2023年01月18日東海道が育んだ美術

静岡市美術館では、2月11日(土)より、展覧会「東海道の美 駿河への旅」を開催します。

江戸時代、東海道の整備による街道の賑わいを背景として、東海道図屏風や、歌川広重の浮世絵、東海道五十三次など東海道を主題とした絵画が制作されるようになりました。また、江戸時代の絵師たちは各地を旅することも多くありました。特に東海道は日本随一の名勝・富士山があり、実際に絵師が駿河に旅をして描いた作品もあります。今回第一章では、「描かれた東海道」として東海道や駿河を描いた絵画を展示します。

続いて第二章では、「東海道が育んだ美術」として街道を通じた駿河の人々と江戸時代を代表する絵師たちとの交友を紹介します。18世紀になると池大雅、伊藤若冲、円山応挙、司馬江漢といった上方、江戸を中心に民間の個性的な絵師たちによる多彩な絵画が次々と登場します。こうした新興の美術は、東海道の地の利を得て駿河にもたらされ、文雅を愛する駿河の人々に歓迎されました。

駿河国原宿(現・沼津市)の植松季英(蘭渓)もその一人です。博物学的に多種多様な植物を収集した名園・帯笑園を築き、大名や公家、文人墨客のほか、シーボルトも往来のさなかに立ち寄りました。六代当主・植松季英は沼津・松蔭寺の住職・白隠の高弟・斯経(後に京都、妙心寺海福院住職)を介して池大雅や円山応挙ら京都画壇とのつながりを得ました。18回も京都に上り、子の季興を応挙に入門させたほか、邸宅を東西の絵師たちの書画で彩り、都市の最新の文化を駿河にもたらしました。

展覧会では植松家のほか、蒲原宿・渡邊家や庵原(現・静岡市清水区)・山梨家、藤枝宿・大塚家など、文雅を愉しむ駿河の文化人たちの豊かな世界を、各家に伝存した作品とともにおみせします。東海道が育んだ知られざる美術をぜひご堪能ください。

 

(s.o)

 


■東海道の美 駿河への旅
2023年2月11日(土・祝)〜3月26日(日)
※会期中に一部作品の展示替えがあります[前期:2/11〜3/5 後期:3/7〜3/26]

前売券:2月10日(金)まで販売中!
静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード42111]、セブンチケット[セブンコード098-053]、チケットぴあ[Pコード686-272]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、流通通り店)、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、大丸松坂屋静岡店友の会、戸田書店江尻台店