• 2015年11月19日 次回「芹沢銈介生誕120年記念展 しあわせの色 たのしい模様」は、2館同時開催!

    静岡市美術館では、「ちひろ美術館 世界の絵本原画コレクション展 絵本をひらくと」を開催しています。
    おかげ様で、毎日多くの方にご来場いただいています。
    11月23日(月・祝)の閉幕まで、のこり数日となりました・・・皆さまのご来館をお待ちしています。

     

    絵本をひらくと 展示室.JPG

     

     

    さて、12月からは「芹沢銈介生誕120年記念展 しあわせの色 たのしい模様」を開催します。

     

    人の心を楽しませ、幸せにする、膨大な量の作品を残した芹沢銈介。

    その生誕 120 年に当たる 2015 年、静岡市にあるふたつの美術館が、異なる切り口から芹沢銈介の展覧会を行います。

     

    当館・静岡市美術館では、のれんやふきん、装幀本、カレンダー、うちわなど、生活にかかわる芹沢銈介のデザイン約500点を展示し、偉大な”デザイナーとしての側面”をご覧いただきます。

    (静岡市美術館 会期:12月5日(土)~1月11日(月・祝))

     

    一方、芹沢銈介美術館では、染色作品から約 100 点を厳選し、芹沢の”代表作”を展示します。

    (芹沢銈介美術館 会期:12月5日(土)~3月13日(日))

     

    芹沢の壮大な創作世界と、その魅力をたっぷりとお楽しみください。

    ※自主企画展ですので、他館には巡回しません!

     

    芹沢展チラシ 両館.jpg

     

    展覧会チラシ両面に、2館のメイン作品を掲載しました。
    左は、芹沢銈介美術館で展示される《飛の字》、
    右は、静岡市美術館で展示される《耳付き壺文のれん》です。
    どうぞ、お手に取ってご覧ください。
    (ポスターも、”静美版”と”芹美版”の2種類あります!)

     

    前売券も好評販売中です。
    この機会に、ぜひお買い求めください。

     

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    静岡市美術館「芹沢銈介生誕120年記念展 しあわせの色 たのしい模様」
    2015年12月5日(土)~2016年1月11日(月・祝)
    休館日:毎週月曜日(1月11日はのぞく)、12月28日(月)~1月4日(月)
    料金:一般700(500)円 大高生・70歳以上500(400)円 中学生以下無料
    ※(  )は、前売および20名以上の団体料金(団体券は来館当日に限り購入可能)。  
    ※障がい者手帳等をご持参の方および介助に必要な方は無料。

     

    前売券:12月4日(金)まで以下の箇所にて販売
    静岡市美術館(12月3日(木)まで)、チケットぴあ[Pコード767-119]、ローソンチケット[Lコード42559]、セブンチケット[042-249]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

     

     

  • 2015年08月28日 「春信一番!写楽二番!」開幕しました!!

    8月23日日曜日、朝10時、無事に静岡会場開幕しました!!

    美しい浮世絵版画がずら~っと

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    千社札もずら~っと、壮観です

     

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    浮世絵の通史が学べるように

    六大浮世絵師(春信、清長、歌麿、写楽、北斎、広重)は拡大パネルをご用意しました!

    同時代、あるいは後世の人の”言葉”も添えられています。

     

    20150828  blog fila7.JPG

     

    夏休みもあとわずか、宿題に励む小学生の姿も(笑)
    月曜日、つまり8月31日も開館していますよ、宿題まだの人、静岡市美術館へ急げっ!!

     

    20150828  blog fila3.JPG

     

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    そしてそして、午後は監修者の浅野秀剛先生のご講演

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    講演会申込みの往復はがきに「待ってましたMr.UTAMARO SHUGOさん」とメッセージをいただくほど、静岡の皆さんが待ちに待った講演会でした!

     

    もちろん、浅野先生は歌麿研究の第一人者で、前職の千葉市美術館の開館の時には、空前絶後の「歌麿展」が開催されましたが、”浮世絵何でも博士”です。

     

    ご講演はいつも浮世絵をコツコツ調べている浅野先生らしい見事な考察が次々披露され、改めて、メインピースの春信「やつし芦葉達磨」のスゴサを知り

    写楽の「四代目岩井半四郎の重の井」の手に持つ袋が、別れた子へあげた同じお守り袋だったことが、一挙に出された雲母摺の大首絵の役者と役柄の同定に繋がった記念的な作であること、感動的な話が続く中で、、、、

