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2011年07月18日 静岡市美術館のVIがOne Showのシルバープライスを受賞!!
静岡市美術館のV I (ヴィジュアル・アイデンティティ)が、
国際的なデザイン賞である「ワンショウ( One Show)」のシルバープライズ(銀賞)を受賞しました!●VI (ヴィジュアル・アイデンティティ)とは
企業のコミュニケーションの効率や効果を高めることを目的に、
シンボルマークやロゴタイプなど視覚的デザインを総合的に作成することを言います。●ワンショウ(One Show)とは
「カンヌ国際広告賞」「クリオ賞」と並ぶ世界3大広告賞の1つで、
1975年にアメリカ・ニューヨークで設立された非営利団体「ワンクラブ(The One Club)」が主催しています。
受賞トロフィーはクリエーティビティのシンボルともいえる「ペンシル(鉛筆)」の形をしています。●デザインは、アートディレクターの柿木原政広氏が担当
静岡市美術館のロゴマークやロゴタイプ、館内の案内サインなどのデザインは、
アートディレクターでデザイナーの柿木原政広氏によるものです。●静岡市美術館のロゴマークにこめられた想い
ロゴマークは、静岡、そして日本を象徴する富士山をモチーフにしています。
重ねられた2つの円には、人の輪の広がりや、地域と世界を結ぶイメージが表わされています。
また、視点と奥行きの変化による” 視ることの楽しさ” にも気付かせてくれます。トイレのマークなど館内の案内サインは、柿木原氏のデザインをもとに、
モザイクタイルを使って市民が作った手作りです。
市民に開かれ、末永く愛される美術館になるようにとの願いを込めて
開館直前に実施したワークショップで、親子80人の手により制作されました。静岡市美術館は、このように、”地域に開かれ、人と人、地域と世界の活発な交流のなかから、
新しいしずおか文化の創造と発信”を目指しています。
審査では、このような美術館のコンセプトに、シンプルながら一目で印象に残り、
遊び心のあるカタチを与えた点が高く評価されました。美術館には、昨年5月の開館以来、エントランスホールなど「交流ゾーン」も含めると、
本年6月末で既に35万人の方が訪れています。
“街のなかの広場”のような美術館を目指して――― 今回の受賞をきっかけに、
ますます多くの方に愛される美術館となるようスタッフ一同努めたいと思います。5月9日にニューヨークで行われた授賞式の様子
7月12日の静岡市長定例記者会見で 田辺市長(左)と柿木原氏(右)
関連サイト:The One Club http://www.oneclub.org/
受賞作品紹介 http://www.oneclub.org/#olb=/_ajax/archive/?action=arc_work%26value=12842
ネット環境によって、閲覧できない場合がございます。(C.O)
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2011年07月10日 国芳展 ギャラリートークを開催しました。
お暑うございます
国芳展、はじまりました!初日、朝晩とギャラリートークをしたのですが、あまりに国芳の作品が面白く、あれも紹介したい、これも見てもらいたい、と思ってしゃべっていたら、一時間以上もしゃべってしまいました。
お付き合いいただいたお客様、ありがとうございました。
しゃべりすぎ?といいますか、ギャラリートークが長引いた原因は、そもそも展示作品が約210点、というボリュームたっぷりの展覧会であるから、なのです。
しかも、今摺ったかのような、美しい色彩の作品ばかりが並んでいます。
質、量とも見所満載!前期・後期で、総入れ替えしますので、展示総数はなんと421点!そのうち、初公開73点 、
新発見17点です!関連事業も満載
今日は、アダチ伝統木版画技術保存財団の方々による、浮世絵摺りの実演、子ども摺り体験がありますよ!
暑い夏、涼しい静岡市美術館で、国芳の魅力をお楽しみください!(e.y)
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2011年07月09日 “しずび”に”チビッこ”集まる!
「没後150年 歌川国芳展」、本日無事、オープンいたしました!初日より、たくさんのお客様にご来館頂いており、大盛況です!!
展覧会については、また、展覧会担当よりたっぷりとご紹介させて頂きますね!!!
