• 2022年01月07日 「風景画のはじまり」来場1万人達成!

    1月7日、「風景画のはじまり コローから印象派へ」の来場者が1万人を達成しました。

    1万人目は浜松市からお越しのお客様。当館館長より記念品を贈呈しました。
    静岡県内の美術館をたびたび訪れるとのことで、特にコローをはじめ、この時代の作品がお好きなのだそう。
    本展はぴったりの展示内容でしたね。リフレッシュをかねて、また当館に足をお運びくださいね。

     


     

    「風景画のはじまり コローから印象派へ」は、いよいよ1月23日(日)までの開催となりました。
    ランス美術館のコレクションを中心に、コローの名作のほか、バルビゾンの画家たち、ブーダンを経て印象派のモネ、ピサロ、ルノワールに至るフランス近代風景画史の展開を辿ります。
    皆様のご来場をお待ちしております。

     

    ◎ご来館の際はマスクを着用いただき、美術館入口にて手指の消毒をお願いします。⇒ご来場の皆様へお願い
    ◎当館ホームページから日時指定制(web予約)もご利用いただけます。ご予約なしでご来館される場合は、受付でその旨お伝え頂き、整理券をお受け取りください。

     

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  • 2021年12月26日 風景画のはじまり―【5】印象主義の展開

    1874年、パリ。新進気鋭の画家たちが政府主催の官展に不満を覚え、グループ展を開催します。モネ、ルノワール、ピサロ、シスレーらがこれに参加しました。後に印象派と呼ばれるこの一派は、メンバーの入れ替わりを繰り返しながら、1886年まで全8回にわたり展覧会を開催。戸外制作も盛んに行いました。

    印象派の画家たちが目指したのは、刻一刻と変化する自然の様相を描きとめること。その難題に最も果敢に取り組んだのがモネでした。彼は1880年代半ばから、ひとつの場所を異なる時間帯や天候のもとで観察し、複数のカンヴァスに描くようになります。ブルターニュ地方のベリール島でも、この手法を取り入れました。そのうちの1点、ランス美術館所蔵の作例では、水面の揺らめきや、奇岩を照らす陽光の瞬きが、躍動的な筆触で捉えられています。真摯に自然と向き合う画家の制作姿勢を垣間見ることができる作品です。


    モネ《ベリールの岩礁》1886年 Inv. 907.19.191 ランス美術館 © MBA Reims 2019


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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
    ●1月2日、3日は開館!新年はしずびで!●

     

     

  • 2021年12月25日 風景画のはじまり―【4】ウジェーヌ・ブーダン

    近代風景画史に大きな足跡を残したブーダン。その生涯は北西部のノルマンディー地方で幕を開けました。1824年、オンフルールの水夫の家に誕生。隣接するル・アーヴルに転居し、画材屋を開業しました。ジャン=フランソワ・ミレー、クチュール、トロワイヨン、イザベイらが常連客でした。彼らに感化され、画業に専念することを決心。その後故郷のノルマンディー地方やブルターニュ地方、オランダを拠点として、海景画家として名声を得ました。

    ブーダンは戸外制作を重視し、移ろいゆく大気や空模様を写し取りました。かのコローからは「空の王者」と讃えられ、当時の画家たちの登竜門、官展にも繰り返し入選を果たします。1858年、後に印象派の領袖となる若き日のモネに出会い、戸外制作の教えを授けました。これは印象派の芸術観を決定づける重要な前段階となりました。1874年に第一回印象派展が開催された際にはブーダン自身も出品しています。


    ブーダン《ベルク、出航》1890年 Inv. 907.19.34  ランス美術館 © MBA Reims 2019


     

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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
    ●1月2日、3日は開館!新年は「しずび」で!●

     

     

  • 2021年12月24日 風景画のはじまり―【3】画家=版画家の誕生

    19世紀のフランスでは、印刷文化の浸透とともに版画芸術が広く伝播します。雑誌や絵画販売カタログに様々な版画が添えられ、人々の手に渡りました。風景はブルジョワに人気の絵画主題で、版画の題材となることも多かったといいます。

    特に微妙な濃淡によって繊細な色調の変化を表現することができたエッチングは、風景描写に適した技法でした。化学薬品の腐食作用を利用して製版を行うこの技法は、17世紀のバロック期に盛んに用いられた後、1860年代から再び流行します。コローやバルビゾン派の画家たちは好んでエッチングを取り入れました。

    彼らの多くは刷りだけを職人に任せ、製版は自ら行ったことが知られます。油彩画で養われた表現技法は、版画でもいかんなく発揮されていきます。シェニョーのエッチングはそのことをよく示しています。繊細なハッチング(複数の平行線を密に並べ、明暗を表現する技法)による写実的な描写は、動物画家として培った細密描写の技量に裏付けされたものでしょう。

    ジャン=フェルディナン・シェニョー《平原の羊の群れ》エッチング/紙 個人蔵


     

