• 2012年11月24日 今日はロートレック、明日はドニの誕生日!

    ストラスブール美術館展も残すところ20日を切りました。

    まだご覧になられていない方、お早目に静岡市美術館にお越しください!

    ということで、本日は画家たちの誕生日を祝いながら、展覧会の見どころをご紹介するという好評企画(?)の第2弾。

     

    今週末はなんと2人の画家が誕生日を迎えます。

     

    まずは本日11月24日生まれ、生きていれば御年148歳、

     

    アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック さんです。

    長い名字から推察できるかもしれませんが、彼は貴族の息子として1864年に南仏のアルビという町に生まれました。

    1882年に画家を志してパリに出た彼は、キャバレーの踊り子や女優など華やかな都市生活を彩る女性たちの姿を描き、また数多くのポスターを制作したことでも知られています。

    今回の展覧会では、マルセル・ランデールという女優を描いた作品をご紹介しています。

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    アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 《マルセル・ランデール嬢の胸像》1895年 8色リトグラフ・紙 ストラスブール美術館

     

    このマルセル・ランデールは「赤毛のマルセル」とも呼ばれ、当時のパリでは1、2を争う女優の一人でした。ロートレックは彼女のことを気にいっていて、なんと24回も(!)マルセルが出演する同じ演目を見に行っていたとか。この作品以外にも、彼はマルセルを描いた作品をたくさん残しています。

     

    そして明日25日は、モーリス・ドニの誕生日。

    1870年生まれ、生きていれば142歳です。

    ゴーギャンの影響を受け、平面的な彩色、画面構成を特徴とした「ナビ(預言者の意)派」の一人であったドニは、家族や友人などの身近な人々のいる風景を多く描きました。またキリスト教美術の復興にも力を注ぎ、教会のステンドグラスなども制作しています。

    今回の出品作の《室内の光》には、そうしたドニの2つの特徴がよくあらわれています。

     

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    モーリス・ドニ 《室内の光》 1914年頃 油彩・カンヴァス ストラスブール美術館

     

    この作品では、彼の妻と娘たちが描かれ、一見幸せな家族の肖像画なのですが、娘たちの取るポーズは、祈りや神への感謝を表すための奉納を表しており、神への愛という意味も持たせています。いわばドニなりの「愛の象徴」として描かれている作品なのです。

    また、ドニは調和と均衡を大切にし、この作品の中でも右の果物盆を持つ娘と、背景の壁画の人物のポーズを同じにするなどして安定的な構図を作り出しています。

    ちなみに私生活でも良き夫、良き父だったそうで、娘が文学に興味を持ったときはお互いにアイデアの交換などもしていたようです。

    ドニの幸福感があふれ出ているような作品で、見ているこちらも幸せな気分になってきませんか?

     

    と、いうことで、

    ロートレックさん、ドニさん、お誕生日おめでとうございます!

     

    (K.O)

     

     

  • 2012年11月10日 明日11/11はシニャックの誕生日です

    ストラスブール美術館展では、約60作家の作品をご紹介しています。

     

    当然ながら、展覧会会期中に誕生日を迎える画家もたくさんいる訳なのですが・・・

     

    なんと明日は、今回のポスター・チラシのメイン画像になっている、ポール・シニャックの誕生日!

    生きていれば、御年149歳です(1863年うまれ)。

     

    今回の展覧会の中でも担当者一押しのシニャック。

    スーラとともに当時としては最先端の光学研究をもとに、筆触分割の技法を用いて制作を行った、新印象主義の代表作家の一人です。

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    ↑ポール・シニャック《アンティーブ、夕暮れ》1914年 ストラスブール美術館

     

    今回の出品作品からもわかるように、シニャックは現実の風景の再現よりも、

    色彩がもたらす絵画的な効果を優先させました。

    実際、彼は目の前の風景を見て描くのではなく、代わりにアトリエで、事前に書き留めた

    一日の様々な時間を描いた水彩画やエスキースなどをもとに風景画を制作したそうです。

    港に降り注ぐ夕暮れの光がきらめく様子を、様々な色を使って表しています。

    南フランスの港町の美しい一瞬へのシニャックの感動があらわれているようです。

     

    ちなみに、シニャックの作品には海を描いた作品が多いのですが、

    これは彼がマリンスポーツ好きだったことも関係しているようです。

    購入したヨットはなんと30隻以上!