    20150828  blog fila1.JPG

     

    「タイトルの”春信一番!写楽二番!”ってどういう意味ですか?って、5人ぐらいの人から聞かれたんですけど、あれは、私が言ったっていうんですけど、全然覚えてないんですよね。”春信一番!写楽二番!”って展覧会タイトルに静岡市美のYさんが提案して、いいねえ、斬新だねえ、採用!って賛成したんです。確かに、春信が30点もあって一番だね、次に写楽が11点もあっていいねって言うことは言ってましたけどね」

     

    ちょっとショック、、、でした

     

    その後、ほどなく『芸術新潮』が届きました。

    なんと、「萬美術屋 安村敏信が見て歩く 今月の逸展 №5」で、三井記念美術館さんでの本展が採りあげられました!!
    さすが安村さん、本展の本質を見て下さって素敵な記事を書いて下さっています
    皆さまぜひご一読を

     

    そうなんです、”春信一番!写楽二番!”は本展の特徴をよく言いあわらした、監修者ならではの言葉なのです!(と、私は思いました!!)

    最初に本展参加のお誘いを頂いたときに、
    「フィラデルフィアの膨大なコレクションの中から、浮世絵の歴史の中のいいところ、を抽出して展示を組んでみると、春信と写楽にいいものがあることが特徴になる、だから”春信一番!写楽二番!”って売り出そうと思って」と、
    実際、現地調査に参加したときも(お忘れかもしれませんが、、、)
    “春信一番!写楽二番!”っておっしゃってましたし、、、
    調査のとき、毎日、本当だなって実感しました。

     

    錦絵誕生250年の本年に、錦絵の創始者、春信の名品ばかりを30点も1コレクションから展示できるなんて、本当にすごいことです

    錦絵黄金期の、しかも謎の絵師ゆえに希少な写楽が11点も展示できるなんて、これまたすごい!!

     

    カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂じゃないけれど、

    “春信一番!写楽二番!”、展覧会は静岡市美術館!

     

    当館では展示替えなし、会期中無休、しかも、”美しく”展示しています

    皆さまのご来館を心よりお待ちしております

     

    (e.y.)

  • 2015年08月22日 「春信一番!写楽二番!」のあれこれ ③-会期中無休!?展示替え無し!?

    展覧会「春信一番!写楽二番!」の見どころを、ロゴマークくんと担当学芸員の会話形式でお届けします。

    -会期中無休!?展示替え無し!?-

    ? :会期は8月23日(日)から9月27日(日)・・・。えっ! “会期中無休”!?

    担 当:会期が短いので(全36日間)、休館日を無しにしました!働きます!

    (職員はシフト制で勤務します。皆、交替で休みますのでご心配なく。念のため)

    ? :”展示替えなし”とは?

    担 当:

    浮世絵など素材が脆弱なものは、色が飛んだり、紙が変色しやすい。

    作品を守るため、展示期間が短めに設定されていることが多いです。

    今回の展覧会は、会期が短いことと、一部を除き長年展示されておらず、所蔵元から許可をいただいたことから、前期・後期を分けずに、まとめて展示することになりました。

    ! 静岡会場では、チケット一枚で、全ての出品作品が一度に鑑賞できる!

    チケットの図版は、春信!

    チケット 春信.JPG

    (c.o)

    「錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」

    会期:2015年8月23日(日)~9月27日(日) 会期中無休!展示替え無し!

    観覧料:一般1,100(900)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    前売券:8月22日(土)まで販売

    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード766-801]、ローソンチケット[Lコード47347]、セブンチケット[040221]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年08月21日 「春信一番!写楽二番!」のあれこれ ②静岡会場オリジナル構成って?

    展覧会「春信一番!写楽二番!」の見どころを、ロゴマークくんと担当学芸員の会話形式でお届けします。

    -静岡会場オリジナル構成って?-

    ? :みどころのひとつ、”静岡会場オリジナル構成”とは?

    担 当:

    巡回会場の中でも静岡会場は展示スペースが広い方なので、特別構成を作ってみました。

    ①風景版画の成立

    ・・・本展の章立てから少々寄り道し、初期浮世絵から葛飾北斎や歌川広重に至るまでの浮世絵版画における風景画の成立について紹介します。

    ②錦絵ができるまで

    ・・・復刻版《富嶽三十六景 凱風快晴》版木、順序摺、彫・摺の道具一式を展示、錦絵はいかに作られたかを紹介します。”見当をつける”という言葉は、浮世絵版画から生まれた!?