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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館

    ●1月2日、3日は開館!新年は「しずび」で!●

  • 2021年12月23日 風景画のはじまり―【2】バルビゾン派

    フランス国内で戸外制作が流行するのは、1830年代頃からです。鉄道網の発達と携帯可能なチューブ式絵の具の開発が大きな要因となりました。

    とくにパリ南東、フォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村は風景画制作の拠点として人気を博すようになります。村内でガンヌ夫妻が営んだ宿屋は宿泊費が安く、懐の寂しい若手画家たちを迎え入れました。テオドール・ルソー、ドービニー、トロワイヨンを筆頭に、この地で精力的に活動した画家たちは後にバルビゾン派と命名されました。彼らは自然の中にカンヴァスを立て、穏やかな田園風景を描きました。

    なかでもドービニーはアトリエを設えた船「ボタン号」を造らせ、水上から川の光景を活写したというエピソードが伝わります。丹念な自然研究の成果は、空や水面の繊細な描写に表れています。ドービニーに感化された印象派のモネも、後にアトリエ船を用いるようになりました。

     


    ドービニー《風景、雨模様の空》1865年 Inv. 907.19.79 ランス美術館 © MBA Reims 2019


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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
    ●1月2日、3日は開館!新年はしずびで!●

     

     

  • 2021年12月22日 風景画のはじまり―【1】コローと19世紀風景画の先駆者たち

    19世紀初頭、風景画制作は大きく変化しました。アカデミーの教授であったヴァランシエンヌは1800年の著作の中で、アトリエで制作を始める前に戸外で自然研究を行うことの重要性を説きました。室内での制作が絶対視されていた当時にあって画期的なことでした。

    これを受けアカデミーのローマ分館で戸外制作ブームが起こります。そして実景から理想的情景を生み出す手法は、ヴァランシエンヌに師事したミシャロンとベルタンを経て、コローへと引き継がれていきました。

    コローは旅先で描きためたスケッチをもとに詩情溢れる風景画を手がけました。1865年から1870年に描かれた《アルバーノ湖の思い出》はローマ南東の湖に取材しています。画家は1820年代のイタリア滞在時に戸外スケッチでこの場所を写し取っていました。見たままの光景を捉えたスケッチとは対照的に、本作では風景全体を包み込む銀灰色のヴェールが、幻想的な雰囲気を生み出しています。

     


    コロー《アルバーノ湖の思い出》1865-70年 Inv. 887.3.51 ランス美術館 © MBA Reims 2019


     

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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
    ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
    ●1月2日、3日は開館!新年はしずびで!●

     

     

  • 2021年11月10日 フランス近代風景画の展開

    19世紀のフランスで風景画は大きな進展をとげます。官立の芸術機関であったアカデミーでは、古くから絵画ジャンルに序列が設けられ、神話や聖書の物語に取材した歴史画と比べて、風景画や風俗画は劣るものと考えられていました。19世紀初頭になると、こうした状況を打開すべく、アカデミーで風景画の地位向上を目的とした制度改革が実施されます。特別な知識や教養を必要としないこの絵画主題は、フランス革命を機に台頭したブルジョワジーの間で高い人気を博すようになりました。

    さらにこの頃から、風景画の制作方法にも変革がもたらされます。新古典主義の画家たちを中心に戸外での油彩スケッチ制作が流行し、ありのままの自然を写し取る近代的な制作方法の基礎が築かれたのです。1830年代以降、鉄道やチューブ入り絵具の登場によってこの制作方法はさらなる広がりを見せ、とくにパリ南東のバルビゾン村が戸外制作の拠点として栄えました。

    こうした中で画家たちは個性豊かな風景表現を追求しました。コローは旅先で描きためたスケッチをもとに叙情的な風景画を生み出し、クールベは手つかずの自然を荒々しいタッチで描いています。一方、バルビゾン派は田舎の日常風景を絵画化することで、歴史画を重視する風潮に一石を投じました。そしてブーダンやバルビゾン派からの影響のもと、印象派の画家たちは移ろいゆく自然の様相を色とりどりの細やかなタッチで表現するようになります。

    本展ではフランス北東部にあるランス美術館の所蔵品を中心に据え、約70点の出品作によって、新古典主義から印象派に至る風景画史の展開を辿ります。

     


     

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    「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
    会期 :2021年11月20日(土)-2022年1月23日(日)
    休館日:月曜、年末年始[12月27日(月)-1月1日(土・祝)]
        ※ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)、1月11日(火)休館
    観覧料:一般1,300(1,100)円、大高生・70歳以上900(700)円、中学生以下無料
    前売券:10月9日(土)-11月19日(金)まで販売
    取扱場所:静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード: 43574]、セブンチケット[セブンコード: 090-959]、チケットぴあ[Pコード: 685-787]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、流通通り店)、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、大丸松坂屋静岡店友の会、中日新聞販売店