• 2018年09月23日 気品ある超絶技巧

    18世紀ヨーロッパにおいて「磁器」への憧れは大変なものでした。

    各国が競って中国の陶磁器のような、真っ白で硬い磁器の製法を探求する中、

    フランスでは、国王ルイ15世(1710-74)の庇護を受け、1740年、パリ東端のヴァンセンヌに誕生した軟質磁器製作所が、

    西端のセーヴルへ移転して王立磁器製作所ができると、1769年には硬質磁器の開発に成功します。

    セーヴル磁器の誕生です。

    ここに宮廷の画家や彫刻家が招かれて、特別注文製作がなされ、優美で繊細なセーヴル磁器の名品の数々が作られました。

    それらはポンパドゥール侯爵夫人やルイ16世とその王妃マリー・アントワネットに納められたほか、

    外交上の贈答品ともなり、ロシア皇帝エカテリーナ2世ら、時の王侯貴族たちを魅了しました。

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    ポプリ壺「エベール」 1757年 セーヴル陶磁都市所蔵

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    例えば、ポプリ壺「エベール」は緑色に金で見事なほどに細かな模様が描き込まれ、

    中央には、まるで油絵具で描いたような鳥がリアルに表現されます。

    この鳥たちは、当時ポンパドゥール公爵夫人が憧れたエキゾチックなイメージでした。

     

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    ポプリ壺「ポンパドゥール」 1753年 セーヴル陶磁都市所蔵

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    フランス革命を経てナポレオンが台頭すると、セーヴルは新古典主義の作品を製作し、

    19世紀半ばからの万国博覧会の時代にはテーブル・ウェアという範疇にとどまらない作品へ展開します。

    興味深いことに芸術家やデザイナーとのコラボレーションも盛んで、

    20世紀初頭には、セーヴル初の外国人の協力芸術家の彫刻家として、東京美術学校の教授も務めた沼田一雅(1873-1954)が招かれました。

     

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    象とねずみ 沼田一雅 1906年

    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

     

    そのリアルで気品ある陶磁彫刻は、大きな象に踏まれそうな小さな鼠の尻尾まで、生き生きとしています。

    そして現代ではピエール・スーラージュや草間彌生、深澤直人などが招かれて製作に携わることで、確かな伝統的技術を保ちながら、常に新しい造形表現を模索しているのです。

    伝統と創造が一体となったセーヴルは、まさにヨーロッパ磁器の最高峰です。

    静岡市美術館ではセーヴルの300年に及ぶ活動の軌跡を、セーヴル陶磁都市の優品約130件で紹介する日本初の大規模展を開催します。

    細部の緻密で見事な職人技も見どころです。どうぞおたのしみください。

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    (e.y)

    「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」
    会期:2018年10月6日(土)~12月16日(日)
    観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
    *障害者手帳等をお持ちの方及び介助者原則1名は無料

    ★前売券:10月5日(金)まで販売
    チケットぴあ[Pコード:769-238]、ローソンチケット[Lコード:43106]、セブンチケット[セブンコード:067-222]、谷島屋(マークイズ静岡店、パルシェ店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店、中日新聞販売店(一部店舗除く)

  • 2018年08月31日 Shizubiシネマアワー「ベル・エポックのパイオニアたち」(2)『リュミエール!』

    「Shizubiシネマアワー」は美術館ならではのセレクトで、さまざまな映画を上映するシリーズです。
    第22回は「ヴラマンク展」にあわせて開催。ヴラマンクの生きた19世紀末~第一次世界大戦勃発前までの、様々な芸術が花開いた「ベル・エポック」といわれる時代に焦点を当てます。

     

    ■9月9日(日)14:00~

    『リュミエール!』

    (ティエリー・フレモー監督/2016年/フランス/90分)*日本語字幕版

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    ©2017 – Sorties d’usine productions – Institut Lumiere, Lyon

     

