を絵に描き続け、1600点以上もの作品を世に遺しました。
(s.o)
「グランマ・モーゼス展 ―素敵な100年人生」
11月7日(日)まで好評開催中!
休館日:毎週月曜日