-
2019年10月24日 奇蹟の芸術都市バルセロナ
バルセロナ、と聞いてみなさんどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
サグラダ・ファミリアやグエル公園などのガウディの建築群、サッカーの強豪FCバルセロナ、
フレディ・マーキュリーのテーマソング「バルセロナ」も有名となった1992年のオリンピック・・・
(ちなみに本展のテレビCMでもこの「バルセロナ」が使われています!)
美術ファンには、ピカソ美術館、ミロ美術館などを挙げる方もいらっしゃるでしょう。こうした今私たちが思い浮かべるバルセロナの街のイメージの多くは、
実は19世紀末~20世紀初頭に集中して生み出されたものです。
18世紀後半以降、新大陸との交易や産業革命によって地方都市のひとつであったバルセロナは急速に発展、
19世紀後半にはグリッド状の区画を基盤とした新しい都市計画により、近代都市としての整備が進んでいきます。
ガウディの手がけたカサ・ミラやカサ・バッリョーといった邸宅が生まれたのはこの時代でした。さらにその後、アール・ヌーヴォーやアーツ・アンド・クラフツ運動といった他国の芸術運動や様式が流入し、
バルセロナ固有の文化と混ざり合い「ムダルニズマ」という独自の芸術様式が生まれます。より前衛的な芸術を模索する者たちは街中のカフェやレストランで芸術談義を繰り広げ、
そうした芸術家のたまり場の一つであった「四匹の猫」という店では飲食の提供だけでなく、
コンサートや朗読会などのほか、人形劇や同時代のパリで人気を集めていた影絵芝居といったイベントが開催されました。
この店に足しげく通っていたのがパブロ・ピカソで、彼はここで初めての個展を開催、画家としての第一歩を歩み始めています。20世紀に入ると、キュビスムやシュルレアリスムに影響を受けたミロやダリといった若い画家たちがバルセロナで活動を始めます。
バルセロナで育まれた芸術の歴史を駆け足でご紹介しましたが、本展ではおなじみの巨匠たちの若き日の作品や、
家具や宝飾品など日本初公開となる作品が多数出品されます。
是非ご覧ください。(k.o)
「奇蹟の芸術都市バルセロナ展」
会期:2019年11月15日(金)~2020年1月19日(日)
観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
*( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
*障がい者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料★前売券:11月14日(木)まで販売
静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード:40302]、セブンチケット[セブンコード:077-621]、チケットぴあ[Pコード:769-855] 、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店*お得な一般前売ペア割チケット 2枚1組 1,800円
取扱場所:静岡市美術館、ローソンチケット[Lコード:40301]、セブンチケット[セブンコード:077-618] 、チケットぴあ[Pコード:769-854]
※当日ペア割チケットの販売はございません。 -
2019年10月11日 静岡市美術館 来館者総数300万人達成!
2010年に開館した静岡市美術館の来館者数が、昨日10月10日に300万人を達成しました!
300万人目のお客様は、静岡市内からお越しの西家さん、笛田さんのお二人。
お友達からの紹介で「印象派への旅 海運王の夢 バレルコレクション」展を知ったそうで、
門外不出のバレル・コレクションが初めて日本で展示される事を聞いて、
滅多にない機会だからとご来館くださいました。お二人には、静岡市美術館のオリジナルグッズなどの記念品を贈呈しました。
おめでとうございます!
来年には開館10周年を迎える静岡市美術館。
これからも、誰もが気軽に立ち寄れる”ちょっと面白い、街の中の広場”としての美術館を目指し、様々な展覧会や交流事業を開催していきます。
皆様のご来館をお待ちしています。(c.o)
-
2019年10月10日 英国王室より、アン王女ご夫妻がご来館!
10月9日(水)、静岡市美術館にアン王女ご夫妻が来館され、開催中の「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」をご鑑賞されました。
アン王女は、スコットランドラグビー協会の総裁を務めており、エコパスタジアムでのラグビーワールドカップ、スコットランド対ロシアを観戦するため来静、観戦前に当館にお立ち寄りいただきました。
「印象派への旅」展では、スコットランドのグラスゴーで船舶の売買で大成功し「海運王」と称されたウィリアム・バレルが築いたコレクションを中心に紹介しています。
バレル・コレクションすべてが日本初公開となる本展では、「グラスゴー・ボーイズ」や「スコティッシュ・カラリスト」といったスコットランドの画家など絵画作品も展示しています。
アン王女は、展示作品を1点1点熱心に、特に馬の絵や海景画の作品をじっくりとご覧になっていました。
当館にとっても、素晴らしい時間となりました。ありがとうございました!