さて!去る「ハンス・コパー展」の最終日6月26日(日)、”しずび”にたくさんの”チビッこ”たちが集まりました。
題して『しずびチビッこプログラム』。
これは、2歳~未就学児を対象とした90分間のアートプログラムです。併せて、保護者の皆さまには、展覧会を鑑賞して頂くというものです。
当日は午前・午後と2回実施。合計22人の子ども達が参加してくれました。
会場は当館ワークショップ室。
すっかりチビッこ仕様で、何だか楽しい雰囲気^^!
『ニョロ』さんが子ども達をお出迎えします!お父さん、お母さんと離れるのがちょっぴり寂しい子ども達も、『ニョロ』さんのお陰ですっかり笑顔。
ファスナーでつながる『ニョロ』さんをみんなで完成させて、気持ちもほぐれたところで、いよいよアートプログラムに入ります。
プログラムは開催中のコパー展に関連した「粘土遊び」を行います。
まずは、かるーい紙粘土をつかって、カタチ遊び!
いろんな型でくり抜いて、いろんな道具を使って、メダルやブローチ、動物をつくります。好きな水彩絵の具を選んで、粘土に練り込んで・・・
色が変わった-!!と大はしゃぎ。
とっても真剣な表情^^
元気いっぱい^^
紙粘土あそびはいったん終了。次はいよいよ展覧会に踏み込んだ内容に入ります。
「合接」の手法で数々の陶芸作品を制作したコパー。それを感じてもらうためのパズル遊びです。あっという間にパズルを完成させた子ども達に聞きます。
「何にみえるかな?」
「おちゃわん!」
「こうすいのびん!」実は、担当はどうなるかな~とドキドキしていたのですが、一見すると何なのか分かりづらいコパーの作品を、”陶芸作品”で、何かを入れる”容器”であることがわかるんですね。
小さい子ども達も、ちゃんと鑑賞ができる!と実感できたうれしい瞬間でした。合わせてルーシー・リーのボタンカードを見せ、すきな形をひとつ、えらぶあそびも行いました。
「ぎょうざみたいなかたち!」なんて意見もありましたよ♪そして、いよいよメインのお父さん、お母さんへのプレゼントづくり。
オーブン粘土をつかって、ブローチやボタンなどをつくります。
先ほどの型抜きや道具をつかって、いろいろな形が出来上がりました。最後まで、楽しく、集中して充実した90分を過ごした子ども達。
『ニョロ』さんともすっかり仲良し。みんなの人気者になりました。この「しずびチビッこプログラム」は、今後も、展覧会毎に1日、実施する予定です。
次回は「没後150年 歌川国芳展」会期中、7/17日(日)に実施します!(s.m)
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2011年07月06日 山本耕史さんの音声ガイドが聞けます!
いよいよ夏本番になってきましたね。
静岡は一時的に全国一の暑さを記録しました…。
今年は節電の夏になりますが、皆さま無理して体調を崩されないよう十分ご注意ください。さて、当館では7月9日より「没後150年 歌川国芳展」を開催します。
日本の夏らしい、大規模な浮世絵の展覧会です。みなさん、展覧会をご覧になる際に受付付近で「音声ガイド」の貸出しを行っている事があるのはご存知でしょうか?
展覧会をより深く知るために音声で作品解説を行うもので、耳で聞く事で内容が頭に入りやすく、解説文のように作品と文章をいちいち見比べる必要もないため、展覧会鑑賞に非常に役立つ便利なアイテムです。実はなんと、今回の「没後150年 歌川国芳展」の音声ガイドは、俳優の山本耕史さんがナビゲーターを担当して下さっています!!
しかも、山本さんが国芳の弟子であった「芳宗」に扮し、江戸っ子特有のべらんめぇ口調で作品を解説してくれるスペシャルトラックもあります。
さらに、作品だけでなく弟子の立場から見た国芳についてや、江戸の風俗についてなど、作品解説だけでなく内容も充実した面白いガイドになっていますので、ファンの方もそうでない方にもお楽しみ頂ける内容になっていると思います。
ご来館の際にはぜひ、合わせてご利用してみて下さい。※音声ガイドは有料(500円)です。展覧会チケットをお求めの上、展示室前にてレンタルをお願いします。
(k.s)
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2011年07月01日 静岡市美術館 夏のイベント情報!!