    ③千社札(せんじゃふだ)全5帖を、ドーンと一挙公開!

    ?  :千社札(せんじゃふだ)、ドーン・・・?

    担 当:

    千社札とは社寺参りの記念に柱などに貼る紙製の納札のこと。今でも、お寺や神社の柱に貼ってあるのを見ますよね。江戸後期には、旅ブームによって、千社札の愛好者も生まれ、交換用の札も制作されました。

    今回展示する千社札貼込帖は、大交換会が行われた安政期(1854-60)を中心に、千を優に超す千社札が貼り込まれています。しかも、渓斎英泉(けいさい えいせん)や歌川派の国芳、広重、芳艶(よしつや)、そして梅素亭玄魚(ばいそてい げんぎょ)など、当時活躍した浮世絵師の下絵のものもたくさん入っています!

    静岡会場ではその面白さ、魅力を存分に味わってもらうため、全5帖を一挙公開します。その長さ約35メートル!!

    ! :千を優に超すコレクション・・・千社札に対する学芸員の熱も伝わってきます。

    担 当:現地調査中、「千社札がおもしろい、千社札が」ってずっとアピールしていました(笑)

    ? :全5帖一挙公開・・・さ、35メートル!?どんな展示になるのやら・・・!?

    担 当:展示ケースをフルに使って、ドーンと!!札の一枚一枚は小さいので、じっくり見てね。

    展覧会図録の千社札ページ。なんと、16ページも使って掲載!実物を見るのが楽しみです。

    図録より 千社札.JPG

    (c.o)

    「錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」

    会期:2015年8月23日(日)~9月27日(日) 会期中無休!展示替え無し!

    観覧料:一般1,100(900)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    前売券:8月22日(土)まで販売

    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード766-801]、ローソンチケット[Lコード47347]、セブンチケット[040221]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年08月20日 「春信一番!写楽二番!」のあれこれ ①展覧会タイトルの謎

    展覧会「春信一番!写楽二番!」のみどころを、ロゴマークくんと担当学芸員の会話形式でお届けします。

    -展覧会タイトルの謎-

    ! (ロゴマークくん):

    こんにちは!もうすぐ新しい展覧会「春信一番!写楽二番!」が始まりますね!
    今日は展覧会のみどころを聞きにきました。よろしくお願いします!

    担 当:はい、よろしくお願いします。

    ? :早速ですが、このちょっと変わった展覧会名「春信一番!写楽二番!」って、どういう意味ですか?(カステラかな?(笑))

    担 当:監修の浅野先生の”つぶやき”です!

    ? :もう少し詳しく教えて~

    担 当:

    昨年1月のフィラデルフィア現地調査で、実際に作品を観ながら出品作品を選定しました。

    その時に、あべのハルカス美術館館長の浅野秀剛先生が、「春信一番、写楽二番・・・春信一番、写楽二番・・・」と、しきりにつぶやいていらっしゃった。この言葉が、展覧会の特徴をズバリ言い当てているのです。

    ? :「錦絵誕生250年」というのは・・・?

    担 当:

    今回の展覧会は「錦絵の誕生」に焦点を当てています。錦絵というのは、250年前の明和2年(1765年)に誕生した、多色摺の浮世絵版画のこと。錦のように色鮮やかなことから「錦絵」と呼ばれ大評判になりました。

    これまで単色や色数も少なかった浮世絵が、一気にカラーに!浮世絵が大きく発展した出来事でした。

    その錦絵の誕生に大きく関わったのが「鈴木春信(すずき はるのぶ)」です。

    展覧会では、錦絵誕生の立役者・春信の出品数がダントツに多く30点。いずれも名品ばかり。

    間違いなくこの展覧会の主役です。

    次の主役は「東洲斎写楽(とうじゅうさい しゃらく)」、 代表作を含む11点が揃います。こちらも稀少性が高い。

    ! :なるほど!

    錦絵誕生の立役者・春信は30点、その後に登場する写楽は11点出品。
    量だけでなく質、稀少性も高い名品が揃う・・・まさに”春信一番!写楽二番!”なんですね!
    春信が主役ですが、展覧会ポスターのメイン図版は「写楽」ですね。

    担 当:そこは・・・知名度をとりました(笑)

    ! :確かに、これは「見たことある!」という作品!

    担 当:チラシは、春信・写楽の両面印刷にしますよ。精緻な春信!迫力の写楽!