(c.o)
-
2019年09月05日 「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」来場1万人達成!
本日9月5日(木)に、「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」の来場者が1万人を達成しました!
1万人目のお客様は、静岡県内からお越しの深澤さんご夫妻。
前回の浮世絵展では母と娘で、今回はご夫婦で来館されたとのこと。
お二人には、当館館長から記念品を贈呈しました。展覧会をご覧になり、「油絵の作品のみと思っていたが、水彩画も印象的だった」とお話しいただきました。
取材にも快く応じていただき、ありがとうございました。
またのご来館をお待ちしています!(c.o)
会期:2019年8月7日(水)~10月20日(日)
観覧料:一般1,300(900)円、大高生・70歳以上900(700)円、中学生以下無料
*( )内は当日に限り20名以上の団体料金
*障がい者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料
-
2019年08月01日 海運王のコレクション、すべてが日本初公開!
英国、スコットランド最大の都市グラスゴーにあるバレル・コレクションは、船舶の売買で大成功し「海運王」と称されたウィリアム・バレル(1861-1958)が築いたコレクションからなる美術館です。
現在のバレル・コレクション © CSG CIC Glasgow Museums Collection
バレル・コレクションは時代や地域、ジャンルが多岐にわたるのが特徴ですが、本展ではそのなかから19世紀のフランス絵画、オランダのハーグ派、「グラスゴー・ボーイズ」や「スコティッシュ・カラリスト」といったスコットランドの画家など絵画作品をご紹介します。
室内の風景や街中の人々の姿、海を描いた作品など、落ち着いた雰囲気の作品を眺めていると、バレルが好んだ作風というのが見えてきます。もし自分だったらどの作品を家に飾ろうか、そんな視点で作品を眺めてみるのも良いかもしれません。
バレル・コレクションのなかでも特に大事にされてきた印象派の画家ドガの《リハーサル》は必見です。
練習に励むダンサーたちを覗き見るようなひっそりとした空気が流れていますが、その構図は大胆です。
エドガー・ドガ《リハーサル》 1874 年頃 油彩・カンヴァス バレル・コレクション
©CSG CIC Glasgow Museums Collection
また本展では、ファン・ゴッホが描いた画商アレクサンダー・リードの肖像が、同じくグラスゴーにあるケルヴィングローヴ美術博物館より出品されます。
バレルはこのリードの他、何人かの画商から作品を購入することで、フランスやオランダの文化に触れていました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《アレクサンダー・リードの肖像》 1887年 油彩・板
ケルヴィングローヴ美術博物館 ©CSG CIC Glasgow Museums Collection
バレルがグラスゴー市へ作品を寄贈する際、「大気汚染の影響が少ない郊外に作品を展示すること」「国外に持ち出さないこと」が条件だったため、この世界屈指のコレクションは永らく現地でしか見ることができませんでした。
その門外不出のコレクションが、同館の改装に伴い海を渡って初来日を果たします。
スコットランド議会の承認を経て海外への貸出が可能となったのですが、当初バレルが提示した条件は、海で荷物を運ぶことの恐ろしさを熟知していた海運王ならではのリスク回避と言えるでしょう(バレル卿、今回は空路で大事に輸送されるので、ご安心ください!)。
(a.i)
会期:2019年8月7日(水)~10月20日(日)
観覧料:一般1,300(900)円、大高生・70歳以上900(700)円、中学生以下無料
*( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
*障がい者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料
★前売券:8月6日(火)まで販売
静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-762]、ローソンチケット[Lコード:41811]、セブンチケット[セブンコード:076-081]、谷島屋(パルシェ店、マークイズ静岡店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店