    1895年12月28日パリ。
    フランスのリュミエール兄弟が発明した”シネマトグラフ”で撮影された『工場の出口』が、世界で初めて有料上映されました。
    1895年から1905年の10年間にリュミエール兄弟により製作されたフィルムはなんと1422本!
    本作品は、その中から選んだ108本で構成されています。

    当時、撮影されたフィルムは、1本約50秒でした。
    近代化する街並みや、人々の暮らし、コミカルな演出、実験的な表現、世界各地の映像・・・
    新しい映像表現が次々に生まれていく過程を見ると、なんだかわくわくしてきます。
    たった50秒に、今の映画につながる様々な表現がたくさんつまっているのです。

    フィルムの映像はモノクロで、セリフや音楽はありませんが、
    108本すべてに、本映画の監督であり、リュミエール作品の保存・復元に長年携わっているフランスのリュミエール研究所の所長フレモー氏の解説が入ります。
    この解説がとっても贅沢!ギャラリートークを聞きながら、映像を見ているようです。

    “映画のはじまり”を、みんなで、観ませんか?

    ☆静岡市美術館受付にてチケット販売中☆
    詳細はこちら→ Shizubiシネマアワーvol.22「ベル・エポックのパイオニアたち」

    (c.o)

  • 2018年08月29日 Shizubiシネマアワー「ベル・エポックのパイオニアたち」 (1)『ザ・ダンサー』 

    「Shizubiシネマアワー」は美術館ならではのセレクトで、さまざまな映画を上映するシリーズです。
    第22回は「ヴラマンク展」にあわせて開催。ヴラマンクの生きた19世紀末~第一次世界大戦勃発前までの、様々な芸術が花開いた「ベル・エポック」といわれる時代に焦点を当てます。

     

    ■9月8日(土)14:00-(開場13:30)

    『ザ・ダンサー』

     

    (ステファニー・ディ・ジュースト監督/2016年/フランス・ベルギー/108分)*PG12

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    ©2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR – WILD BUNCH – ORANGE STUDIO – LES FILMS DU FLEUVE – SIRENA FILM

    “モダン・ダンスの祖”と呼ばれ、パフォーマーとして今再び評価されているロイ・フラー(1862-1928)。
    自ら色や角度を設計した舞台照明の中で、シルクの衣裳が様々な形を織りなすダンスは反響をよび、ロートレック、ロダン、マラルメ、コクトーなど多くの芸術家たちを魅了しました。

    特に、1900年のパリ万国博覧会ではロイ・フラー専用の劇場が設けられ、公演は大評判となりました。
    映画では、子弟関係からライバルとなるダンサー、イサドラ・ダンカンとの出会いも描かれています。
    また、当時アメリカやロンドンで人気を集めていた日本の俳優、川上音二郎・貞奴もロイ・フラーの招きによりパリで公演を行いました。

    ちなみに、1900年のパリ万博では、ロイ・フラー振り付けのダンスがモチーフとなった《スカーフダンス》というセーヴル磁器が発表されました。
    次回展「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」では、《スカーフダンス》シリーズのうち、5点が展示されます。お楽しみに。

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    ダンサー No.13(テーブルセンターピース「スカーフダンス」より) 1899-1900年 セーヴル陶磁都市所蔵
    Photo © RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF

    次回のブログでは、映画『リュミエール!』を紹介します。

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  • 2018年07月21日 あなたの知らないヴラマンク

    マティスやドランらと並んで、「フォービスム(野獣派)」を代表する画家として知られるモーリス・ド・ヴラマンクですが、音楽家や自転車競技選手、文筆家としても活動していたのをご存じでしょうか。

     

    ヴラマンクの両親は音楽家で、小さい時から音楽教育を受けていました。

    ヴラマンクは若い頃、生活費や画材代を稼ぐため、という目的もあり、カフェのオーケストラ団員や、ヴァイオリンの個人教師をしていました。

     

