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2015年05月28日 次回展「青磁のいま」 チラシもキラキラしています!
現在開催中の「大原美術館展 名画への旅」会期も、いよいよ残り数日となりました。
静岡市美術館開館5周年記念展の第一弾…みなさま、ご覧いただけましたでしょうか。
大原美術館展に続く、開館5周年記念の第二弾は
「青磁のいま―受け継がれた技と美 南宋から現代まで」(会期:6月13日(土)~8月16日(日))
中国に起源を持つ、青緑色を基調とする美しい釉色のやきもの”青磁”。
展覧会では、日本に伝わった中国・南宋時代(12~13世紀)の官窯や龍泉窯の名品から、
古陶磁の再現に心を砕き、次第に独自の青磁を作り出した板谷波山や岡部嶺男など近代の作家、
人間国宝の中島宏をはじめとする現代作家の最新作まで、約120点を一堂に展示します。
南宋時代の古陶磁を起点に、近代、現代までの青磁を通史的に3章立てで紹介する、これまでにない切り口の展覧会です。
こちらが展覧会のチラシです。
画像ではわかりませんが、印刷されたチラシには光沢があり、青磁の釉薬のようなツヤツヤとした質感をしています。出品作品をかたどったオリジナルフライヤー(ミニちらし)もあります!
左:《青磁鳳凰耳瓶(せいじほうおうみみへい)》 龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
読んで字の如く…鳳凰を象った耳付きの花器。
形がとってもユニークです。このフライヤーが一番人気!
中央:岡部嶺男《翠青瓷大盌(すいせいじおおわん)》1968年「貫入(かんにゅう)」という表面のひびも、青磁の見どころのひとつ。
また、展覧会ポスターやチラシの四辺の枠線は、この作品の縁の色からとりました。
右:板谷波山《霙青磁牡丹彫文花瓶(みぞれせいじぼたんちょうもんかびん)》大きな牡丹の花が彫られています。
東京美術学校で彫刻を学んだ波山ならではの技術と表現!
フライヤーの裏面には、各作品の解説文が載っています。
隅々まで、じっくりご覧ください。
チラシ・フライヤーは、静岡市美術館ほか、市内の文化施設・飲食店等で配布しています。
ぜひ、手に取ってみてくださいね。
(c.o)
会期:6月13日(土)~8月16日(日)
観覧料:一般1000(800)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料
*( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
*障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料
※お得な前売り券は、6月12日(金)までの販売です※
取扱い:静岡市美術館(6月11日(木)まで)、チケットぴあ[Pコード766-738]、ローソンチケット[Lコード46746]、セブンチケット[セブンコード:038-261]、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店
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2015年05月23日 「大原美術館展」のこり8日です!
静岡市美術館開館5周年記念の第一弾、
「大原美術館展 名画への旅」も残すところ、あと8日となりました。
本展では、モディリアーニ、マティス、ユトリロ、岸田劉生、梅原龍三郎、
棟方志功、山口晃など、大原美術館を代表する75点を紹介しています。
サブタイトルの「名画への旅」は、
お客様が会場を巡ることで名画を楽しむ機会になれば、という思いのほか、
「旅」をキーワードにいくつかの意味を込めています。
ひとつ目は、「児島虎次郎の名画収集の旅」。
大原美術館は1930年に創設されますが、
まだ「美術館」という存在も曖昧な時代において、
西洋美術が常設で鑑賞できる日本で初めての美術館でした。
そのコレクションの基礎を築いたのは、