    そしてそのヨットで1907年には、イスタンブールにも出かけています!!

    ヨットのネーミングもおしゃれで、「オランピア」(画家マネの代表作から)、「ワルキューレ」

    (作曲家ワグナーの作品から)、「シンドバット」などなど。

    1892年にブルターニュから南仏に引っ越した時も、ヨットで移動したんだとか。

    まさに「海の男」なのかもしれませんね。

     

    長くなりましたが、

    シニャックさん、お誕生日おめでとうございます!!

     

    (K.O)

     

     

     

     

     

  • 2012年11月09日 11/18コンサート チケット好評発売中!!!

    ストラスブール美術館展、オープンから2週間たちました★

    オープン以来たくさんの方にご来場いただいております。

     

    そして、まもなく関連事業の第一弾

    コンサート「美術と音楽の幸せな出会い」 

    11月18日(日)に開催されます。

     

    ご出演いただくのは、

    シカゴ交響楽団など世界各地の有名オーケストラとの共演もある、

    ストラスブール近郊在住のピアニスト、パトリシア・パニーさん。

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    現在はスイス国立ベルン芸術大学教授も務められています。

     

    静岡でのコンサートは2005年、2009年、2011年に続いて4回目で、

    ファンの多いピアニストです!

     

    今回は、開催中のストラスブール美術館展に合わせ、

    途中展覧会出品作品の画像を背景に投影しながらの演奏もあります。

    「美術と音楽の幸せな出会い」をこの機会にぜひお楽しみください!

     

    チケットは当館受付にて発売中。

    残りわずかとなっておりますので、お早目にお買い求めください。

     

    【曲目などイベントの詳細はこちら

     

    (K.O)

  • 2012年10月27日 ストラスブール美術館展 オープンしました!!

    お待たせしました!

     

    「ストラスブール美術館展 モダンアートへの招待」本日からオープンです!

     

    昨日は関係者をお迎えして内覧会が開催されました。

    nairankai.JPG

     

    式ではストラスブール美術館のピエトルジック学芸部長からもお祝いのメッセージをいただきました!

     

    さて、展示室内はこのような雰囲気になっています。

     

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    ほかにもたくさん紹介したいのですが、

    この続きは美術館に来てのおたのしみ。

     

    そして、本日に引き続き、明日28日(日)も本展開幕を記念し、先着50名様に素敵なプレゼントがあります!!

     

    芸術の秋は是非静岡市美術館でお過ごしくださいね★

     

    (K.O)

  • 2012年10月16日 ストラスブール展、準備中!

    朝晩冷えるようになってきましたが、いよいよ「芸術の秋」も本番ですね!

    さて、静岡市美術館の「芸術の秋」は、「フィンランドのくらしとデザイン」に変わりまして、

    「ストラスブール美術館展 モダンアートへの招待」 です(10月27日から開催)。

     

    フランスのアルザス地方の町・ストラスブールの近現代美術館の作品を中心に、

    ロセッティ、ゴーギャン、シスレー、シニャック、ピカソ、マグリットなど、

    どこかで耳にしたことのある西洋美術の巨匠たちが多数展示されますよ~

     

    現在美術館は「ストラスブール美術館展」に向けて、少しずつ準備が始まってます。

     

    エレベーターの扉(B1、1階)はマリメッコから、模様替え。

    strasbourg elv.JPG

     

    エレベータを降りた、3階のエントランス前もこんな感じに変わりました!

    strasbourg glass.JPG
     

    両方とも展覧会のポスターデザインがベースになっています。

    展覧会まであと1週間ちょっと。

    前売券も好評発売中です!どうぞお楽しみに!

    (K.O)

  • 2012年10月04日 フィンランドのくらしとデザイン展 2万人、3万人達成! & 講演会のご報告

    「フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活」展の来場者が、
    9月20日(木)に2万人を達成、10月1日(月)には3万人を達成しました!

    開催20日目での2万人達成、31日目での3万人達成は、

    昨年度実施した「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展と並び、最速です!

     

    記念すべき2万人目のお客様は、掛川市よりお越しの菅沼さんご一家!
    子どもの頃、学校で「ムーミン踊り」(?)なるものをした思い出があるというお母様、

    展覧会のお目当てはムーミンとデザインとのこと。

     

    DSC_0007-small.JPGそして、3万人目のお客様は、静岡市内よりお越しの鹿沼さん親子!
    ちょうどこの日はトークフリーデーでした。
    親子で楽しくお話ししながら、ご鑑賞いただけましたでしょうか?