    一方、自転車も10代の頃から日常的に使っていただけでなく、選手としてトラックレース等にも出場し、その賞金で一時期家族を養っていたこともあったそうです。

    その後大きな病気をしたことや、24歳の時にドランと出会って本格的に画家を志したことで競技の一線からは身をひきますが、そうしたことがなければツール・ド・フランスにも出ていただだろう、と後にヴラマンク自身も述べており、もし選手を続けていたら歴史に残る大選手になっていたかもしれません。

     

     

    これら音楽家や自転車競技選手としての活動が主に前半生で行われていたのに対し、文筆家としての活動は絵画と並行して亡くなるまで続きました。

     

    26歳の時に初めての小説(フェルナンド・セルナーダと共著、挿絵はドランが担当)を出版、以後、小説、エッセイ、回想録、自叙伝、詩集など様々なジャンルの作品を20点以上も発表しました。

    ヴラマンクが生涯にわたり文筆活動を続けたのは、音楽や自転車競技と違って単に日銭を稼ぐためではなく、言葉による表現が、絵画と並んで重要な自己表出の場であったことが関係しているのかもしれません。

     

    今回の展覧会では、画家としてのヴラマンクを紹介するだけでなく、彼の多岐にわたる活動のうち文筆家としての仕事にも焦点をあて、フォービスムから離れ始めた1907年以降の彼の絵画と、彼の著作から引用した言葉とともに展示します。

    ヴラマンク独自の画風の形成の様子を、彼自身の言葉とともに展示室で是非ご覧ください。

     

     

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    (k.o)

     

     「ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生」
    会期:2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)
    観覧料:一般1,200(1,000)円、大高生・70歳以上800(600)円、中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび当日に限り20名以上の団体料金
    *障害者手帳等をお持ちの方及び必要な介助者は無料

     

    ★前売券:7月27日(金)まで販売
    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-120]、ローソンチケット[Lコード:45800]、セブンチケット[セブンコード:064-866]、谷島屋(マークイズ静岡店、パルシェ店、高松店、流通通り店)、戸田書店静岡本店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店
    ★お得な一般前売ペア割チケット:2枚1組 1,800円も!
    静岡市美術館、チケットぴあ[Pコード:769-119]、ローソンチケット[Lコード:45801]、セブンチケット[セブンコード:064-871]

  • 2018年06月21日 展覧会「ミュシャ展 ~運命の女たち~」、来場者1万人を達成!!

    本日、「ミュシャ展 ~運命の女たち~」来場者1万人を達成しました!

     

    1万人目のお客様は、焼津市からお越しの清水さん親子。

    お母様が美術鑑賞がお好きで、よくお二人で美術館へお出かけされるそうです。

     

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    お二人には、当館館長から記念品を贈呈しました。おめでとうございます!

     

     

    「ミュシャ展 ~運命の女たち~」は7月15日(日)まで。

    開幕以降、日に日に多くのお客様にご来場いただいています。

     

    ポスター、装飾パネル、挿絵原画、素描など、ミュシャと同郷の医師チマル博士のコレクションから約150点、

    さらに静岡展特別出品OGATAコレクションでは、アール・ヌーヴォーのパターンの教科書とされる『装飾資料集』全72点を含む約100点をご紹介しています。

    初期から晩年までのミュシャ作品を堪能できる展覧会です。

    この機会にぜひご覧ください。

     

    (m.o)

     

  • 2018年06月07日 「ミュシャ展 ~運命の女たち~」静岡展特別出品!OGATAコレクション

    白い衣を身にまとい、装飾的なフレームからこちらを見つめる優美な女性像。

    《「スラヴ叙事詩」展》のポスターをはじめとするミュシャの華やかで繊細な表現は、制作から90年近くたった今なお、日本でも高い人気があります。

     

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    アルフォンス・ミュシャ ポスター《「スラヴ叙事詩」展》(部分) 1928年
    チマルコレクション

     