児島虎次郎(1881-1929)という岡山県出身の洋画家。
虎次郎は倉敷の実業家で大原美術館の創設者である
大原孫三郎(1880-1943)の支援のもと、3度ヨーロッパへ留学し、
自らの画業研鑽の傍ら、モネやマティスといった画家たちと直接交流をしながら
西洋の絵画を日本に持ち帰ります。
この名画収集の旅、そして大原美術館創設までの道のりを紹介しています。
虎次郎の作品は全12点出品されていますが、
なかでも彼が得意とした大画面の人物画は必見です。
2つ目は「日本人画家たちの留学の旅」。
虎次郎のほか、明治末から大正、昭和にかけて多くの日本人画家が西洋へ留学しています。
第3章では、西洋に学びながらも独自の表現を切り拓いていった、
藤島武二、梅原龍三郎、安井曾太郎、須田国太郎、荻須高徳などをはじめとする、
近代日本美術の名作を紹介しています。
西洋出自の油絵具を用いながら、日本人ならではの洋画を追求した彼らの、
挑戦や苦悩を作品から感じられると思います。
そして三つ目は「作品の旅」。
虎次郎が持ち帰った作品のほか、現在の大原美術館には様々な作品が所蔵されています。
これらの作品たちが、制作者である画家の手を離れてからどのような道をたどって大原美術館へやってきたのか、
誰の手元にわたり、どのような展覧会に出品されてきたのか。
本展では、この絵画の履歴書である「来歴」にも注目しています。
残念ながら展覧会では会場の都合、詳しいところまで紹介できていないのですが、
是非図録をご覧いただければと思います。
虎次郎がモネから直接作品を購入した際に発行された領収書の画像など、
貴重な資料画像も多数掲載しています。
(図録は通販も行っています。詳細はこちら→https://shizubi.jp/cafe/mailorder.php)
1点1点の作品にひそむ、名画にまつわる物語にも目を向けてみると、
見慣れた作品の新しい一面を発見できるかもしれません。
大原美術館は創設されてから今年で85年を迎えますが、
美術館の先達として常に積極的な取り組みをされてきました。
当館は2010年に開館、ようやく今年5周年を迎えます。
大原美術館から見たら孫のような立場、まだまだ学ぶべきところが沢山あります。
静岡市美術館の開館5周年記念の第一弾として開催した本展によって、
「美術館」という場を改めて考えるきっかけに、
また美術作品と社会がどうつながっているのか、ということにも目をむける機会となることを願っています。
会期はのこりわずかです。どうぞお見逃しなく!
(a.i.)
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2015年05月23日 「大原美術館展」観覧者2万人達成と、展覧会グッズのご紹介
久しぶりの更新です。広報担当のAです。
昨日、「大原美術館展 名画への旅」の来館者が2万人を達成しました!
栄えある2万人目の方は、焼津市からお越しのご夫婦でした。
静岡県立美術館で開催中の「篠山紀信展 写真力」をご観覧されたのちに、
当館にお寄りいただいたとのこと。ありがとうございます。
美術館から感謝をこめて、展覧会グッズの詰め合わせ、そして展覧会カタログをお渡しししました。
さて、「大原美術館展 名画への旅」は、連日多くの方にご来館いただいております。
大原美術館の豊かなコレクションのなかから、厳選した75点の作品を紹介するこの展覧会。
ミュージアムショップでも、展示作品に関連するグッズを取り扱っております。
今回は、上記の2万人目の方にもお渡しした「大原美術館展 名画への旅」グッズ、なかでもオススメのものをご紹介します。
まずはこれ。
展覧会グッズといえばコレですね。ポストカードです。
ご観覧後、展示室の様子を振り返りながら、お気に入りの一枚を探すのは、なかなか楽しいものです。
また、郵便に使うのはもちろん、手頃なサイズですので、本棚などに飾ってインテリアとして活用するのもオススメです。
さて、次は遊び心あふれるグッズです。
これ、何かお分かりになりますか?
なんと、大原美術館オリジナルマスキングテープです!
