• 2019年03月27日 小倉遊亀《姉妹》について

    「小倉遊亀と院展の画家たち展」でポスターに使用している《姉妹》は、遊亀の知人の娘さんたちがモデルだといいます。姉妹の七夕の日の姿に着想を得て描かれました。

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    小倉遊亀 《姉妹》 昭和45年(1970) 滋賀県立近代美術館 [後期展示]

    姉に作ってもらったものでしょうか、色とりどりの折鶴を抱える妹は満足そうな微笑みを浮かべています。

    一方、姉は背筋をピンとのばして虚空を見つめています。はさみと色紙(いろがみ)を手に持っているので、七夕飾りを作ろうと構想をめぐらしているのかもしれません。

    姉の上半身はすこし妹のほうに寄っているようにも見えます。これは、姉妹の着ている洋服の裾が左右にせり出して描かれ、二人で一つの三角形を形作るよう配置されていることによります。

    この構図の効果により、二人はそれぞれ自分だけの世界に浸っているようでいて、お互いの存在を意識しているかのような、温かい一体感が生まれています。

    年齢による姿勢や体つきの違い、姉妹らしく眼の周りの骨格が似ているところなど細部まで鋭い観察が行き届いているのも、この絵を興味深いものとしています。

    この作品について遊亀は、

    「この無心な童女の姿が天の真実に直結する瞬間、私の心を捉えたものがある。〔中略〕何となく色と造形も、出来るだけ切りつめて見飽きないものにしたかった」(小倉遊亀『続画室の中から』)

    と語っています。

    背景は白と灰色のたった二色だけで調子が付けられています。あっさりとして見えますが、実は、プラチナ箔の上に絵具をかけては拭き取ることを何度も繰り返し、膨大な手間を掛けて作り出されたものです。

    しかし、画面にはそんな苦労の影はみじんもありません。

    親しみやすくほほえましい姉妹像は、画家が捉えた「天の真実」のゆえでしょうか、観る者の心さえも調和で満たしてくれるのです。

    (k.y)

    *《姉妹》は後期(5月1日~5月26日)展示です。

    「小倉遊亀と院展の画家たち展 滋賀県立近代美術館所蔵作品による」
    会期:2019年4月6日(土)~5月26日(日)

    ※会期中展示替えがあります 前期:4月29日まで、後期:5月1日から

    観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料

    *リピーター割引:2回目以降、美術館窓口での本展半券提示で当日券200円引き

    ★前売券:4月5日(金)まで販売

    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-465]、ローソンチケット[Lコード:43995]、セブンチケット[セブンコード:071-339]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2019年03月01日 新鮮で奔放な80年代

    「毎日絵を描いている人が結果的に”絵描き”なんだと思う」(杉山知子)
    美術手帖の「特集 美術の超少女たち」(1986年8月号)には、奔放なイメージや色彩とともに、描くこと、作ることに対する率直なコメントが溢れている。同号には、本展出品の杉山知子(1958-)や吉澤美香(1959-)、松井智惠(1960-)をはじめ、当時活躍が目立ち始めた若手女性作家39人がまとめて紹介されている。みな、20代の若さである。

    「作品を作るきっかけになるものは、ごく日常的、かつ私的な事柄で、人生や社会について語るといった大袈裟なものではけっしてないのです。(略)私にとって作品をつくるということは、「生活する」ということと、常に同次元にあります。」(杉山知子「”私の本当”という切実さ」美術手帖1984年7月号、p45)

    少々ナイーブに過ぎるとも思える率直さは、若さであり、消費文化が花開こうとする時代の空気でもあるだろう。作家が等身大の日常をテーマとすることに、今では違和感はないだろう。絵が壁や床、天井にのび半ば立体化し、段ボールや布や糸、陶などおよそあらゆるものを素材にインスタレーションされることも。しかし80年代初めには、それは新鮮なことだった。70年代、絵画は平面、彫刻は立体と呼ばれ、容易に描けない、作れない時代だったのである。

    「起点としての80年代」は、そんな80年代の日本の美術を大竹伸朗、中原浩大、日比野克彦、舟越桂、森村泰昌、宮島達男、横尾忠則ら、今や(当時から)日本を代表する作家19人の作品で紹介する。この時代、作品が一気に多様化、大型化し(今回の輸送は10tトラック3台以上!)、これだけの作品を一度に見る機会はこれまでになかった。金沢21世紀美術館、高松市美術館との共同企画で、金沢を皮切りにスタートしたが、実際に展示された作品を見ても古びた感じは全くない。

    この機会に、今につながる迫力ある、新鮮な作品の数々を是非、体験して欲しい。

    (a.ik)

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    「起点としての80年代」
    会期:2019年2019年1月5日(土)~3月24日(日)
    【出品作家】
    石原友明、今村源、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、川俣正、杉山知子、諏訪直樹、辰野登恵子、戸谷成雄、中原浩大、中村一美、日比野克彦、藤本由紀夫、舟越桂、松井智惠、宮島達男、森村泰昌、横尾忠則、吉澤美香

  • 2018年11月30日 展覧会「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」、来場者1万人を達成!!