    今回の「ミュシャ展」は、ミュシャと同郷の医師チマル博士が、親子3代にわたり収集した「チマルコレクション」から約150点、

    さらに静岡展のみ特別に、市内在住のミュシャ作品の世界的な収集家、

    尾形寿行氏の「OGATAコレクション」から約100点をご紹介します。

     

    尾形氏は、カメラの大手量販店「カメラのドイ」創業者の土居君雄氏(1926-1990)のもと、

    長年ヨーロッパに在住しミュシャ作品を収集、

    その世界有数と言われるコレクションの形成に深く携わりました(「ドイ・コレクション」と呼ばれ、現在は堺市に寄贈)。

    土居氏亡き後はその遺志を継ぎ、今では尾形氏がミュシャ作品の収集家として世界的に知られています。

     

    「OGATAコレクション」の特徴は、リトグラフのポスターはもちろん、

    ミュシャがデザインした香水瓶や書籍、タバコの巻紙にいたるまで、

    パリ時代に一世を風靡したそのデザインを通覧できる幅の広さにあります。

     

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    アルフォンス・ミュシャ ランスの香水「ロド」 1897年 OGATAコレクション

     

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    アルフォンス・ミュシャ ホイットマン社のチョコレート缶容器 1900年 OGATAコレクション

     

    中でも、教育に熱心だったミュシャが、1902年に自らの装飾を体系化した『装飾資料集』は、

    アール・ヌーヴォーのパターンの教科書とされる貴重な作品です。

    今回は全72点を一挙公開します。

     

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    アルフォンス・ミュシャ著『装飾資料集』 1902年 OGATAコレクション

     

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    静岡市美術館でしか見られない贅沢な「ミュシャ展」をぜひご堪能ください。

     

    (m.y)

     

  • 2018年04月10日 静岡市美術館 新・オリジナルグッズ発売!

    4月7日(土)より、静岡市美術館の新しいオリジナルグッズの販売が始まりました!

     

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    新たに仲間入りしたのは、「Shizubiマステ」と「Shizubi缶バッジ」の二つのグッズ。

    どちらも美術館のロゴマークをモチーフにしたオリジナルデザインです。

     

    グッズの紹介の前に、まずは美術館のロゴマークについておさらい。

     

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    静岡市美術館のロゴマークは、静岡、そして日本を象徴する富士山をモチーフにしています。

    重ねられた2つの円には、美術館を中心とした人の輪の広がりと、地域と世界を結ぶイメージが表わされています。

    また、視点と奥行きの変化によって見え方が変わる”視ることの楽しさ”にも気付かせてくれます。

    アートディレクターの柿木原政広さんにデザインしていただいた、美術館の大切なロゴマークです。

     

     

    それではお待ちかね、「Shizubiマステ」と「Shizubi缶バッジ」について詳しくご紹介します!

     

    ● Shizubiマステ  各432円(税込)

     

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    金と銀、2色で柄違いのマスキングテープ。

     

    金マステは、ロゴがコロコロ、転がるデザイン!

     

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    丸いロゴが転がっていく様子はなんとも可愛らしく、ついつい沢山使いたくなってしまいます。

    丸をひとつだけ貼ってみたり、切る位置によって色々な使い方ができそうです♪

     

     

    銀マステは、ロゴがつながるオリジナルパターン!

     

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    斜めに入った直線がスタイリッシュな印象。無造作に貼ってもおしゃれに見えます。

    貼る角度によってロゴの見え方が変わるのも不思議なデザイン。

    このパターンはミュージアムショップの紙袋にも使われているので、お買い物の際はぜひ注目してみてくださいね。

     

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    ●Shizubi缶バッジ  大150円・小100円(税込)

     

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    ロゴマークが描かれた缶バッジは、白と黒の2色展開。

    それぞれ大小2サイズから選んでいただけます。

     

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    シンプルなデザインながら、実は色やサイズによって線の太さを微妙に変えるなど、細部までこだわって作られています。

     

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    服やバッグにつけて、来館の思い出をさり気なくアピール。