柄は、大原美術館の建築をモチーフにしたもの、動物柄、そして、ポール・シニャックの点描のタッチを使ったものの3点です。
これは非常に可愛い一品。
手紙の封や、デスクまわりや手帳でのメモの貼付など、小物が引き立つアイテムです。
個人的には、建築をモチーフにしたテープが好みです。
さらにもうひとつ。
大原美術館館長である高階秀爾氏による書籍です。
・・・大学に入学したての頃、『名画をみる眼』をはじめとする高階先生の本を読んで勉強させていただきました。
(もう15年も前の話ですが)
西洋美術を学ぶ上で最適な書籍だと思います。
「大原美術館展」では、通常より多めのラインナップでご著書をご紹介しています。
そして最後はコレ。
「大原美術館展 展覧会カタログ」です。
「展覧会のカタログは、重くて持ち帰るのが大変・・・」という方もいらっしゃるかと思いますが、今回のカタログはちょっと違います。
総ページ数184ページにして、重さなんと530g。
コンビニエンスストアで買う500mlのペットボトル飲料と、ほぼ変わらないのです。
大きさもA4より一回り小さいハンディタイプ。
手触りのよい用紙を使い、質感にもこだわりました。
カタログには、大原美術館学芸課長の柳沢秀行氏によるテキスト、出品作品を網羅した作家、作品解説を掲載しています。
また、大原美術館のコレクションを築いた児島虎次郎の3度にわたる洋行、コレクションの形成、美術館開館までを、
それぞれ見開きページで詳細に紹介しました。
展覧会をご観覧後、改めてページを開いて、展覧会や作品の余韻を味わっていただければと思います。
(図録は通販も行っています。詳細はこちら→https://shizubi.jp/cafe/mailorder.php)
さてさて、このほかにもショップでは様々なグッズを扱っています。
キーホルダーにマグネット、クリアファイルなど、どれも展覧会の魅力を伝えるものばかりです。
「大原美術館展 名画への旅」は会期残りわずかとなりましたが、ぜひご観覧の上、お楽しみいただければと思います。
(R.A)
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2015年02月22日 清親展 3月1日までの展示作品から
小林清親展では会期中3回ほど展示替えを行います。2月22日(日)で展示が終了する作品については先日ご紹介したとおりですが(https://shizubi.jp/blog/100-1/)、その一週間後、3月1日(日)と3日(火)の間の展示替えでは84点もの作品が入れ替わります。
3月1日(日)までの展示作品のうち、ぜひご紹介したいもののひとつに《日本橋夜》があります。
《日本橋夜》 明治14年 静岡県立美術館ガス灯に照らされた夜の日本橋を描いた作品です。清親の作品にはしばしばガス灯が登場しますが、この《日本橋夜》では、ガラスのフードの中の炎や、星のようにきらめく遠方の明かり、そして、人工の光に照らされてできた影までもが描き込まれています。明治の夜景の美がとらえられた名作です。
この作品はいくつかの摺りの異なるものが知られています。天から下に向かって色が明るくなる一文字ぼかしで夜空を表したものが多い中、静岡県立美術館所蔵のものは雲のように複雑なぼかしがほどこされており、特に美しい1枚です。この、静岡県立美術館所蔵の《日本橋夜》は3月1日(日)まで、静岡会場のみの出品となります。
もう1点、前期展示のものからご紹介したいのが《猫と提灯》です。
《猫と提灯》 明治10年頃 千葉市美術館猫の毛並みや提灯の凹凸など細かいところまで描写が行き届いた、非常に手の込んだ作品です。点線で表された猫のひげや、何度も摺り重ねて表された背景の深い緑色などは、実物で是非ご確認いただきたいところです。猫の首輪の赤も、摺りを重ねて立体感が出されています。19面の版木を用い、落款も含め35回の摺りを重ねて制作されたという素晴らしい木版の技を、ぜひご覧ください。
この作品は《猫と提灯》という題名ですが、画中にはもう一つ、重要なモチーフが描かれています。猫が追いかけているその生き物は…提灯の中に隠れています。清親の遊び心が感じられますね。
一方、3月3日(火)から登場する名作もあります。
《東京銀座街日報社》 明治9年 千葉市美術館本展のポスターやチラシに使用した《東京銀座街日報社》がいよいよ後期から展示されます。本作品には、煉瓦や石造りの西洋風の建物が建ち並ぶ新しい銀座の街が描かれています。「東京日日新聞」の看板を掲げた新聞社が見え、人力車や馬車が行き交う光景は文明開化の時代を感じさせます。人物や建物には、薄墨色の摺りを重ねた陰影がつけられており、どことなく西洋風の印象を与える効果を上げています。澄み切った水色の空と、人力車の赤ケットの対比が鮮やかな作品です。
肉筆画も多くの作品が入れ替わります。
武者絵の傑作《川中島合戦図屏風》や晩年に長野県の松本で描いた《待乳山遠望竹屋の渡図》は3月1日(日)までの展示です。替わって後期、3月3日(火)からは、ライオンを描いた《獅子図》や初公開の武者絵《那須与一 扇の的 平景清 錣引き》が展示されます。すべての作品を一度にお見せできず心苦しいですが、前期と後期、どちらをご覧いただいても満足度が変わらないよう心がけて振り分けました。お目当ての作品のほかにも、思わぬよい出会いがあるかもしれません。ぜひご観覧ください。
(y.k.)