     

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    菅沼さん、鹿沼さんには、当館館長より記念品を贈呈しました。おめでとうございます!

    さて、「フィンランドのくらしとデザイン」展では、関連イベントとして講演会を2本開催いたしました。

     

    開幕初日の9月1日(土)に「アクセリ・ガレン=カレラと民族叙事詩『カレワラ』」を開催。
    フィンランド、エスポーという都市にあるガレン=カレラ美術館のコレクション主任、

    ミンナ・トゥルティアイネン氏を講師に迎えました。

    フィンランドでは、国民的画家として知られているアクセリ・ガレン=カレラ。
    近年、オルセー美術館で大回顧展が開催されるなど、世界的にも再評価が高まっている画家のひとりです。

     

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    民族叙事詩『カレワラ』は、フィンランド文学のうち最も重要なもののひとつとされています。
    ロシアの支配下にあったフィンランド。『カレワラ』を題材に多くの芸術家が音楽や絵画などを制作、

    民族意識を高めたというお話も。
    ガレン=カレラという画家を通して、フィンランドの歴史も垣間見えました。

     

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    本展には出品されていませんが、アフリカ滞在時にはこのような明るい色彩の作品も制作していたそう。
    また、フランス留学している時に触れた浮世絵の影響もあるのではというお話もあり、

    ガレン=カレラが多様な表現を取り入れていたことがわかりました。

     

    展覧会ではガレン=カレラの油彩画、挿絵原画、工芸品など約40点を出品しています。
    ガレン=カレラをはじめとする画家たちの作品を通じて、フィンランドの国について、

    じっくり知っていただく機会になれば幸いです。

     

    また、9月22日(土・祝)には「北欧デザインの中のフィンランド・モダンデザイン」を開催しました。

    「北欧デザイン」研究の第一人者である、島崎信氏(武蔵野美術大学名誉教授・日本フィンランドデザイン協会理事長)を

    講師にご講演いただきました。

     

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    国土の78%が森というフィンランド。
    フィンランドの風土や歴史、文化などからフィンランドデザインが生まれた背景などもお話しいただきました。

     

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    「”使う人の事を考えたデザイン”だから、長い年月がたっても残っている」という

    島崎先生のお言葉、みなさん印象深かったようです。
    また、フィンランドの文化と日本の文化には共通点が多いというお話も。
    お客様からのアンケートには「フィンランドのデザインを見るとなぜかホッとする理由がわかった」という声もありました。

     

    DSC_006444.JPG 「フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活」展は、

    フィンランドのライフスタイルを紹介するこれまでにない大規模な展覧会です。
    会期も残すところ数日となりました…本当にあっという間です。
    この連休は静岡市美術館へ、ぜひお越しください!
    みなさまのご来館をお待ちしています!

     

    (c.o)

     

     

  • 2012年09月18日 フィンランド展 観覧1万人達成!&ヤンネ舘野コンサートのご報告

    9月9日(日)、「フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活」展の観覧者が、

    開幕9日目にして1万人を突破しました!

    1万人目のお客様は、愛知県春日井市からお越しの永井さんご一家!
    フィンランド展のために、遠方からご来館いただきました。ありがとうございます!
    永井さんご一家、実は5人家族だそうで、中学生のお兄さん(お姉さん?)は、おうちでお留守番されていたそうです。

    今度は家族みんなで遊びにいらしてくださいね♪

     

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    エントランスホールに設置されている『森の家』の前で、当館館長より記念品を贈呈。
    おめでとうございます!