6月15日にスタートした、没後150年 歌川国芳展関連イベント「みんなで巨大鯨を描こう!」
カラフルなマスキングテープを貼り付けて、みんなで巨大鯨を完成させようというものです。写真は7月1日の様子…ご来館いただいた皆さんのおかげで、ここまで進みました!
いつでも・誰でも国芳とあそぼう!
当館の多目的室で実施しています。ぜひ、ご参加ください。そして!国芳展の会期中には、その他にも様々なイベントを開催します。
「浮世絵摺りの実演と子ども摺り体験!」
日時:7月10日(日)
【午前の部】11:00~12:00 どなたでも(参加料無料、申込不要)
【午後の部】14:00~16:00 小学生以上30名(参加料200円、要申込。見学自由)
ワークショップ「国芳とあそぼう!」① 「浮世絵で飛び出すカードを作ろう」
日時:7月16日(土)
【子ども編】10:00~12:00 中学生以下20名
【大 人 編】13:00~16:00 高校生以上20名
参加料:各回とも500円(材料費含む)
ワークショップ「国芳とあそぼう!」② 「江戸の影絵あそびとうちわつくり」
日時:7月18日(月・祝)
【午前の部】10:00~12:00
【午後の部】13:30~15:3
各回とも中学生以下20名
参加料:各回とも500円(材料費含む)
まだ若干定員に余裕がございますので、皆さまぜひお申込みください。
問合せ・申込みは、お電話で静岡市美術館までどうぞ♪(先着順)
詳細は、各イベント情報をご覧ください。さらに!「歌川国芳」日曜美術館で再放送が決定しました。
・7月10日(日)朝9時~
・7月17日(日)夜8時~
の2回です。
歌川国芳の作品がたくさん紹介されるのはもちろん、国芳の生き方や魅力がたっぷり詰まっております。
前回見逃してしまった…という方、ぜひこの機会にご覧くださいませ。(c.o)
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2011年07月01日 ミュージアム カフェ トークのお知らせ
暑い日が続きます…みなさま体調はいかがでしょうか?
静岡市美術館では、「ハンス・コパー展‐20世紀陶芸の革新」が無事に終了し、
7月9日から始まる「没後150年 歌川国芳展」にむけて作業を行っています。さて、静岡市美術館の多目的室を会場に開催する「ミュージアム カフェ トーク」のお知らせです。
JR静岡駅に隣接する静岡音楽館AOI、静岡科学館る・く・る、静岡市美術館の3館が、
音楽・科学・美術の境界を超え、総合的な文化空間を創造する「ミュージアム カフェ トーク」
各館のスタッフがコーディネーターとしてゲストスピーカーと市民をつなぎます。【第1回】「メディアアート:技術を生かして芸術を作り出す」
ゲスト:的場ひろし(静岡文化芸術大学 教授)
日時:7月3日(日)15:00~16:30
定員:30名【第2回】「国芳の魅力に迫る!」
ゲスト:岩切友里子(浮世絵研究家、没後150年歌川国芳展監修者)
日時:7月31日(日)15:00~16:30
定員:70名【第3回】「新しい音楽の創造とエレクトロニクス」
ゲスト:野平一郎(作曲家、ピアニスト、静岡音楽館AOI芸術監督)
日時:8月28日(日)15:00~16:30
定員:30名各回とも、直接会場へどうぞ(14:30から受付・先着順)
参加費無料です(ドリンクはミュージアムカフェで購入できます)
詳しくは、チラシをご覧ください。(c.o)
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2011年06月26日 学芸員のつぶやき どうしてこんなにコパー作品に惹かれるのか②
お陰様で、入館者も1万6千人を超えました。
北は北海道から南は沖縄まで、こちらがびっくりするような遠いところからわざわざ来て頂いた方や、
東京展など他会場ですでに見たけれどもう一度、という方など、熱心な方がたくさん、ありがとうございました。
さて、終了間際ですが、コパー作品の力に触発されて、もう1回だけつぶやきを。
前回、コパーの不思議な形について、それが轆轤挽きを基本に作られていることをご紹介しましたが、
轆轤はコパーにとって特別な道具でした。
ほとんど自身の言葉を残さなかった(最晩年に綴ったまとまった草稿も、亡くなる直前に、妻のジェーンさんに全て焼き捨てさせたという)コパーですが、
1969年のヴィクトリア&アルバート美術館での展覧会に寄せた、貴重な一文のなかで、