没後100年 小林清親展 文明開化の光と影をみつめて
3月22日(日)まで 10:00~19:00 月曜休館
展覧会情報はこちら https://shizubi.jp/exhibition/future_150207.php
作品リストはこちら(展示期間も入っています) https://shizubi.jp/img/exhibition/kiyochika_list.pdf
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2015年02月12日 2月15日、カタログ刊行記念・トークセッション「ヒトのカタチ、彫刻」開催!
昨年末からエントランスホールで開催中のShizubi Project 4「ヒトのカタチ、彫刻」(3/22日まで)、皆さんもうご覧いただきましたか?エントランスには、樹脂や陶、漆を素材に、それぞれの”ヒトのカタチ”を展開する3人の作品がならんでいます。さて、その関連事業として今週末の日曜日に、カタログ刊行記念・トークセッションを実施します。3人の出品作家に加え、公式カタログにテキストを執筆いただいた気鋭のお二人の識者を交え、ヒトのカタチと彫刻にまつわる様々なお話をお聞きする予定です。参加無料、申し込み不要ですので、是非、この機会にご参加ください。●Shizubi Project 4「ヒトのカタチ、彫刻 津田亜紀子/藤原彩人/青木千絵」カタログ刊行記念 トークセッション「ヒトのカタチ、彫刻」日時:2月15日(日)14:00~16:30(開場13:30)会場:静岡市美術館多目的室 参加無料 申込不要【進行:静岡市美術館学芸員 伊藤鮎】14:00以倉新(静岡市美術館学芸課長)「ヒトのカタチと『彫刻』」(15分)金井直(信州大学人文学部准教授)「チョウコク あるいは、弱い触角」(15分)阿久津裕彦(美術解剖学)「人体と人体彫刻」(15分)14:50~15:00(10分) 休憩津田亜紀子(10分) 自作紹介藤原彩人(10分) 自作紹介青木千絵(10分) 自作紹介ディスカッション・質疑応答(60分)16:30 終了美術館のエントランスホールを使って、毎年1回、現代の美術を紹介してきたシズビプロジェクトも4回目を迎えました。これまでは1人の作家のワンマンショーだったが、今回初めて3人の作家を紹介しています。ギリシャ、ローマの昔から、もともと西洋では「彫刻」とはまずは人の形のことであり、その意味で人体彫刻は「彫刻」の王道なのですが、タイトルで「ヒトのカタチ」と「彫刻」を「=」ではなく「、」でつないだところに、今回のプロジェクトのささやかな意味を込めています。というのも、20世紀初めの「抽象彫刻」の出現とアヴァンギャルド(前衛運動)の進展以降、「オブジェ」や「立体」など、およそ「彫刻」らしからぬものが登場して久しい今日この頃、そんな現代において、何の疑問もなく人体像を「彫刻」として作り続けることはできないだろう、という問題意識なのです。もちろん、今回の3人だけで現代の多様な「彫刻」の状況を概観できるものではありませんが、年齢も素材も違う今回の3人の作品は、現代において人の形を「彫刻」として作ることの意味を考えさせてくれます。津田亜紀子(1969‐)さんの、レース生地や、植物が生い茂る厚手の生地を樹脂で固めた軽やかな女性や子どもの姿。藤原彩人(1975‐)さんの、陶による矮性の小人か、宇宙人のような虚ろな表情の立像。そして青木千絵(1981‐)さんの、漆の漆黒の闇に包まれたリアルな下半身に、ぼってりとした不定形の塊がついた頭のない人の姿。三者三様のヒトのカタチに、現代に生きる「私」とは何かを考えさせられます。津田亜紀子 椅子に座る06 2006年 樹脂、布藤原彩人 首像/意識の壺 2014年 施釉陶青木千絵 BODY10-1 2010年 漆、麻布、スタイロフォーム撮影:神藤 剛(a.i) -