    フィラデルフィア美術館の浮世絵コレクションは、初期浮世絵や上方浮世絵も豊富です。

    今回の展覧会は、錦絵誕生以前の初期浮世絵から錦絵の誕生・展開・成熟の課程を紹介し、浮世絵の歴史を辿ります。

    浮世絵初心者から、コアなファンまで楽しめる展覧会になると思います。

    チラシの表紙。春信《やつし芦葉達磨》・写楽《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》の図版を両面に。

    春信一番!写楽二番!1.jpg   春信一番!写楽二番!2.jpg

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    「錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」

    会期:2015年8月23日(日)~9月27日(日) 会期中無休!展示替え無し!

    観覧料:一般1,100(900)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    前売券:8月22日(土)まで販売

    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード766-801]、ローソンチケット[Lコード47347]、セブンチケット[040221]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年08月19日 「春信一番!写楽二番!」のあれこれ

    「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」が8月16日に閉幕しました。

    たくさんのご来場、ありがとうございました!

    次回「錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」は、8月23日(日)からの開催です。
    次回展まで、あと1週間・・・開幕に向け、急ピッチで準備しています!

    さて、ここからのブログ『「春信一番!写楽二番!」のあれこれ 』では、展覧会の見どころを、当館のロゴマークくんと担当学芸員の会話形式でお届けします。

    ? (ロゴマークくん) 「どんなお話が聞けるかな~?」

    (出品作品の解説などは、学芸員のコラムでご紹介します。こちらもお楽しみに。)

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    「錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」

    会期:2015年8月23日(日)~9月27日(日) 会期中無休!展示替え無し!

    観覧料:一般1,100(900)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    前売券:8月22日(土)まで販売

    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード766-801]、ローソンチケット[Lコード47347]、セブンチケット[040221]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年06月11日 「理想の”青”を求めて―憧れの色への挑戦」

    今週末に開幕する展覧会「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」。

    作品が搬入され、展示作業もいよいよ大詰めです。

     

    さて、今回のブログは、青磁の”青”についてのお話です。

     

     

    「天青(てんせい)」「粉青(ふんせい)」「翠青(すいせい)」・・・。

    これらはすべて青磁の”青”を表した言葉です。

    中国を起源とするこの美しい釉色のやきものを、かつての中国皇帝は雨上がりの澄み切った天空の色になぞらえて「雨過天青(うかてんせい)」と言い表しました

    青磁は、しばしば空や碧玉(へきぎょく)といった自然界の青に喩えられますが、その中でも最も印象的な言葉の一つと言えます。

     

    その青磁の色は、マットで濁りのない淡く澄んだ青緑色の「粉青」、 ヒスイのような透明感を持つやや緑色の強い淡く明るい青緑色の「翠青」をはじめ、オリーブ・グリーンや淡い黄色のものもあり、一言では言い表せない豊かな”青”の世界が広がります。

     

    この青磁の”青”の発色源は、釉薬や土に含まれるわずかな鉄分。

    空気中ではすぐにさびてしまう鉄も、還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)という酸素不足の状態で焼かれることで青みを帯び、それがガラス質の釉薬の中に閉じ込められて永遠に青く保たれます。

     

    しかしながら青磁は、初めから美しい青を呈していたわけではありません。

     

    今から3500年前の中国・商時代中期、青磁の祖とも言うべき木灰(もっかい)を主原料とした灰釉(かいゆう)の陶器が焼かれます。

    紀元後1世紀の後漢時代には灰釉から成熟した青磁が誕生しますが、まだまだくすんだ暗緑色。

    ここから中国における理想の”青”を求めた長い挑戦の歴史が始まります。

    そして、南宋時代(12−13世紀)、ついに青磁は頂点へと達します。

     

    さて、これら中国の青磁は同時代の日本にも伝わり、時代を超えて大切に受け継がれていきます。

    日本においても中世、近世と青磁への挑戦は見られますが、憧れの南宋青磁の再現に成功したのは明治時代以降。

    近代の陶芸家らの試みは、やがて独自の創作へと移っていきます。

    そして時代は今。作家の想いが投影された様々な青磁作品を見ることができます。

     

    本展は、第Ⅰ章で日本に伝来した12−13世紀の中国・南宋時代の至高の青磁を、 第Ⅱ章で近代の日本の青磁の成果を、第Ⅲ章で現在の青磁の到達点を見ることができる、オール青磁の展覧会です。

    いつの時代も理想の”青” を求めて生み出された青磁。あなたの理想の”青”に出会って頂ければ幸いです。

     

     

    (s.m)

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    ※商店街のバナーデザイン

     

     

  • 2015年06月03日 「青磁のいま」展 出品作家によるアーティストトークのお知らせ

    「大原美術館 名画への旅」が無事に閉幕しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

    次回展「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」に向けて、館内は一気に模様替え!