    「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」来場者が1万人を達成しました!

     

    1万人目のお客様は、静岡市と富士市からお越しの若月さん親子。

    娘さんは漫画「ベルサイユのばら」やマリー・アントワネットが大好きで、本展も絶対行きたい!ととても楽しみにしてくださっていたそうです。

     

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    お二人には、当館館長から記念品を贈呈しました。おめでとうございます!

     

    「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」はいよいよ12月16日まで。

    静岡市美術館が全国巡回の最終会場です。

    マリー・アントワネットやポンパドゥール侯爵夫人、エカテリーナ2世など、フランスをはじめヨーロッパの王侯貴族たちを魅了したセーヴル磁器を間近でご覧いただける、大変貴重な機会です。

    ぜひお見逃しなく!

     

    みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

     

    (m.o)

     

  • 2018年09月23日 気品ある超絶技巧

    18世紀ヨーロッパにおいて「磁器」への憧れは大変なものでした。

    各国が競って中国の陶磁器のような、真っ白で硬い磁器の製法を探求する中、

    フランスでは、国王ルイ15世(1710-74)の庇護を受け、1740年、パリ東端のヴァンセンヌに誕生した軟質磁器製作所が、

    西端のセーヴルへ移転して王立磁器製作所ができると、1769年には硬質磁器の開発に成功します。

    セーヴル磁器の誕生です。

    ここに宮廷の画家や彫刻家が招かれて、特別注文製作がなされ、優美で繊細なセーヴル磁器の名品の数々が作られました。

    それらはポンパドゥール侯爵夫人やルイ16世とその王妃マリー・アントワネットに納められたほか、

    外交上の贈答品ともなり、ロシア皇帝エカテリーナ2世ら、時の王侯貴族たちを魅了しました。

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    ポプリ壺「エベール」 1757年 セーヴル陶磁都市所蔵

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    例えば、ポプリ壺「エベール」は緑色に金で見事なほどに細かな模様が描き込まれ、

    中央には、まるで油絵具で描いたような鳥がリアルに表現されます。

    この鳥たちは、当時ポンパドゥール公爵夫人が憧れたエキゾチックなイメージでした。

     

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    ポプリ壺「ポンパドゥール」 1753年 セーヴル陶磁都市所蔵

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    フランス革命を経てナポレオンが台頭すると、セーヴルは新古典主義の作品を製作し、

    19世紀半ばからの万国博覧会の時代にはテーブル・ウェアという範疇にとどまらない作品へ展開します。

    興味深いことに芸術家やデザイナーとのコラボレーションも盛んで、

    20世紀初頭には、セーヴル初の外国人の協力芸術家の彫刻家として、東京美術学校の教授も務めた沼田一雅(1873-1954)が招かれました。

     

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    象とねずみ 沼田一雅 1906年

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    そのリアルで気品ある陶磁彫刻は、大きな象に踏まれそうな小さな鼠の尻尾まで、生き生きとしています。

    そして現代ではピエール・スーラージュや草間彌生、深澤直人などが招かれて製作に携わることで、確かな伝統的技術を保ちながら、常に新しい造形表現を模索しているのです。

    伝統と創造が一体となったセーヴルは、まさにヨーロッパ磁器の最高峰です。

    静岡市美術館ではセーヴルの300年に及ぶ活動の軌跡を、セーヴル陶磁都市の優品約130件で紹介する日本初の大規模展を開催します。

    細部の緻密で見事な職人技も見どころです。どうぞおたのしみください。

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    (e.y)

    「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」
    会期:2018年10月6日(土)~12月16日(日)
    観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
    *障害者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料

    ★前売券:10月5日(金)まで販売
    チケットぴあ[Pコード:769-238]、ローソンチケット[Lコード:43106]、セブンチケット[セブンコード:067-222]、谷島屋(マークイズ静岡店、パルシェ店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、中日新聞販売店(一部店舗除く)

  • 2018年07月21日 あなたの知らないヴラマンク

    マティスやドランらと並んで、「フォービスム(野獣派)」を代表する画家として知られるモーリス・ド・ヴラマンクですが、音楽家や自転車競技選手、文筆家としても活動していたのをご存じでしょうか。