2015年02月11日 2月22日までの展示作品から
木版画や日本画は光に弱い材質でできているため、長期間展示することができません。
そのため、このたびの清親展でも何回か展示替えを行います。前期[3月1日(日)まで]と後期[3月3日(火)から]の入れ替えで最も多くの作品が入れ替わりますが、一足早く、2月22日(日)までの2週間で展示が終了する作品も21点ほどあります。
木版画では、清親の最も早い時期の作品の一つ《東京五大橋之一 両国真景》や、月明かりと水面の反映が印象的な《今戸橋茶亭の月夜》など19点が22日までの展示となっています。
《東京五大橋之一 両国真景》 明治9(1876)年 山口県立萩美術館・浦上記念館
《今戸橋茶亭の月夜》 明治10(1935)年頃 山口県立萩美術館・浦上記念館《橋場の夕暮れ》は空の色が違う摺りのものがいくつか知られていますが、空が青くて雲がほんのり赤みを帯びる神奈川県立歴史博物館所蔵のものは22日までの展示です。空が灰色で雲が一面ピンク色に染まる個人蔵(練馬区立美術館寄託)のものは、こちらの作品と入れ替わりで、2月24日から3月8日まで展示します。
《橋場の夕暮れ》明治13(1880)年
(左)神奈川県立歴史博物館 (右)個人蔵(練馬区立美術館寄託)また肉筆画では、《四季幽霊図》(福岡市博物館)と《初午詣》(個人蔵)の2作品が22日で展示終了となります。《四季幽霊図》は四幅対の力作です。幽霊と言えば夏のものと決まっていそうなものですが、清親は趣向を凝らして四季折々の幽霊図を考え出しました。恐ろしいというよりは、哀愁漂う幽霊たちです。ぜひ会場に会いに来てください。
《初午詣》 明治41(1908)年 個人蔵
一方の《初午詣》も興味深い作品です。というのも、印章から、清親の還暦記念千画会で描かれたものと分かるからです。還暦記念千画会というのは、清親の還暦を祝う会であるにもかかわらず、祝われる当人の清親が1日で千枚の絵を描かされるという催しだったそうです。清親の五女・哥津の回想によると、会場に着いた清親は十干十二支の順に合わせて1点20秒足らずで次々と筆を振るい、夕方までには予定の1000枚を描き上げ、さらには超過の分まで描き続けて夜にはご機嫌で帰ったとか(小林哥津『清親考』素面の会、1975年)。
60歳のことを還暦というのは、十干と十二支を組み合わせてできる「甲子」「乙丑」「丙寅」のような干支(えと)が60種類すべて経過して、初めの甲子に戻ることからそう呼ばれます。還暦の画会で十干十二支の画題とは洒落た趣向ですね。
この《初午詣》には「甲午寓意」と記述があります。「甲午」は31番目の干支ですから、描き始めてから31枚目か、あるいはさらに60種類を一周したのちの91枚目か、はたまた151枚目か…。何しろ1日で1000枚ですから、甲午(きのえうま)の画題だけでも16枚は描いたはずです。還暦を迎えた清親の元気さが伝わってくる作品です。
開幕から2週間で展示替えとなる作品の一部をご紹介しました。どうぞお見逃しなきよう。
(y.k.)
