• 2022年03月11日 「平等院鳳凰堂と浄土院」来場1万人を達成!

    3月11日、「平等院鳳凰堂と浄土院」展の来場者が1万人を達成しました。
    1万人目は、市内からお越しのお客様。当館館長より記念品を贈呈しました。

    美術鑑賞がお好きで、当館にも何度も足を運んでいただいているとのこと。
    これからもぜひお気軽に立ち寄っていただけたらうれしいです!


    「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」は、3月27日(日)までの開催です。

    雲中供養菩薩像(国宝)に代表される鳳凰堂ゆかりの名品を中心に、調査の過程で新たに発見された貴重な作品や、塔頭の浄土院に伝わる知られざる寺宝の数々もかつてない規模で展観しています。
    平等院が守り伝えてきた信仰と美の遺産をこの機会にぜひご覧ください。

     

    ◎ご来館の際はマスクを着用いただき、美術館入口にて手指の消毒をお願いします。⇒ご来場の皆様へお願い

    ◎当館ホームページから日時指定制(web予約)もご利用いただけます。ご予約なしでご来館される場合は、受付でその旨お伝え頂き、整理券をお受け取りください。

     

    (m.o)

     

  • 2022年03月01日 「平等院鳳凰堂と浄土院」 作品紹介③《籬に梅図(養林庵書院襖絵)》

    宇治市指定文化財《籬に梅図(養林庵書院襖絵)》江戸時代(17世紀) 浄土院蔵


    竹垣の背後から覗く幹がうねるように躍動して曲線を描き、長く伸ばした枝先に清楚な白い花を咲かせる梅の老木。幹の中腹には春の到来を待ちわびるかのように、番(つがい)の鳩が羽を休めています。

    この襖絵は、一説に伏見城の遺構を移築したと伝わる浄土院養林庵書院(重文)二の間を飾る障壁画の一部です。全面に金箔を貼り込めた華やかな画面に展開された幾何学的な形態、そして大胆な構図。それは豪壮華麗な桃山文化の残照とも言うべき特徴であり、近世初頭の京で筆を揮った絵師・狩野山雪の影響が認められます。

    室町時代以降、度重なる戦乱で荒廃した平等院を復興するべく、浄土宗など各宗が競って境内に塔頭を建立し、平安の美を守り伝えてきました。すなわちこの襖絵を飾る養林庵も、そうした背景から造営された塔頭の一棟だったのでしょう。平等院の知られざる歴史と美に気付かせてくれる、注目すべき一点です。

     

    (t.t)

     

    「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」
    会期:2022年2月5日(土)ー3月27日(日)
    休館日:毎週月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館)、3月22日(火)
    ※会期中、一部展示替えがあります。前期2月27日(日)まで、後期3月1日(火)から

     

  • 2022年02月25日 「平等院鳳凰堂と浄土院」 作品紹介②《伝帝釈天立像》

    宇治市指定文化財《伝帝釈天立像》 平安時代(11世紀) 浄土院蔵


    ふくよかな顔立ちにどっしりと重厚なプロポーションが印象的な古像。厚い唇に短い眉、吊り目がちの表情には、どこか少年のような瑞々しさも感じられます。


    頭部から両肘を含む主要部をヒノキ檜の一木から彫り出し、干割れを防ぐために背面から刳り抜き内部を空洞にした古調な造像技法と、総体に彫りが浅く温和な作風から、鳳凰堂の諸仏よりも年代が遡る平安時代中期の制作と推測されています。

    永承7年(1052)の創建以来、貴顕から庶民まで幅広い階層の信仰を集めてきた平等院。この像は、当初の両手先や持物が失われているため、元来の尊名や安置されていた場所などは詳らかではありません。浄土信仰と言えば阿弥陀仏を想起させますが、本像を祀る平等院塔頭の浄土院では、仏教の守護神である帝釈天像と伝承されてきました。この像が鳳凰堂を中心とする浄土信仰のみならず、人々の多様な祈りを受け止めてきたことを物語る証のひとつと言えるでしょう。

     

    (t.t)

     

    「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」
    会期:2022年2月5日(土)ー3月27日(日)
    休館日:毎週月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館)、3月22日(火)
    ※会期中、一部展示替えがあります。前期2月27日(日)まで、後期3月1日(火)から

     

  • 2022年02月22日 「平等院鳳凰堂と浄土院」 作品紹介①《雲中供養菩薩像》

    鳳凰堂本尊の阿弥陀如来坐像(国宝)を囲むように、長押上の小壁に懸け並べられた52軀の可憐な菩薩たち。尾を靡かせた雲に乗って飛翔しながら、楽器を奏で、香炉や天蓋を捧げ持ち、またリズミカルに舞い踊り、あるいは合掌しています。いずれも極楽浄土の主である阿弥陀如来を讃嘆供養する姿を表現しています。