     

    ヴラマンクの両親は音楽家で、小さい時から音楽教育を受けていました。

    ヴラマンクは若い頃、生活費や画材代を稼ぐため、という目的もあり、カフェのオーケストラ団員や、ヴァイオリンの個人教師をしていました。

     

    一方、自転車も10代の頃から日常的に使っていただけでなく、選手としてトラックレース等にも出場し、その賞金で一時期家族を養っていたこともあったそうです。

    その後大きな病気をしたことや、24歳の時にドランと出会って本格的に画家を志したことで競技の一線からは身をひきますが、そうしたことがなければツール・ド・フランスにも出ていただだろう、と後にヴラマンク自身も述べており、もし選手を続けていたら歴史に残る大選手になっていたかもしれません。

     

     

    これら音楽家や自転車競技選手としての活動が主に前半生で行われていたのに対し、文筆家としての活動は絵画と並行して亡くなるまで続きました。

     

    26歳の時に初めての小説(フェルナンド・セルナーダと共著、挿絵はドランが担当)を出版、以後、小説、エッセイ、回想録、自叙伝、詩集など様々なジャンルの作品を20点以上も発表しました。

    ヴラマンクが生涯にわたり文筆活動を続けたのは、音楽や自転車競技と違って単に日銭を稼ぐためではなく、言葉による表現が、絵画と並んで重要な自己表出の場であったことが関係しているのかもしれません。

     

    今回の展覧会では、画家としてのヴラマンクを紹介するだけでなく、彼の多岐にわたる活動のうち文筆家としての仕事にも焦点をあて、フォービスムから離れ始めた1907年以降の彼の絵画と、彼の著作から引用した言葉とともに展示します。

    ヴラマンク独自の画風の形成の様子を、彼自身の言葉とともに展示室で是非ご覧ください。

     

     

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    (k.o)

     

     「ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生」
    会期:2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)
    観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

     

    ★前売券:7月27日(金)まで販売
    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-120]、ローソンチケット[Lコード:45800]、セブンチケット[セブンコード:064-866]、谷島屋(マークイズ静岡店、パルシェ店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店
    ★お得な一般前売ペア割チケット:2枚1組 1,800円も!
    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-119]、ローソンチケット[Lコード:45801]、セブンチケット[セブンコード:064-871]

  • 2018年06月21日 展覧会「ミュシャ展 ~運命の女たち~」、来場者1万人を達成!!

    本日、「ミュシャ展 ~運命の女たち~」来場者1万人を達成しました!

     

    1万人目のお客様は、焼津市からお越しの清水さん親子。

    お母様が美術鑑賞がお好きで、よくお二人で美術館へお出かけされるそうです。

     

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    お二人には、当館館長から記念品を贈呈しました。おめでとうございます!

     

     

    「ミュシャ展 ~運命の女たち~」は7月15日(日)まで。

    開幕以降、日に日に多くのお客様にご来場いただいています。

     

    ポスター、装飾パネル、挿絵原画、素描など、ミュシャと同郷の医師チマル博士のコレクションから約150点、

    さらに静岡展特別出品OGATAコレクションでは、アール・ヌーヴォーのパターンの教科書とされる『装飾資料集』全72点を含む約100点をご紹介しています。

    初期から晩年までのミュシャ作品を堪能できる展覧会です。

    この機会にぜひご覧ください。

     

    (m.o)

     

  • 2018年06月07日 「ミュシャ展 ~運命の女たち~」静岡展特別出品!OGATAコレクション

    白い衣を身にまとい、装飾的なフレームからこちらを見つめる優美な女性像。

    《「スラヴ叙事詩」展》のポスターをはじめとするミュシャの華やかで繊細な表現は、制作から90年近くたった今なお、日本でも高い人気があります。

     

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    アルフォンス・ミュシャ ポスター《「スラヴ叙事詩」展》(部分) 1928年
    チマルコレクション

     

    今回の「ミュシャ展」は、ミュシャと同郷の医師チマル博士が、親子3代にわたり収集した「チマルコレクション」から約150点、

    さらに静岡展のみ特別に、市内在住のミュシャ作品の世界的な収集家、

    尾形寿行氏の「OGATAコレクション」から約100点をご紹介します。

     

    尾形氏は、カメラの大手量販店「カメラのドイ」創業者の土居君雄氏(1926-1990)のもと、

    長年ヨーロッパに在住しミュシャ作品を収集、

    その世界有数と言われるコレクションの形成に深く携わりました(「ドイ・コレクション」と呼ばれ、現在は堺市に寄贈)。

    土居氏亡き後はその遺志を継ぎ、今では尾形氏がミュシャ作品の収集家として世界的に知られています。

     