没後100年 小林清親展 文明開化の光と影をみつめて
3月22日(日)まで 10:00~19:00 月曜休館
展覧会情報はこちら https://shizubi.jp/exhibition/future_150207.php
作品リストはこちら(展示期間も入っています) https://shizubi.jp/img/exhibition/kiyochika_list.pdf
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2015年01月31日 「没後100年 小林清親展」は2月7日(土)から!&プレゼント情報!
あっという間に1月も終わり、もう2月・・・。1月25日、「ロイヤル・アカデミー展 イギリス美術の華麗なる150年」が無事に閉幕しました。たくさんのご来場をありがとうございました。現在、静岡市美術館では、2月7日(土)から始まる「没後100年 小林清親展 文明開化の光と影をみつめて」の開幕準備を進めています。
幕臣の家系に生まれ、明治維新後に徳川家に従って一時は静岡に移住した郷土ゆかりの画家、小林清親。江戸からの変貌を遂げた東京風景を題材に、光と影の表現に工夫を凝らした清親の木版画は、「光線画」と呼ばれ明治の新しい浮世絵として評判を呼びました。本展では、光線画の代表作をはじめ、肉筆画やスケッチなど約280点で、「最後の浮世絵師」清親の全貌に迫ります。展覧会の詳細はこちら ⇒ 『没後100年小林清親展 詳細ページ』本展では、こんなユーモアのある戯画も登場します。
《壹人六面相》明治17(1884)年 京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター(前期展示:2/7〜3/1)“如斯(かう)すました所(ところ)ハいかが” ・・・おすまし顔(上)“オヤ 可笑(おかしい)こと エヘヽヽヽ” ・・・笑い顔(中央)“いぢめるから 悲しいィ エン〱〱” ・・・泣き顔(左上)・・・など、1人の女性が六面相!真似をしたくなるような、いや、ならないような。様々な表情があって、思わず笑ってしまいます。そして・・・作ってしまいました。“あゝがり目”缶バッジ!
今回、清親の戯画《壹人六面相》にちなみ、”顔写真”を美術館受付でご提示いただくと、この缶バッジをプレゼントします(先着500名様、本展をご観覧の方に限ります)。ご提示いただくのは、ご自身のお顔でも、ご家族でも、ペットの写真でもOKです!笑顔、泣き顔、変顔、ドヤ顔(あまり聞かなくなりましたね)・・・などなど。皆さまの、とっておきの顔写真をお待ちしております。なお、《壹人六面相》は様々なシリーズがありますが、この女の子が登場する《壹人六面相 如斯(かう)すました所(ところ)ハいかが》は、前期:2月7日~3月1日のみの展示ですのでご注意を。後期展示では、別の女性の”顔芸”をご覧いただけますので、こちらもお楽しみに!(別バージョンの缶バッジは作りません…)
(c.o)会期:2015年2月7日(土)―3月22日(日)※会期中作品の入れ替えをいたします。3月3日(火)より後期。休館日:月曜日観覧料:一般900円→前売り料金700円大高生・70歳以上700円→前売り料金500円中学生以下無料*障害者手帳等をご持参の方および介助に必要な方は無料*リピーター割引/2回目以降は本展の半券提示で当日券200円引き前売券販売期間:〜2015年2月6日(金)まで販売場所:静岡市美術館(2月5日(木)まで)、チケットぴあ(Pコード766-535)、ローソンチケット(Lコード43612)、セブンチケット(セブンコード034-914)、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 -
2015年01月18日 ロイヤル・アカデミー展 アフターヌーンティーを体験!
「ロイヤル・アカデミー展」、連日多くのお客様に来ていただき、ありがとうございます。
前回、前々回と、作品についての充実したブログが続いておりますが・・・すみません、今回はグルメレポートです。
みなさん、当館の観覧券で、近隣店舗で各種サービスが受けられるのはご存知ですか?
当館では、近隣の飲食店様を中心に、展覧会の半券により、各種割引、サービスの実施をお願いしています。
今回はその中でも「展覧会協力メニュー」として「アフタヌーンティー」をご紹介させていただいている「静岡グランドホテル中島屋」に行ってきました。
場所は美術館から5分。
静岡の中心市街地に位置し、観光などには最適の立地です。
さて、それでは早速「アフタヌーンティー」を注文してみます。
豪華ですね!これで2人前だそうです。
内容をご紹介します。
[上段] サンドイッチ
(ハム、トマト、ルッコラ)
→これ、個人的に非常に好みの味でした!