「――私の関心は、実験や探検にあるのではなく本質を引き出すことにある。
ろくろは簡潔さを要求し限界を決定づけ、勢いと連続性を与える。――」
と述べています。
轆轤挽きにより生まれた形を組み合わせたコパーの形には、どこか、円や球といった、
幾何学的な形への志向、洗練を感じます。それは、ギリシャ・ローマはもちろんエジプトやメソポタミアなど
古代から地中海世界に連綿と流れるものではないか――、
もちろん、こんな壮大な話を跡付ける知識もないのですが、コパー作品の不思議な魅力を前にしばしそんな空想を・・
轆轤は、人の手で、整った円形を生み出すことが出来る点で、人間にとって画期的な道具だったと思いますが、
完全な円や球といった幾何学的形態は、人間の精神が生み出す抽象的な観念であって、自然には実在しないものです。
(自然は不定形であり、特に生命の生み出す形には、不思議な無理数、黄金比が潜んでいることは良く知られています。)
コパーは、ドイツ生まれのユダヤ人で、生涯の大半を過ごしたのも、
若き日にナチスから逃れて亡命したイギリスの地でしたから、出自的には地中海というよりむしろ北方ですが、
大英博物館で見た、古代エーゲ海に栄えたキクラデス文明の、抽象的な石像に強い感銘を受け、
また、20世紀の彫刻家ブランクーシを敬愛していました。
西欧モダニズムに流れる、地中海的な形の洗練、抽象に向かう精神―――
しかし、完全な幾何形体を作るなら、それこそ今の時代、機械の方が精密に出来るわけですが、
轆轤という古い道具を使って、土と手から生み出された、厳密さを欠くはずのコパーの形に、
いやそれだからこそ、何千年にも渡る形と精神の洗練=イデアの影を見る・・・、
寡黙で静謐なコパーの形は、いろんな空想を誘います。
(a.ik)
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2011年06月15日 「みんなで巨大鯨を描こう!」本日よりスタート!
いつでも誰でも参加できる「みんなで巨大鯨を描こう!」
本日より静岡市美術館 多目的室にてスタートしました!これは、次回展覧会「没後150年 歌川国芳展」出品作品である、
国芳作「宮本武蔵の鯨退治」【後期(8/2~8/21)出品】を、
みんなでカラフルなマスキングテープを貼り付けて完成させよう!というイベントです。約3mの巨大鯨ですから、完成にはまだまだ時間がかかります。
まだスタートしたばかりですが、
本日だけでもたくさんの来館者の方にご参加いただきました!画面が大きいので、直線で貼ることのできる部分が多いのですが、
曲線部分、貼り出すと夢中になります…。現在開催中の「ハンス・コパー展-20世紀陶芸の革新」は今月26日まで開催中です。
展覧会をご覧いただいた後は、ぜひ多目的室にお立ち寄りください。多目的室入り口では、大きな大きな猫さんが
「みんなで巨大鯨を描こう!」をご案内しております。実はこの猫さん、国芳が描いたものなんです!
大の猫好きとして知られる国芳は、猫の浮世絵をたくさん描きました。
もちろん、展覧会にも多数出品されます!
浮世絵ファンのみならず、本展は猫好きの皆様にも愉しんでいただけると思います!国芳猫さん、もう一体は展示室出口に立っております。
猫さんは写真撮影していただけますので、ぜひ記念撮影してくださいね。
(※展示室内での撮影は禁止しております。)本イベントは、開館日であればいつでも、どなたでも、ご参加いただけます。
歌川国芳展会期最終日(8/21)まで開催しておりますので、
みなさんぜひぜひ、何度でも、ご参加ください。国芳猫さんと共にお待ちしております!
(m.y)
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2011年06月09日 「親子で陶芸!~土を焼くと、ちがうものになーる~」
去る5月5日(木・祝)、現在開催中の「ハンス・コパー展‐20世紀陶芸の革新」の関連イベント「親子で陶芸!~土を焼くと、ちがうものになーる~」を開催しました。
講師は静岡市清水区在住の陶作家、本原玲子さん。
このイベントは小学生とその保護者を対象とした陶芸入門ワークショップで、こどもの日の記念に!と7組15名の親子にご参加頂きました。
冒頭、本原さんが静岡市内の山で土を採取して成型し焼成、器が完成するまでを収めた映像を流しました。子ども達はもちろん、お母さん達も、身近なところにある土を使って器ができることに興味深々の様子でした。
さて、制作するものは、器の基本のカタチ、”植木鉢”です!