-
2019年07月12日 初摺と後摺 摺りの違いを楽しむ 歌川広重「名所江戸百景 両国花火」
真っ暗な夜空にあがる大きな花火。
川には舟がたくさん浮かんでおり、橋の上にも多くの見物客が描かれています。右の初摺(しょずり)は、打ち上げ花火がパッと花開いた瞬間を捉えたもので、
周辺の風景も花火により明るく照らされています。
対して左の後摺(あとずり)は花火があがった後のキラキラとはかなく散っていく様子が表現されています。
周辺も夜空と境目がわからないほど暗く、寂寥感が漂う作品です。同じ作品でも異なる摺りを比較し楽しめるのは版画ならでは。
どちらも広重最晩年の大作「名所江戸百景」を代表する夜景の傑作です。歌川広重「名所江戸百景 両国花火」 安政5年(1858)8月、大判錦絵、アレン・メモリアル美術館蔵
右:初摺、左:後摺(s.o)
-
2019年07月11日 富士は日本一の山 葛飾北斎「富嶽三十六景 山下白雨」
白雨(はくう)とは夕立のこと。
山下を暗くし、右下に稲妻を走らせることで、雨を描かずとも山麓に降る夕立を示しています。
対して富士の頂は青空の中に堂々とそびえています。
まさに「雷さまを下に聞く、富士は日本一の山」という唱歌のとおり、雨雲すら届かない富士の高さが表現されています。
「富嶽三十六景」シリーズの代表作のひとつです。北斎がこの揃物を描いたのは70歳を過ぎた天保2-4年(1831-33)頃。
北斎は「森羅万象を描き尽くした」と言われるほど、
90歳で没するまで美人画、風景画、花鳥画など肉筆・版画を問わず旺盛な作画活動を続けました。葛飾北斎「富嶽三十六景 山下白雨」 天保2-4年(1831-33)頃、大判錦絵、アレン・メモリアル美術館蔵
(s.o)
-
2019年07月10日 歌麿の大首絵-表情に迫る 喜多川歌麿「婦人相学十躰 面白キ相」
鏡を手に身支度をする女性。
お歯黒を差していることから、新婚女性の初々しい化粧の様子を描いたものでしょうか。
ほつれた髪もそのままに口を突き出し、熱心にお歯黒を確認する微笑ましい姿が描かれています。
表情やしぐさにより、女性の心情までもが見事に表現されています。
歌麿は細部まで女性の魅力に迫った美人大首絵(おおくびえ/胸像)で人気を博しました。
一方、髪の毛の繊細な彫りや背景の雲母摺(きらずり)、着物の空摺(からずり/エンボス加工)など、
彫師・摺師の高い技術も見逃せません。
この作品は、まさに浮世絵の黄金期を迎えた寛政期(1789-1801)の、歌麿を代表する美人画のひとつです。喜多川歌麿「婦人相学十躰 面白キ相」 寛政4-5年(1792-1793)頃、大判錦絵、アレン・メモリアル美術館蔵
(s.o)
-
2019年07月09日 錦絵の祖・春信の見立絵 鈴木春信「縁先美人(見立無間の鐘)]
障子の影に映る賑やかな宴の様子とは対照的に、
思いつめたような表情で縁先に佇む白無垢姿の遊女が描かれています。
視線の先には手水鉢(ちょうずばち)と柄杓(ひしゃく)があります。
この作品は、撞けば現世で財宝を得るが、来世では無間地獄に陥るという「無間の鐘」の見立絵(みたてえ)です。
歌舞伎では人気の題材で、遊女となった梅ヶ枝が夫・梶原源太を助けようと、
手水鉢を鐘に見立てて柄杓で打つと、2階から小判が降るというのが代表的なストーリー。
山吹の花が小判を暗示しています。この奇知に富んだ作品は、「錦絵」(にしきえ/多色摺木版画)の誕生に大きく寄与した鈴木春信が手掛けたもの。
春信は見立絵を得意としました。鈴木春信「縁先美人(見立無間の鐘)」 明和4年(1767)頃、中判錦絵、
アレン・メモリアル美術館蔵(s.o)
-
2019年07月06日 コレクション第一号!? 石川豊信「提灯と傘を持つ佐野川市松」
当時大人気だった歌舞伎役者・佐野川市松を描いた作品です。
雨夜の外出でしょうか、高下駄に道行(みちゆき/コート)を羽織り、手には提灯と傘を持っています。
帯の石畳模様は市松が愛用したことから「市松模様」とも呼ばれるようになりました。
退色が進んでいますが、筆で紅を中心に彩色した初期浮世絵(紅絵)で、
当時は一層鮮やかで優美な作品だったことでしょう。この作品は、メアリー・エインズワースが明治39年(1906)の来日で初めて手に入れた浮世絵とされています。
それから約25年にわたり、貴重な初期の作品から幕末の広重まで1500点以上を収集しました。
コレクションの中には、世界で1点しか見つかっていない作品もあります。石川豊信「提灯と傘を持つ佐野川市松」 延享・寛延期(1744-51)、柱絵判紅絵、アレン・メモリアル美術館蔵
(s.o)
HOMEBLOG