[中段] ケーキ盛り合わせ
(チョコレートケーキ、アイスチョコレートケーキ、ラズベリーソースのプチケーキ)
→「食べたら太る・・・」という思いは忘れて楽しみました。
[下段] パンケーキとフルーツの盛り合わせ
(パンケーキの生クリーム添え、イチゴ、ピンクグレープフルーツ)
→パンケーキに生クリームって、黄金コンビですよね・・・。
これに、紅茶(2人前)が付きます。
この時は4人で食べに行きましたので、他の2人はドリンクを注文し、一緒にシェアして食べました。
内容を見てお分かりかもしれませんが、サンドイッチ、ケーキ、フルーツと、非常にボリュームのあるメニューになっています。それぞれが美味しいのはもちろんですが、メニューが多様なため、味に飽きることなく最後まで楽しむことができました。
また、食べ終わって気づいたのですが、様々なものを時間をかけて食べるので、何だかいつもよりじっくり仲間と話しながら、リラックスした時間を持てたような気がします。
美術の楽しみ方は十人十色ですが、展覧会を見終わったあと、自分のお気に入りの作品について、または友人の気になった作品について話し合い、想いを巡らすことも、美術が生む楽しい時間のひとつだと思います。
アフタヌーンティーは、そうした時間を過ごすのにぴったりのメニューだと思います。
オススメです。
アフタヌーンティーは、本展の半券をご持参いただければ、10%OFFとなります。
皆さま、この機会にぜひお楽しみください!
(R.A)
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2015年01月12日 1月生まれのアカデミー会員たち③
こんにちは。
静岡市美術館で好評開催中の「ロイヤル・アカデミー展」
残すところあと約2週間となりました。
まだ、ご覧になっていない方、お見逃しなく!さて、1月生まれのアカデミー会員を紹介するコーナーも、
3回目となりました。今日12日に誕生日を迎えるのは、
ジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)です。彼の人生はまさに「コスモポリタン」。
アメリカ人の医者の息子として生まれますが、
生地はイタリアのフィレンツェ。
少年時代もイタリアで過ごしました。その後、18歳の時にパリに出て、
エコール・デ・ボザールにも学び、
1877年からサロン(官展)に作品を出品し始めます。彼は上流階級の人々を描いた肖像画で知られています。
特に、サロンにも出品された《マダムX》(1884年、アメリカ・メトリポリタン美術館蔵)
という作品が有名です。タイトルでは本名は伏せられているものの、
実在した銀行家の妻をモデルにしたといわれており、
あまりにも官能的に描きすぎる、として、当時のパリで一大スキャンダルとなりました。その後、彼はスキャンダルを逃れるかのようにパリを離れ、1885年29歳の時にロンドンに移り、そこに居を構えます。
ロイヤル・アカデミーの年次展覧会には、パリにいた1882年から出品していましたが、
一方でロンドンに移ってからの彼は、若い画家たちによって組織され、
一時はアカデミーを脅かす存在にもなった《ニュー・イングリッシュ・アート・クラブ》にも参加しており、なかなか精力的に活動していたようです。
その後、1894年にアカデミーの准会員、1897年に正会員になりました。また彼は、若い時から広くヨーロッパを旅行していて、
ロンドンに移り住んでからも、様々な国に出かけています。今回、「ロイヤル・アカデミー展」に出品されている2点は、
いずれもイタリアへ旅行した時のもの。まずはこちら↓。
1899年に制作され、翌年「ディプロマ作品」としてアカデミーに提出された《室内、ヴェネツィア》
という作品です。ヴェネツィアの運河に面して建つ「パラッツォ・バルバロ」という実在する建物の内部が
舞台となっています。画面右手前には、当時この建物に住んでいた、
アメリカ人のカーティス夫妻が描かれています。
夫妻は社交界の名士として知られ、
芸術家や作家をしばしば自邸に招待してもてなしており、