まずは土台から。粘土板をめん棒で平らにして、竹ヘラでまるーくカットして…
粘土をヒモの様にながーくのばして、丸く積み上げていきます。
随分高く積み上がりました!
木しゃもじ登場! パンパン叩いて、カタチを変形させます。
出来あがった”鉢”を飾り付けてきます。
粘土板からカタチをくり抜いて、粘土を液状にした”どべ”をつけて、貼り付けて…休憩もかね、開催中のハンス・コパー展を皆で鑑賞。
リフレッシュした所で、仕上げの下絵具を塗っていきます。
どんな風に仕上がるか、焼き上がるまでのお楽しみです!ワークショップ中、みんな作業に没頭する姿が印象的でした。
お母さん方も、自分の作品づくりに夢中!子どもが話しかけてもちょっと上の空(笑)?「親子で作品の雰囲気が似ますね~」と講師の本原さん。
やっぱり親子、作品たちにも見えない絆が…^^後日、本原さんの工房で焼いて頂いた作品たち。みな無傷で灼熱をくぐり抜けました。
どれも個性豊かな”植木鉢”です。参加者の皆さんには作品と共に、土と植物の種をお渡ししました。
どんな植物が育つか、楽しみですね!
(s.m)
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2011年06月08日 学芸員のつぶやき どうしてこんなにコパー作品に惹かれるのか①
ハンス・コパー展も残すところ3週間を切りました。(6/26まで)
昨年より、日本各地を巡回した日本で初めての回顧展も、ここ静岡会場が最後です。
今回は、名残を惜しんで、コパー作品へのオマージュを、一ファンのつぶやきとして。
コパーの作品を見ていると、多くの人と同様、そのシンプルながらも不思議な形に強く惹かれます。
コパーの形は、轆轤(ろくろ)を挽いて作った、いくつかのパーツを組み合わせて作られています。
この技法は、「合接(ごうせつ)」と呼ばれ、古くはクレタ島の陶器や日本の須恵器などにも見られるものですが、
現代ではこの技法を使って制作している作家はきわめて稀とのこと。
例えば、今回のポスターやチラシの作品は、円盤状のお皿を2枚合わせ、縦にして、
下部に別の円筒形のパーツをつなぎ、上部にもう一つ、鉢を扁平につぶしたような形をつないで作られています。
ろくろは、「中空の容器」つまり「器」を作る技術であり、その意味で陶芸に本質的な技術です。
(お皿も平たいけれど、”中空”と言えば”中空の容器”です。)
コパーは、生涯、その「器」を作る技術を使って作品を制作しました。
「異質なフォルムの唐突な結合が、瑞々しい美しさを作りだしている」と評されるその形は、
「彫刻的」であり、「建築的」ですらありますが、コパー自身は、生涯、自分は彫刻家ではなく
陶芸家だと、「器(pots)」を作っているのだと考えていたといいます。
(コパーは、若い頃、ルーシー・リーのもとで陶芸に出会う以前には、彫刻家になりたいと考えてもいたのですが・・)
実際、コパーの作品は、どんなに独創的な形のものも、ポットや花器など実用性を備えています。
今回展示している作品の中にも、個人の所蔵者からお借りしたもので、中に花びらが残っているものがあり、
花器として使われていた跡の残るものもありました。
以上は、今回の展覧会カタログに掲載された、兵庫県立陶芸美術館の乾由明館長のテキストによっています。
乾館長は、テキストの中で、コパーは、”「器」でありながら、「器らしさ」の概念の限界を拡張した、
そのことが陶芸を、彫刻や建築と同等の意味と重さを持つ現代の芸術たらしめたのだ”と述べています。
ほかにも、このテキストには、館長が40年余り前に、生前のコパーに直接会った時の印象や、
波乱に富んだ彼の人生を含め、コパーとその作品を巡る深い思索が、分かりやすく説得的に語られていて、
日本語で読める数少ないコパーについての評論として、お勧めです。
a.ik
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