     

    エレベータのドア

    エレベータ 青磁バナー.jpg

     

    商店街側(戸田書店側)入り口

    青磁 出窓バナー.JPG

     

    エントランスホール

    エントランス 青磁バナー.JPG

     

     

    本展では、中国・南宋時代(12~13世紀)の名品から、近代、現代まで、約120点の青磁作品を3章立てで紹介します。

    「現代の青磁―表現と可能性―」と題した第Ⅲ章では、第一線で活躍する10名の現代作家による48点を展示します。
    人間国宝の中島宏の作品から、オブジェのような青磁まで、多様な表現をご紹介します。

     

     

    会期中には、本展出品作家によるアーティストトークを開催します。

     

    6月27日(土)は、髙垣篤氏(1946~)。

    髙垣篤 《茜青瓷-屹立》 キャプ入り.jpg

     

    まっすぐに立ちあがった面は氷壁のよう。

    青磁釉の下に茜色に発色する素材が使われており、青色とエッジ部分の茜色の対比が美しい作品です。

    6月27日(土)のイベント詳細・申込こちら →https://shizubi.jp/event/_2015627.php

     

     

    7月11日(土)は神農巌氏(1957~)。

    神農巌 《堆磁線文壺》 キャプ入り.jpg

     

    泥漿(でいしょう)にした磁土を含ませた筆で何度も塗り重ねることで、立体感のある柔らかな線をつくりだしています。

    「堆」は他よりも盛り上がっている様子を指す言葉。その特徴をとらえた技法「堆磁(ついじ)」は、神農氏が名づけ親なのだそう。

    7月11日(土)のイベント詳細・申込はこちら→https://shizubi.jp/event/2015711.php

     

    作家本人の言葉で語られる青磁の世界は、どのようなものなのでしょうか。

    きっと作品鑑賞のヒントが手に入るはず!

    みなさまのご参加をお待ちしております。

     

    (c.o)

     

     

     「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」
    会期:6月13日(土)~8月16日(日)
    観覧料:一般1000(800)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    ※お得な前売り券は、6月12日(金)までの販売です※
    取扱い:静岡市美術館(6月11日(木)まで)、チケットぴあ[Pコード766-738]、ローソンチケット[Lコード46746]、セブンチケット[セブンコード:038-261]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年05月28日 次回展「青磁のいま」 チラシもキラキラしています!

    現在開催中の「大原美術館展 名画への旅」会期も、いよいよ残り数日となりました。

    静岡市美術館開館5周年記念展の第一弾…みなさま、ご覧いただけましたでしょうか。

    大原美術館展に続く、開館5周年記念の第二弾は

    「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」(会期:6月13日(土)~8月16日(日))

    中国に起源を持つ、青緑色を基調とする美しい釉色のやきもの”青磁”。

    展覧会では、日本に伝わった中国・南宋時代(12~13世紀)の官窯や龍泉窯の名品から、

    古陶磁の再現に心を砕き、次第に独自の青磁を作り出した板谷波山や岡部嶺男など近代の作家、

    人間国宝の中島宏をはじめとする現代作家の最新作まで、約120点を一堂に展示します。

    南宋時代の古陶磁を起点に、近代、現代までの青磁を通史的に3章立てで紹介する、これまでにない切り口の展覧会です。

    こちらが展覧会のチラシです。

    チラシ画像.jpg


    画像ではわかりませんが、印刷されたチラシには光沢があり、青磁の釉薬のようなツヤツヤとした質感をしています。

    出品作品をかたどったオリジナルフライヤー(ミニちらし)もあります!

    ツイッター.JPG

    左:《青磁鳳凰耳瓶(せいじほうおうみみへい)》 龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀

    読んで字の如く…鳳凰を象った耳付きの花器。

    形がとってもユニークです。このフライヤーが一番人気!


    中央:岡部嶺男《翠青瓷大盌(すいせいじおおわん)》1968年

    「貫入(かんにゅう)」という表面のひびも、青磁の見どころのひとつ。

    また、展覧会ポスターやチラシの四辺の枠線は、この作品の縁の色からとりました。


    右:板谷波山《霙青磁牡丹彫文花瓶(みぞれせいじぼたんちょうもんかびん)》

    大きな牡丹の花が彫られています。

    東京美術学校で彫刻を学んだ波山ならではの技術と表現!