    そして同日、ヤンネ舘野トーク&コンサート「フィンランドの響き」を開催しました。
    ヘルシンキ出身のヴァイオリニストのヤンネさん。ピアニストの舘野泉氏を父に、

    ソプラノ歌手のマリア・ホロパイネン氏を母に持ち、まさに二つの祖国「フィンランドと日本」で活躍していらっしゃいます。

     

    今回は、バリトン歌手の井上雅人さん、ピアニストの水月恵美子さんが共演。
    フィンランドの作曲家による作品や、フィンランド歌曲を中心に演奏いただきました。

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    ヤンネさんのヴァイオリンは、優しく流れる風のよう。お人柄をそのまま表しているようです。

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    ぬくもりのある井上さんの歌声が、会場いっぱいに(お腹にも!)響きます。

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    水月さんの軽やかなピアノの音色。「フィンランドの川の流れを感じました」というお客さんの感想も納得です。

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    演奏の合間には、フィンランドのお話もたくさん。
    フィンランド滞在時の体験談や、フィンランド語と日本語のちょっと変わった共通点など、ユニークなお話ばかりでした。

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    アンコールは、お三方一緒に。

    会場はお客様の大きな拍手に包まれました。
    たくさんのご来場、ありがとうございました!

    おまけ。
    終演後のお三方。ロゴマークを使って、こんなに楽しい写真がとれるなんて!

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    (c.o)

  • 2012年09月15日 フィンランドの伝統装飾 ヒンメリをつくりました!

    「フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活」展がスタートしてから、
    ちょうど1週間目の9月8日、展覧会関連イベントとして、
    ワークショップ「フィンランドの伝統装飾 ヒンメリをつくろう!」を開催しました。

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    ヒンメリとは、麦わらにひもを通してつくる、正八面体を基本としたモビールで、
    フィンランドの伝統装飾です。

    今回、このヒンメリの作り方を教えてくれるのは、
    造形作家のおおくぼともこさんです。

    おおくぼさんは、麦わら細工に興味を持ち、調べていたとき、
    今までに見たこともない、美しいモビール…ヒンメリに出会ったそうです。

    制作に入る前に、ヒンメリについてのおはなしを
    たっぷり聞かせていただきました。

    こちらは、おおくぼさんの著書『ヒンメリ―フィンランドの伝統装飾』。
    美しいヒンメリがたくさん載っています!

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    ヒンメリの基本は正八面体ですが、
    大きさやつなぎ方、数を変えることで、
    さまざまなバリエーションが生まれます。

    子どもたちも興味津々!

    次に、ヒンメリの材料、麦わらのおはなし。
    なんと、おおくぼさんが育てた麦を持ってきてくださいました!

     

     
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    そして、ヒンメリが生まれた、フィンランドのおはなし。

    紙の地球儀で、みんなでフィンランドを探します。

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    フィンランド、実は日本にいちばん近いヨーロッパなんですよ!

    今日使う麦わらがこちら。

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    ワークショップの始まる少し前に、水に浸しておきました。
    こうすることで、麦わらを切るとき、割れにくくなるそう。
     

    これを、同じ長さに切りそろえて…

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    ひもを通していきます。

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    みんな真剣…!

     

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    完成したら、この小さな正八面体を、おおくぼさんがつなげていきます。

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    少しずつ…

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    少しずつ…

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    大きくなっていきます!!

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    参加者のみんなは、次に大きな正八面体づくりに挑戦です。

     

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    大きな正八面体の中に、小さな正八面体を入れてつなげると…

    こんなにすてきなモビールが完成!

     

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    こちらは参加者のお持ち帰り用です。

    そしてこちらが…

    参加者みんなでつくった正八面体を、
    おおくぼさんがつなげて完成した、大きなヒンメリ!

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    この、みんなでつくったヒンメリは、
    美術館エントランスホールの「森の家」の中に展示しています!

     

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    「森の家」の中に入ると…

    きれいなヒンメリが皆さんをお出迎え!

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    ぜひ近くでご覧ください。

     

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    「森の家」はエントランスホールにありますので、
    開館時間中であれば、いつでも、どなたでも、無料で、観覧できます!

    「もう展覧会は観たよ!」と言う方も、ぜひぜひ足を運んでくださいね。

    (m.y)

  • 2012年09月08日 「フィンランドのくらしとデザイン」展 毎週月曜日はトークフリーデー!!

    「フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活」展、開幕から早くも1週間が経ちました。
    連日、たくさんのお客様にご来館いただき、とてもうれしく思います!

