過去の展覧会

グランマ・モーゼス展

第1章 アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス

グランマ・モーゼスのほとんどの作品は、ニューヨーク州とヴァーモント州にまたがる田園とその土地の人々の日常を描いたものです。
モーゼスは、生涯を通じて暮らし、愛した身近な風景を変わることなく描き続けました。第1章ではモーゼスと縁のある場所や人生の転機となった作品、また絵画を始める前から得意とした刺繍絵などにより、モーゼスの人物像を紹介します。

絵を描き始める前に
得意としていた刺繍絵
《海辺のコテージ》1941年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《初めての自動車》1939年以前 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《窓ごしに見たフージック谷》(部分) 1946年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)

第2章 仕事と幸せと

モーゼスの絵は、当時の人々がすべて自分たちで作る暮らしを送っていた事を伝えてくれます。せっけん、ろうそく作り、作物の収穫、”蜂”のように集ってキルトを作り食事するキルティング・ビー。こうした仕事は、多くの人が集まり、仲間意識を育む楽しい機会でもありました。それは、結婚式や引っ越しを手伝うといった地域の行事にも現れます。
第2章ではモーゼスが描く家族や村の人々との素朴な日常の暮らしを紹介します。

せっけんやろうそく、
衣類や食物も自給自足だった村の暮らし
《5月:せっけんを作り、羊を洗う》1945年
ミス・ポーターズ・スクール、ファーミントン、コネチカット
(レイモンド・F・エヴァンス夫人による寄贈)
《1800年のろうそく作り》1950年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
“蜂”のように集ってキルトを作り、
食事を楽しむ
《キルティング・ビー》1950年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《農場の引越し》1951年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《村の結婚式》1951年 ベニントン美術館

第3章 季節ごとのお祝い

モーゼスは農村の暮らしについて、“毎日ほとんど変化がないけれど、季節だけは移ろう”と語っています。だからこそ、村の人々は四季の微妙な変化を大切にし、季節ごとの特別な行事を楽しみました。2月にはメープルの樹液を採取してシロップと砂糖を作るシュガリング・オフ、夏にはピクニック、晩夏から初秋にかけてはアップルサイダー(リンゴ果汁)とリンゴを煮てバター状にするアップル・バター作り。そして、秋と冬にはハロウィーンや感謝祭、クリスマスと続きます。

冬の終わり、メープルの樹液を採取して
シロップや砂糖を作る
《シュガリング・オフ》1955年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《アップル・バター作り》1947年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《ハロウィーン》1955年 個人蔵
(グランマ・モーゼス・プロパティーズ、ニューヨーク寄託)
《魔女》1960年 個人蔵
(グランマ・モーゼス・プロパティーズ、ニューヨーク寄託)
クリスマスに次ぐお祭り、11月の感謝祭
七面鳥はごちそうのシンボル
《七面鳥》1958年 スミソニアン・アメリカ美術館
(オットー・カリアーを追悼してカリアー家による寄贈) 
《来年までさようなら》1960年 個人蔵
(グランマ・モーゼス・プロパティーズ、ニューヨーク寄託)

第4章 美しき世界

モーゼスの絵で最も大切なテーマは、変わらない自然の美しさです。自然は過酷な仕打ちをすることもある、けれども人間が理解と敬意をもって接すれば恵みを与えてくれるのだと、モーゼスは知っていました。モーゼスはその静と動どちらにも敬意を表し、目の前に映る風景を捉えました。第4章では自然を主題にした作品、そして100歳で描き絶筆となった《虹》を紹介します。

《早春の農場》1945年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《森の火事》1945年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《雷雨》1948年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
《美しき世界》1948年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
100歳で描いた絶筆
《虹》1961年 個人蔵
(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)
すべて アンナ・メアリー・ロバートソン・”グランマ”・モーゼス All Images©2021, Grandma Moses Properties Co., NY

愛用品・資料

モーゼスが描いた作品以外にも、彼女のお気に入りや手作りのものなど、プライベートを垣間見ることができる品々のほか、モーゼスの偉業や当時の影響力を示す資料など約50点を併せて展示します。

《絵を描くための作業テーブル》 1773年-1920年
ベニントン美術館
《手作りのキルト》 1961年以前 ベニントン美術館
《孫娘のために作った人形》 1932年 ベニントン美術館
(ゾイン・コロセウスとフランセス・ルドゥウィグによる寄贈)