    色違い、サイズ違いで組み合わせるのもおすすめです♪

     

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    「Shizubiマステ」と「Shizubi缶バッジ」、どちらも静岡市美術館ミュージアムショップにて販売しています。

    ご来館の記念として、静岡のお土産やプレゼントとして、ぜひ手に取っていただけたら幸いです。

     

     

    (m.o)

  • 2018年01月23日 「ターナーからモネへ」は1月28日(日)までの開催です。

    あっという間に、閉幕まで残り1週間をきりました。連日、大変多くの方にご来場いただいています。

    今回のブログでは、来場者アンケートに寄せられた声を、展示室内の様子とともにご紹介します。

     

    英国・ウェールズ国立美術館のコレクションで構成される本展。

    ターナーやコンスタブルのほか、ミレー、モネ、ルノワールらの計73点により、西洋絵画が変革の時を迎えた19世紀から20世紀初頭の英仏美術の交流の様子を紹介しています。

     

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    来場者アンケートには、本展のタイトルにもなったターナーとモネの作品に関するコメントが多く、細部までじっくりご覧いただいている様子がわかります。

    「(ターナーの)油絵具ののせ方など、写真では分からない表現があり良かったです。」

    「モネのサン・ジョルジョマッジョーレ黄昏に心奪われた。 何回も足を運んでしまった。」

    「イギリスーフランスの印象派前後の相互影響を知ることができた」

     

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    一方で、日本ではあまりなじみのない画家を知ることができるのも、本展の見どころの一つです。

    来場者からは、

    「予想より目を引く作品が多かった。 初めて知った画家も多く新鮮に感じた。」

    「イギリスの画家がこんなに大勢いた事、再発見した。」

    といった、声もいただいています。

     

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    展覧会「ターナーからモネへ」は、いよいよ1月28日までの開催です。

    ウェールズ国立美術館のコレクションが、日本でまとまって紹介されるのは約20年ぶり。

    巨匠たちの知られざる名作の数々を、ぜひこの機会にお楽しみください。

     

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    写真提供:中日新聞社

     

     

    (c.o)

     

     

     

  • 2017年12月27日 「ターナーからモネへ」作品紹介⑤ ルノワール《会話》

    ルノワールの晩年の作品である《会話》。「会話」というタイトルがついていますが、女性は男性と視線を交わすこともなく、考え事をするかのように、地面の草むらを見つめています。

    画面は大きく柔らかなタッチで覆われていますが、当時、ルノワールは激しい関節炎に悩まされていて手先を細やかに使って描くことができず、手に筆を縛りつける方法を用いていたことと関係していると考えられます。

     

    後に病状はさらに悪化し、最晩年は車いすでの生活を余儀なくされたルノワールですが、体力の続く限り制作を続けようとする画家のエネルギーをも感じさせる一枚です。

     

     

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    ピエール=オーギュスト・ルノワール《会話》1912年
    ウェールズ国立美術館 ©National Museum of Wales

     

     

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  • 2017年12月24日 「ターナーからモネへ」作品紹介④ モネ《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》

    1908年10月、ヴェネツィアを妻と共に初めて訪れたモネは、多くの画家たちを惹きつけてきたこの街に魅了され、その後2か月余りの滞在中に37点もの油彩画を描きました。彼は「私がもっと若く、大胆なことができたときに、ここへ来なかったのは残念だった」と述べています。

    《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》は、島のほとんどが修道院になっているサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を描いた連作のうちの一つ。沈みゆく太陽の光は、青、緑からオレンジ、赤と一瞬のうちに空に多様な効果をもたらし、その色彩の交響は空を反射する海へとつながっています。

    モネ夫妻は、毎晩のようにゴンドラで運河に出かけ、画家曰く「世界でも随一の素晴らしい夕日」を楽しんだと残しています。

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    クロード・モネ《サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏》1908年
    ウェールズ国立美術館 ©National Museum of Wales

    (k.o)