    「OGATAコレクション」の特徴は、リトグラフのポスターはもちろん、

    ミュシャがデザインした香水瓶や書籍、タバコの巻紙にいたるまで、

    パリ時代に一世を風靡したそのデザインを通覧できる幅の広さにあります。

     

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    アルフォンス・ミュシャ ランスの香水「ロド」 1897年 OGATAコレクション

     

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    アルフォンス・ミュシャ ホイットマン社のチョコレート缶容器 1900年 OGATAコレクション

     

    中でも、教育に熱心だったミュシャが、1902年に自らの装飾を体系化した『装飾資料集』は、

    アール・ヌーヴォーのパターンの教科書とされる貴重な作品です。

    今回は全72点を一挙公開します。

     

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    アルフォンス・ミュシャ著『装飾資料集』 1902年 OGATAコレクション

     

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    静岡市美術館でしか見られない贅沢な「ミュシャ展」をぜひご堪能ください。

     

    (m.y)

     

  • 2018年01月23日 「ターナーからモネへ」は1月28日(日)までの開催です。

    あっという間に、閉幕まで残り1週間をきりました。連日、大変多くの方にご来場いただいています。

    今回のブログでは、来場者アンケートに寄せられた声を、展示室内の様子とともにご紹介します。

     

    英国・ウェールズ国立美術館のコレクションで構成される本展。

    ターナーやコンスタブルのほか、ミレー、モネ、ルノワールらの計73点により、西洋絵画が変革の時を迎えた19世紀から20世紀初頭の英仏美術の交流の様子を紹介しています。

     

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    来場者アンケートには、本展のタイトルにもなったターナーとモネの作品に関するコメントが多く、細部までじっくりご覧いただいている様子がわかります。

    「(ターナーの)油絵具ののせ方など、写真では分からない表現があり良かったです。」

    「モネのサン・ジョルジョマッジョーレ黄昏に心奪われた。 何回も足を運んでしまった。」

    「イギリスーフランスの印象派前後の相互影響を知ることができた」

     

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    一方で、日本ではあまりなじみのない画家を知ることができるのも、本展の見どころの一つです。

    来場者からは、

    「予想より目を引く作品が多かった。 初めて知った画家も多く新鮮に感じた。」

    「イギリスの画家がこんなに大勢いた事、再発見した。」

    といった、声もいただいています。

     

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    展覧会「ターナーからモネへ」は、いよいよ1月28日までの開催です。

    ウェールズ国立美術館のコレクションが、日本でまとまって紹介されるのは約20年ぶり。

    巨匠たちの知られざる名作の数々を、ぜひこの機会にお楽しみください。

     

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    写真提供:中日新聞社

     

     

    (c.o)

     

     

     

  • 2017年12月27日 「ターナーからモネへ」作品紹介⑤ ルノワール《会話》

    ルノワールの晩年の作品である《会話》。「会話」というタイトルがついていますが、女性は男性と視線を交わすこともなく、考え事をするかのように、地面の草むらを見つめています。

    画面は大きく柔らかなタッチで覆われていますが、当時、ルノワールは激しい関節炎に悩まされていて手先を細やかに使って描くことができず、手に筆を縛りつける方法を用いていたことと関係していると考えられます。

     

    後に病状はさらに悪化し、最晩年は車いすでの生活を余儀なくされたルノワールですが、体力の続く限り制作を続けようとする画家のエネルギーをも感じさせる一枚です。

     

     

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    ピエール=オーギュスト・ルノワール《会話》1912年
    ウェールズ国立美術館 ©National Museum of Wales

     

     

    (k.o)

     

     

     

  • 2017年12月24日 「ターナーからモネへ」作品紹介④ モネ《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》

    1908年10月、ヴェネツィアを妻と共に初めて訪れたモネは、多くの画家たちを惹きつけてきたこの街に魅了され、その後2か月余りの滞在中に37点もの油彩画を描きました。彼は「私がもっと若く、大胆なことができたときに、ここへ来なかったのは残念だった」と述べています。

    《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》は、島のほとんどが修道院になっているサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を描いた連作のうちの一つ。沈みゆく太陽の光は、青、緑からオレンジ、赤と一瞬のうちに空に多様な効果をもたらし、その色彩の交響は空を反射する海へとつながっています。

    モネ夫妻は、毎晩のようにゴンドラで運河に出かけ、画家曰く「世界でも随一の素晴らしい夕日」を楽しんだと残しています。

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    クロード・モネ《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》1908年
    ウェールズ国立美術館 ©National Museum of Wales

    (k.o)