サージェントは1899年の夏にここを訪れています。画面左には、カーティス夫妻の息子夫婦が描かれていて、
室内も、大きな筆致ではありますが、
上流階級が暮らすにふさわしい、壮麗な装飾が目を引きます。サージェントは、最初はこの作品をカーティス夫妻にプレゼントするために描いたそうですが、
奥様から「自分が老けて見える」と言われて、受け取りを拒否されてしまったんだとか。
いつまでも若く美しくありたい、という女性の願望はいつの時代も同じですね。さて、もう1つ本展に出品されているのは、
1910年に制作された《庭の女性たち、トッレガッリ城》という作品です↓。
こちらはオペラの作曲で名高いプッチーニの生まれ故郷でもある、トスカーナ州のルッカという町の近くにあった、「トッレガッリ」という豪華な建物の中庭を描いています。サージェントは、1910年に、友人たちと一緒にここに滞在していました。
画面左に3人の女性たちが描かれていますが、いずれも友人の妻がモデルをつとめていたといわれています。
幾何学的なイタリア式庭園が、「ロッジア」という、イタリアの建築に多い、屋根付きの柱廊の向うに
広がっていて、富裕層の優雅な休日の一コマを垣間見ているような作品です。先ほどの《室内、ヴェネツィア》とは対照的な、印象派を思わせる明るい色彩が特徴ですが、
実際、彼はモネとも親交があったそうです。19世紀末頃からフランスで学んでいた画家たちがイギリスへ戻ってくると、
バルビゾン派や印象派の影響がアカデミーの画家たちの作品にも表れてくるようになります。サージェントの作品からは、そうした新しい時代のアカデミーの空気を感じることができます。
展示室ではいずれの作品も、第4章に展示しています。
是非ご覧ください。(K.O.)
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2015年01月09日 1月生まれのアカデミー会員たち②
昨日から始まりました「1月生まれのアカデミー会員たち」のコーナー。
早くも2人目の紹介です。今日1月9日に誕生日を迎えるのは、ウィリアム・パウエル・フリス(1819-1909)です。
アマチュア画家の息子として生まれ、アカデミー・スクールに学びました。初めて名前を聞く方も多いかと思いますが、
同時代の都市に生きる人々を主題にした作品を多く描き、19世紀イギリスで人気を集めた画家です。特に、1856年~1858年に彼が描いた、
ロンドンの南にあるエプソム競馬場で行われた大レース「ダービー」に集う人々を主題とした作品《ダービー・デイ》(現在はテイト美術館所蔵<←クリックするとテイト美術館の作品紹介ページにジャンプします。>)は大評判となり、1858年にロイヤル・アカデミーでこの作品が展示されると、一目みようと集まった人たちで展示室がいっぱいになり、作品を守るために柵が設けられたほどの人気だったとか。今回のロイヤル・アカデミー展でのフリスの作品はこちら↓。
彼がアカデミー正会員になった年、1853年に描かれた《眠るモデル》という作品です。
舞台は、フリスのアトリエ。
田舎に暮らす笑顔の素敵な若い女性を描くため、
モデルに雇ったのは街角でオレンジ売りをしていた女性でした。
女性の下にはオレンジの入った籠も見えます。当時、モデルという職業は、道徳的に好ましくないと思われていたこともあって、
なかなか彼女は引き受けてくれなかったようです。
一生懸命説得して、やっとポーズをとってもらえたのですが、
プロのモデルではなかったこの女性、疲れていたのか、
途中で寝てしまいました。画面右側で絵を描いている男性がフリス本人ですが、
彼の顔を見ると、どこか困惑している様子がうかがえます。
女性の後ろには、中世の鎧とマネキンの人形が描かれていますが、
鎧にクタッとよりかかるようにして置かれているマネキンは、
眠る女性のポーズに連なっているようにも見えますね。フリスの溜息も聞こえてきそうなこの作品は、
展覧会の第2章に展示されています。
是非ご覧ください。(K.O)
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