    フライヤーの裏面には、各作品の解説文が載っています。

    隅々まで、じっくりご覧ください。

    チラシ・フライヤーは、静岡市美術館ほか、市内の文化施設・飲食店等で配布しています。

    ぜひ、手に取ってみてくださいね。

    (c.o)

    「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」

    会期:6月13日(土)~8月16日(日)

    観覧料:一般1000(800)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料

    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金

    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

    ※お得な前売り券は、6月12日(金)までの販売です※

    取扱い:静岡市美術館(6月11日(木)まで)、チケットぴあ[Pコード766-738]、ローソンチケット[Lコード46746]、セブンチケット[セブンコード:038-261]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店

  • 2015年05月23日 「大原美術館展」のこり8日です!

    静岡市美術館開館5周年記念の第一弾、

    「大原美術館展 名画への旅」も残すところ、あと8日となりました。

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    本展では、モディリアーニ、マティス、ユトリロ、岸田劉生、梅原龍三郎、

    棟方志功、山口晃など、大原美術館を代表する75点を紹介しています。

    サブタイトルの「名画への旅」は、

    お客様が会場を巡ることで名画を楽しむ機会になれば、という思いのほか、

    「旅」をキーワードにいくつかの意味を込めています。

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    ひとつ目は、「児島虎次郎の名画収集の旅」。

    大原美術館は1930年に創設されますが、

    まだ「美術館」という存在も曖昧な時代において、

    西洋美術が常設で鑑賞できる日本で初めての美術館でした。

    そのコレクションの基礎を築いたのは、

    児島虎次郎(1881-1929)という岡山県出身の洋画家。

    虎次郎は倉敷の実業家で大原美術館の創設者である

    大原孫三郎(1880-1943)の支援のもと、3度ヨーロッパへ留学し、

    自らの画業研鑽の傍ら、モネやマティスといった画家たちと直接交流をしながら

    西洋の絵画を日本に持ち帰ります。

    ohara_3.JPG
    本展の第1章では、虎次郎の作品を紹介しながら、

    この名画収集の旅、そして大原美術館創設までの道のりを紹介しています。

    虎次郎の作品は全12点出品されていますが、

    なかでも彼が得意とした大画面の人物画は必見です。

    2つ目は「日本人画家たちの留学の旅」。

    虎次郎のほか、明治末から大正、昭和にかけて多くの日本人画家が西洋へ留学しています。

    第3章では、西洋に学びながらも独自の表現を切り拓いていった、

    藤島武二、梅原龍三郎、安井曾太郎、須田国太郎、荻須高徳などをはじめとする、

    近代日本美術の名作を紹介しています。

    西洋出自の油絵具を用いながら、日本人ならではの洋画を追求した彼らの、

    挑戦や苦悩を作品から感じられると思います。

    そして三つ目は「作品の旅」。

    虎次郎が持ち帰った作品のほか、現在の大原美術館には様々な作品が所蔵されています。

    これらの作品たちが、制作者である画家の手を離れてからどのような道をたどって大原美術館へやってきたのか、

    誰の手元にわたり、どのような展覧会に出品されてきたのか。

    本展では、この絵画の履歴書である「来歴」にも注目しています。

    ohara_4.JPG

    残念ながら展覧会では会場の都合、詳しいところまで紹介できていないのですが、

    是非図録をご覧いただければと思います。

    虎次郎がモネから直接作品を購入した際に発行された領収書の画像など、

    貴重な資料画像も多数掲載しています。

    (図録は通販も行っています。詳細はこちら→https://shizubi.jp/cafe/mailorder.php

    1点1点の作品にひそむ、名画にまつわる物語にも目を向けてみると、

    見慣れた作品の新しい一面を発見できるかもしれません。

    大原美術館は創設されてから今年で85年を迎えますが、

    美術館の先達として常に積極的な取り組みをされてきました。

    当館は2010年に開館、ようやく今年5周年を迎えます。

    大原美術館から見たら孫のような立場、まだまだ学ぶべきところが沢山あります。

    静岡市美術館の開館5周年記念の第一弾として開催した本展によって、

    「美術館」という場を改めて考えるきっかけに、

    また美術作品と社会がどうつながっているのか、ということにも目をむける機会となることを願っています。

    会期はのこりわずかです。どうぞお見逃しなく!

    (a.i.)