     

    さて、先日ツイッターでもつぶやきましたが、展覧会では、脇坂克二の子どものための「ブブー」シリーズを展示しています。
    車のイラストのコップやお皿、大きい生地などを明るい展示室で見ていると、とても元気な気持ちになります。

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    このデザインは、小風さち作の絵本「ブーブーブー」でもおなじみです。
    静岡市には、ブックスタートという生後6か月の赤ちゃんに絵本をプレゼントする事業がありますが、絵本「ブーブーブー」は、このブックスタートで長い間、親しまれています。
    お父さんやお母さん、ちびっこたちをはじめ、絵本を手に取ったことのある方は「こんなところに!!」と感じるかもしれませんね♪

    「フィンランドのくらしとデザイン」展、ご家族で来館されるお客様も、たくさんいらっしゃいます。
    そこで、当館では、毎週月曜日に「トークフリーデー」を実施しています!
    小さいお子様連れのお客様や、お友達とご来館される方など、会話を楽しみながら気軽に作品を鑑賞していただければ幸いです。

    最後に・・・
    “まだ間に合う!”申込受付中のイベントのご案内です。詳細は各イベントページをご覧ください。

    ShizubiシネマアワーVol.5「フィンランドを楽しむ映画」『かもめ食堂』

    9月16日(日)15:00~(14:30会場)
    映画はたくさんの人と一緒に楽しみたい!という方におすすめ。
    当館受付にて、チケット好評販売中です。

    「しずびチビッこプログラム」
    9月29日(土)①10:30~12:00 ②14:00~15:30
    2歳以上の未就学児を対象とした、小さな子ども達のためのアート体験プログラム。
    お子様をお預かりする間、保護者の方は展覧会をお楽しみください。

     

    (c.o)

  • 2012年08月17日 “京・冷泉家と徳川家のコラボレーション”

    冷泉家の乞巧奠(星祭り)は、毎年旧暦の七月七日に行われます。
    これは年に一夜の星の逢瀬(おうせ)を祝し、かつ技の巧みな星に自らの技を手向けて上達を祈る、というものだそうです。和歌の宗家である冷泉家では、七夕の日の夕方、二星にむかって雅楽を奏し、和歌を手向け、兼題を披講(ひこう/声に出して詠む)し、次に「流れの座」となり、白布を天の川に見立て、男女が相対し、歌を詠みかわして贈答するそうです。

     

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    本展で展示している乞巧奠の祭壇 星の座は、織姫と彦星に手向けられた、お供物といっていいでしょう。
    角盥(つのだらい)には梶(かじ)の葉を浮かべ、九本の灯台に明かりをともし、海の幸、山の幸を各九種、秋の七草、五色の絹・糸、そして雅楽の楽器(琴と琵琶)を飾る。

    この雅楽の楽器、本展では静岡浅間神社の御好意で、江戸幕府十五代将軍・徳川慶喜の父、徳川斉昭が自ら作り愛用したと伝えられる琵琶を二星に手向けています。
    この琵琶は、雅楽の家である東儀家が、安政三年に斉昭より賜り、大正十三年に東儀家より静岡浅間神社へ奉納されたもの。

     

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    平安時代以来、宮中の年中行事として伝えられた乞巧奠の形を、ほぼそのまま守り伝える冷泉家の星の座もなかなか目にする機会はありませんが、冷泉家の星の座と斉昭の琵琶が一緒に展示されることは、今後、おそらくないでしょう。
    冷泉家も、静岡ならではのこの趣向を大いに喜んで下さり今回実現しました!

     

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    因みに徳川将軍家には中華文人の書斎を飾る文具が「七夕飾文具」として伝来しています。幕末から明治期には既に、乞巧奠は主に女性の裁縫や書道の上達を祈るものとして浸透していましたが、高貴な男性の詩文書画の上達を祈り、七夕飾りに文房四宝が選ばれていたとすれば、これまた興味深いことですね。

     

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      本展では第十四代将軍家茂の所用品でガラス製の異国趣味の文具と、徳川宗家第十六代を継ぎ、初代静岡藩知事となった家達(いえさと)の文人好みの四君子(蘭竹梅菊)の意匠で統一された七夕飾文具を展示しています。

      公家社会で伝えられてきた七夕の行事も、江戸時代には五節句の一つとしてどちらかといえば女子の行事としての色が強かったようにも思いますが、静岡や徳川家とのかかわりの中で、本展では意外な展開を見ることができました。
    年に一夜の星の逢瀬(おうせ)どころか、もう二度とない、取り合わせでしょう。

      本展も残り2日となりました。この機会をぜひお見逃しなく!

                                                                                                                                 (e.y.)