    【前期(2/5ー27)展示】

    国宝《雲中供養菩薩像》南14号 天喜元(1053)年 平等院蔵 (前期展示)

    国宝《雲中供養菩薩像》北1号 天喜元(1053)年 平等院蔵 (前期展示)


    【後期(3/1ー27)展示】

    国宝《雲中供養菩薩像》北13号 天喜元(1053)年 平等院蔵(後期展示)

    国宝《雲中供養菩薩像》南1号 天喜元(1053)年 平等院蔵(後期展示)


    これらは本尊とともに定朝主宰の工房で制作されたと推測されますが、複数の仏師が関与したとみられ作風は一様ではありません。970年の時を経た現在は木肌を見せていますが、髻や着衣には緑青や朱の痕跡が認められ、完成時は鮮やかな彩色と繊細な截金で華麗に装飾されていたと想像されます。

    この菩薩の群像については、当初の数や配置など不明な点が多くあります。しかし贅美を尽くした鳳凰堂内の装飾や扉に描かれた来迎図とも調和し、礼拝者の眼前に極楽浄土を現出するための重要な役割を担っていたと考えられます。

    前期(2/5-2/27)展示風景


    (t.t)

     

    「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」
    会期:2022年2月5日(土)ー3月27日(日)
    休館日:毎週月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館)、3月22日(火)
    ※会期中、一部展示替えがあります。前期2月27日(日)まで、後期3月1日(火)から
    ※国宝《雲中供養菩薩像》は前期2軀、後期2軀(全4軀)を展示します。

     

  • 2022年01月08日 平等院鳳凰堂と浄土への憧憬

    徳川家康が戦場の旗印に用いたことで知られる「厭離(え(お)んり)穢(え)土(ど) 欣(ごん)求(ぐ)浄(じょう)土(ど)」。これは元来、「穢れた現世を厭い離れ、極楽浄土に往生することを心から願う」という浄土信仰を象徴的に表した言葉です。平安時代中期に比叡山の僧・源信が著書『往生要集』で説いたこの思想は、疫病の流行や相次ぐ自然災害等に不安と恐怖を抱いた当時の人々に受容されました。そして祈りを捧げるすべての人を遍く救済し、浄土に導くと信じられた阿弥陀如来は多くの信仰を集め、極楽往生を願う貴族たちによって各地に阿弥陀堂が建立されたのです。

    折しも釈迦の入滅後2000年を迎え、正しい仏法が衰滅する末法の世が始まると考えられた永承7年(1052)、平等院は時の関白・藤原頼通によって創建されました。翌年に完成した阿弥陀堂こそ、鳳凰が翼を大きく広げた姿を想起させる優美な造形からその名で呼び親しまれている鳳凰堂です。

    国宝 平等院鳳凰堂正面全景 ©平等院


    堂内は本尊の阿弥陀如来坐像を取り囲むように、楽器を奏でたり舞踊する52軀の可憐な菩薩たちが頭上の小壁に並び、『観無量寿経』に基づく来迎図が周囲の壁や扉に描かれています。また現在は大部分が剥落により失われていますが、かつては須弥壇や天蓋には精緻な螺鈿や金具の装飾が施され、天井から柱に至るまで極彩色で華麗に荘厳されていたことも近年の科学調査によって明らかになりつつあります。その幻想的な情景はまさに平安貴族が思い描いた極楽浄土そのものであり、王朝の洗練された美意識を今に伝える貴重な遺構として日本文化史上極めて重要な存在に他なりません。

    本展では静岡県初公開の国宝《雲中供養菩薩像》を筆頭に、鳳凰堂ゆかりの作品を中心に展観します。この機会に是非会場でご覧ください。

     

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    「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」
    会期:2022年2月5日(土)ー3月27日(日)
    休館日:毎週月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館)、3月22日(火)
    観覧料:一般1,400(1,200)円、大高生・70歳以上1,000(800)円、中学生以下無料
        *リピーター割引:2回目以降、美術館窓口にて本展の有料観覧券半券提示で当日券200円引き
        *(  )内は前売および当日に限り20名以上の団体料金
        *障がい者手帳等をご持参の方および介助者原則1名は無料
    前売券:2月4日(金)まで次の箇所にて販売中(当日券より200円引)
    静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード:43871]、セブンチケット[セブンコード:092-046]、チケットぴあ[Pコード:685-855]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、流通通り店)、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、大丸松坂屋静岡店友の会